先日取材した香港国際競走で、「グループとしての強さ」ということを考えた。香港はオセアニア馬産の影響を強く受けているのでスプリント勢がかなり強く、中長距離はさほど強くない。

 2016年の結果も、スプリントとマイルでは香港勢が強さを見せつける一方で、カップとヴァーズでは日本馬や欧州馬が上位を占めた。香港の場合、もともと短距離偏重の番組体系ではある。

 一方、日本ではどうか。84年の路線整備開始以降、芝とダート、各距離とそれぞれに重賞レースが設定され、スターが生まれるようになった。表面上はそれぞれのカテゴリが平等なのだが、実際にはカテゴリごとの強さ・弱さに差があるのではないかと思う。

 たとえば未勝利レベルでも、そんな傾向はある。日本の馬主・調教師は芝で勝ちたがるので、好素質馬は芝の新馬戦に集まる。結果として、その後のダートの未勝利戦では「芝デビュー組>ダートデビュー組」という構図が生まれやすい。

 前置きが長くなったが、何が言いたいのかというと、日本の重賞戦線で最も層が厚いのは芝の中長距離、中でも3歳クラシック戦線だということである。

 マイル戦になって以降の京都金杯では、過去に明け4歳馬が[6・6・7・53]という成績を残しているが、古くはダイタクリーヴァ、最近ではウインフルブルームなど、前年のクラシック戦線、あるいは朝日杯~NHKマイルC路線に顔を出していた好走馬は多い。選手層の厚いところで結果が出なくても、マイル路線、しかもハンデG3という楽なところにくれば好走できる可能性は高い。

 17年1月5日の京都金杯は◎エアスピネルの参戦に注目が集まりそう。G1タイトルこそないものの、クラシック戦線のど真ん中を歩いて一度も掲示板を外していない馬だから、ここまでに説明したメカニズムにより好走できる可能性は高いと見る。多少ハンデを背負ったところで、能力差を埋め切れないのではないだろうか。人気でも、無理に評価を下げにはいけない。

 ○アストラエンブレムは重賞戦線の端にしか顔を出していなかったので、◎ほどの信頼性はないが、古馬相手の条件戦の内容がいい。ダイワメジャー産駒の中では、かなり決め手があるほうで、速い上がりタイムは歓迎。京都コースで今の良さが出そうだ。

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