その昔、遊び癖の抜けないギャンブラーのことを「勝っても負けても夜のお店通い」と称したものだった。しかし、アタシは、「勝っても負けてもボッタクリバー」だった。アタシがよく利用していた鉄火場は、ボートレース江戸川である。勝ったらもちろん、負けても、レース場の最寄り駅の都営新宿線船堀駅から電車を乗り継いで、上野の歓楽街に足を延ばした。

 当時、上野の歓楽街は、中国女性の独壇場だった。酔っぱらった日本人男性を見かけると、数人で取り囲んで、ボッタクリバーに誘い込んだ。もしガードのゆるい男性であれば、わざわざ連れ込むまでもなく、人通りのない街角で数人がかりで取り囲み、ショルダーバックなどに入れた財布からお金をくすねていた。

 もちろん“うっかり馬之助”も被害にあった。それもなんと、財布に大事に収めていた5万円を、気がつかないうちにやられたのだ。あのときのガッカリ感はかなりのものだった。特に、ギャンブルでやっとの思いで儲けたお金を、気がつかないうちに盗られたときのショックは大きい。「勝っても結局、負け!」とは、ああ、情けないと思いませんか。

 さて、ボートレース界のこの時期は、各地の支部に所属する同郷の選手たちが集結する“帰省選手のお盆レース”が開催される。たとえば、ボートレース江戸川では名物レース「第38回大江戸賞」(8月14〜19日)が開催され、東京支部の選手が多数集結するのだ。

 今年は西田靖、濱野谷憲吾、石渡鉄兵らのレジェンドに加え、若手のイケメン後藤翔之など、地元出身の江戸川巧者が何人も顔を揃えている。ボートレース江戸川を存分に楽しんだら、歓楽街はスルーして、地元に直帰しようと思うが、さて……。

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