今年の天皇賞・秋は、今春に海外G1を制した3頭の激突で盛り上がる。夏負けが尾を引き、前哨戦を回避したリアルスティールを除けば、あとの2頭は仕上がりもいい。

 まず、エイシンヒカリは8月後半から9月にかけてプール調教で下地を作り、初時計が9月15日の坂路。以後、レース2週前時点で6本の坂路追いを消化した。10月6日には51秒7の速い時計も出ている。直前はコース追いに切り替えそうだが、身のこなしが柔軟。気配の良さが伝わってくる。

 モーリスも目標通り仕上がってきた。春の安田記念、夏の札幌記念は現地の競馬場での仕上げだったが、今回は美浦トレセンで坂路、Wコースを併用。十分な乗り込みだ。前2走とは中身が違ってくるだろう。

 2強が好仕上がりなら一騎打ちの可能性まであるが、展開面で隙が生まれる余地はある。エイシンは昨年、2番手からの競馬だったが、「持ち味を発揮するにはハナが理想」と坂口則師。今年は逃げの手に出そうだ。エイシンが逃げるなら、モーリスも穏やかではいられない。早めにプレッシャーをかける戦法になるか。昨年は1000メートル通過60秒6のスローだったが、各馬の意識も前になるので今年は緩いペースにはならない。いわゆる“差し場”が生まれる展開。モーリス○、エイシンヒカリ▲とした。

 差し馬となれば、期待は◎ステファノスだ。スローな流れの中、最速の上がりで2着に食い込んだのが昨年の天皇賞。今年の展開なら頭まで突き抜けていい。前走の毎日王冠5着は直線でイン詰まり、割って入るスペースがなかった。参考外としていいし、何より藤原英厩舎は前哨戦より本番G1に照準を合わせる仕上げ。春に海外遠征を挟まなかった今年は体調面もすこぶるいい。川田の連続騎乗も上積み材料。

 ★は余裕残しの状態で毎日王冠2着のアンビシャス。ラブリーデイ、ルージュバック、サトノクラウンが△。(日刊ゲンダイ大阪記者)

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