本格化したサトノアラジンが今年こそ主役だ。昨年は4着に沈んだが、4角から直線入り口にかけて窮屈になるシーンがあり、外に出した1F過ぎから伸びたものの、コンマ2秒差届かなかった。キャリアを重ねてはいるが、勝つための本当の“戦力”がまだ身についていなかった。

 今年は違う。春の京王杯スプリングCで自己最速の上がり3F32秒4で差し切れば、秋初戦の前走・スワンSでは4角13番手から一気の追い込み。重賞タイトルを2つ加え、末脚の破壊力にも磨きがかかった。その前走は過去、最長の5か月近いブランク。直前の追い切りでも重さを感じさせ、馬体にもまだ余裕があった。菊花賞のサトノダイヤモンドがそうだったように、陣営は本番を見据えた仕上げだった。

 一度使った効果は中間の馬体にくっきりと表れている。全体に引き締まり、より切れ味を引き出せるシャープな体つきだ。所属する池江厩舎も絶好調だ。菊花賞制覇の後、ファンタジーSのミスエルテまで3週連続の重賞勝ち。この勢いも後押しになるだろう。

 ○はフィエロ。スワンSで9着に敗退。負けっぷりの悪さに年齢の衰えが取り沙汰されるが、前走は過去2年と比べて乗り込み量が少なく、馬体にも緩みが目立った。どうやら今年は、藤原英厩舎が得意にする本番重視の仕上げだったよう。前走で人気が落ちるなら、かえって狙い目だ。

 ▲はミッキーアイル。逃げ切りが難しいGⅠだが、今年は単騎ハナが確定的。ハナなら10割の能力が出せるタイプである。今年はスプリントGⅠで連続2着だが、距離もマイルまでは守備範囲。2週前追い切りは坂路50秒7で動き、無理のないローテーションで前走以上に仕上げも進んだ。

 4番手の★はロードクエスト。富士S9着は2走目のポカか。すぐさま巻き返しがある。イスラボニータ、ネオリアリズム、ヤングマンパワーまで押さえる。(日刊ゲンダイ大阪記者)

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