宝塚トップスターが開演40分前に起床!?「世紀の大寝坊」で舞台はどうなった?の画像
宝塚トップスターが開演40分前に起床!?「世紀の大寝坊」で舞台はどうなった?の画像

 タカラジェンヌの朝は早い。なぜなら、公演時のお化粧もヘアセットも、すべて自分で行う必要があるからだ。さらに、いつも通りに公演ができるよう、入念なウォーミングアップも行わねばならない。そのため、開演時間の3時間~1時間前には楽屋入りしているのだ。

 しかし、タカラジェンヌも人間。とんでもない「朝寝坊」をしでかした珍事件もあった。その当事者は、元花組トップスターの高汐巴(たかしお・ともえ)。自身が主演を務めた『微風のマドリガル/メモアール・ド・パリ』の東京公演の、しかも千秋楽に事件は起こる。11時公演を13時公演と勘違いしていたため、寝坊してしまったのだ。

 気がついたのは、なんと開演の40分前。劇団からの「開演40分前です。間に合いません、早く来てください!」という電話で起きたという。高汐は劇場まで40分はかかる場所におり、千秋楽にトップスターが寝坊であわや休演……という最悪の事態が頭をよぎる。大急ぎでタクシーに乗ると、運良く15分で到着。そこから25分で準備を済ませ、いつもと変わらず幕が開いたというのだから、タカラジェンヌの底力はすごいと言わざるをえない。

 ちなみに、病欠やケガでの休演に備え、宝塚ではあらかじめすべての役に代役が設定されている。高汐巴がギリギリに楽屋入りすると、代役の下級生が泣きそうな顔で到着を待っていたという。千秋楽という大切な日に、トップスターの代役を直前に告げられるのだから、その心中は察するに余りある。

 後日、高汐巴は著書でこの出来事を振り返り、「舞台に穴をあけ、劇団をクビになって紋付き袴で大階段を降りられなくなる自分を想像して可笑しくなった」と語っている。実際は舞台に穴は開かず、無事に公演は終了したが、宝塚100年の歴史に残る珍事件の一つであろう。

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