先日、東京に木枯らし1号が吹き荒れ、年末が近いことを教えてくれたが、年末になるとボート界では毎年、賞金王を決定するビッグレース「グランプリ」が開催され、多くのファンで賑わう。そして、女子選手の場合は「クイーンズクライマックス」(12/31優勝戦)で、2016年の賞金女王が決定するのだ。

 今回紹介する「津オールレディース」(11/12~17)には、賞金女王候補の選手たちが出場。賞金ランク上位の海野ゆかり、中谷朋子、山川美由紀、日高逸子らも参加し、熱い戦いが繰り広げられる。彼女たちを狙い撃って高配当をゲットしたいところだが、現在のボートレース界の繁栄は女子レーサー、男子レーサーたちがしのぎを削り、高め合ってきたのだとアタシは思う。そんなことを考えていたら、ふとあることを思い出した。

 オールレディースの開催地・ボートレース津がある三重県津市は伊勢湾に面した港町。江戸時代には、伊勢神宮を訪れるお伊勢参りの旅を楽しむ善男善女の宿場町として栄えた。旅といえば、アタシは若い頃、こんな体験をしたことがある。かれこれ30年ほど前、男女のグループで出かけたのだが、駅に着くなり、口論が始まった。予約した宿に行くのに、「地図を見ながら歩いて行こう」という男性陣と、「バスに乗って行こう」という女性陣が自分の主張を譲らず、気まずい雰囲気になったのだ。宿は徒歩十数分の距離で、荷物はそれぞれ旅行かばん1個ぐらいの量。バスについての情報は、利用すべき路線も出発時間もまったくなかった。

 男性なら、知らない街でも地図を片手に目的地まで歩いて行くなど、当たり前のこと。逆に、情報が何もないバスで行こうという女性陣の気持ちがまったく分からなかった。両者の口論は10分以上も続き、結局、徒歩で行くことになったのだが、アタシはその日、男と女の間には意外に深い溝があることを思い知った。そして後年、「地図が読めない女」という言葉があることも知った。

 いまボート界は、遠藤エミや海野ゆかりなど、男子選手顔負けの強くて魅力的な女子選手が多数誕生し、女子選手だけの開催も多くのファンを集めている。その素晴らしい成果は、女子選手の努力だけでなく、男子選手の協力もあってこそではないだろうかと、アタシは確信している。アタシの場合は楽しく過ごすべき旅先でつい女性と口論してしまったが、ボート界の男性陣と女性陣はお互いを信頼し、高め合っている。そう感じるのである。

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