“実りの秋”とは言うものの、こと毛髪に関しては、そうではないらしい。「1年の間で髪の毛が一番抜ける季節が秋なんです」と、“衝撃的な事実”を明かすのは、テレビの情報番組などでおなじみの、薄毛対策の第一人者で、全国理容連合会名誉講師の板羽忠徳氏(理容師)だ。
「夏は髪にダメージを与える季節。3~4週間後に、それが抜け毛という形で現れるんです」(板羽氏) なぜ夏は、毛髪によくないのか? 具体的に、説明していただいた。「夏の強い紫外線がいけません。頭皮に当たると活性酸素が増えて、血行が悪くなり、髪の毛を作る組織が弱ってしまうんです。思い当たる人は、つむじや生え際に日焼け止めスプレーを使用するなどしたいものです」(前同)
また、湿気も大問題。「気温が29度以上もあるときに、キツい帽子をかぶっていると頭皮が蒸れてしまい、毛穴の皮脂が増加。雑菌が繁殖してしまうんです」(同)
クーラーも悪影響だ。「乾燥した冷気が、頭皮の硬化をもたらします。頭皮の毛細血管がダメージを受け、毛根部にある髪の毛を作る組織・毛乳頭に栄養が十分に行き渡らなくなってしまうんです」(板羽氏)
また、酷暑による食欲不振も髪にはマイナス。「夏は素麺など、あっさりしたものや、逆にスタミナをつけるために、から揚げなどの脂っこいものを食べがちで、食事が片寄って栄養不足になりやすいんです。栄養は、心臓や肺などの重要な器官で優先的に消費されるので、頭皮は後回しになるんです」(前同) また、熱中症対策を考えて、清涼飲料水を大量に飲んだ方も多かったのでは? 実は、ジュースなどに含まれる大量の糖分を分解する際に、髪の成長に必要なミネラルなどが使われてしまうという。
また、「暑さで寝不足になると、髪の毛を作る毛母細胞の分裂が低下するだけでなく、成長ホルモンや免疫細胞による頭皮のダメージの回復も遅くなってしまうんですよ」(同) 身に覚えのある方も多いことだろう。では、今からでも、頭皮のダメージを回復することはできないものか? 板羽氏にアドバイスを請うと、“緑茶すすぎ”が効果的だという。
「まず、頭皮をマッサージしながらシャンプーして、毛穴から脂を排出します。その後で、100㏄の緑茶を頭皮につけて、毛穴の殺菌をしましょう。これは、緑茶に含まれるカテキンの抗酸化作用を利用したものです。使用するのは、ペットボトルのお茶でも構いませんよ」(同)
また、ドラッグストアなどでも売っているホホバオイルを、シャンプーの前に頭皮に塗り、毛穴の皮脂を溶かしておけば、効果がアップ。お茶のにおいが気になる方は、最後にお湯で洗い流してもOKという。夏に疲弊した毛髪が“さよなら”してしまう前に、ケアされてはいかが?