秋のスプリントGⅠも、主役はビッグアーサーだ。中間調整の素晴らしさから負けるシーンはないと、当欄でも強調した前哨戦のセントウルSはイメージ通りの強さだった。スタートを決めてハナに立つシーンは想定外だったが、2F目から10秒台のラップを3Fも続けての逃げ切り。

「スピードの持続力が高い馬。この感じでも止まらないと思っていた。完成されてきたし、もう教えることもない馬です」と、レース後に鞍上の福永も強気な競馬の意図を明かした。

 12戦8勝、これまで敗れた4戦はほとんどが位置負けで、脚を余す形。前走の積極策には、こうした過去の分析もあったと想像するが、なにより充実の5歳の秋。完成された馬体に自信の源があったようだ。

 使ったあともビッグアーサーの馬体は素晴らしい。ボリューム感を残したまま、少し緩かった部分が締まってきた。TR以上に動ける本番だ。おそらく当週の追い切りでも坂路で猛時計を記録するだろう。完全に1強のスプリンターズSだ。

 2着争いの筆頭にはダンスディレクターを推す。セントウルSは約8か月ぶりの実戦。病み上がりのニュアンスが濃い調整で、ひと叩きの意味合いが強かった。7着の結果は度外視していいだろう。叩いたことで気持ちの乗りが違ってきたし、シャープに映る馬体。動きも断然、素軽い。ビッグアーサーとは過去2勝1敗の戦歴。今回は怖い。

 3番手の▲には3歳馬のシュウジを上げる。まだ荒削りだが、スプリント資質は相当なもの。北海道シーリーズの重賞で連続2着のあと、栗東に帰厩後の気配も目立つ。すでに2週前追い切りで坂路51秒6が出せるほど元気いっぱいだ。

 春の高松宮記念2着のミッキーアイルは乗り込みが順調で、いきなり動ける仕上げ。6Fの競馬に慣れてきたレッツゴードンキ。決め手あるサトノルパン、ティーハーフの食い込みまで連下に押さえたい。(日刊ゲンダイ大阪記者)

本日の新着記事を読む