JRA競馬学校卒業式に密着!「未来のダービージョッキー」がこの中に!の画像
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 野球選手になってホームランをいっぱい打ちたい。僕は宇宙飛行士! 仮面ライダーになって地球の平和を守りたい――思いはそれぞれ。みんな子どもの頃は、でっかい夢があった。だが、全員が、なりたい大人になれるわけじゃない。

「俺もそうだけど……好きな職業に就けるというのは、それだけで幸せなことだよね」 JRAが誇る名ジョッキー、横山典弘騎手が目を細めた先にいるのは――。この日、3年間の厳しい試練を乗り越え、JRA競馬学校騎手課程を卒業した5人。川又賢治。木幡育也。富田暁。武藤雅。そしてもうひとり、横山典弘の3男、武の晴れ姿だった。

「騎乗技術が未熟で這い上がっていくのが大変でしたが、でも、とても充実した楽しい3年間でした」 そう振り返ったのは、成績優秀者に贈られるアイルランド大使特別賞を受賞した川又賢治。

「日本のG1をすべて勝ち、将来は世界でも戦っていける騎手を目指します!」 力強く宣言したのは、昨年45勝を挙げて最多勝利新人騎手を獲得したひとつ上の兄・巧也騎手どころか、長男・初也騎手、父・初広騎手を超えたいと胸を張った木幡育也。

 入学試験時、ただひとり、乗馬未経験者だったにもかかわらず入学試験に見事、合格。この日を迎えた富田暁が、「指導教官をはじめ、支えてくれた仲間、応援してくれた方への感謝を忘れず、日々努力を重ねていきます」と、自分の足元をしっかり見つめると、武藤善則調教師の長男・雅も、「目標を持ち、向上心を忘れず、一日、一日を頑張っていきます」と、中学2年時に、乗馬を勧めてくれた父に、固い握手で感謝の気持ちを伝えた。

 彼らにとって、ここはゴールではなくスタート地点。そのことは、誰よりも自分自身が一番よくわかっている。

 09年の天皇賞・秋。カンパニーとともに栄光のゴール板を駆け抜けた父の姿に憧れ、ただひたすら、父の背中を追い続けてきた横山武が、弾ける笑顔の裏でこうつぶやいた。「騎手として、同じスタートラインに並べた? そんな気持ちはまるでないです。兄(和生騎手)の背中はずっと先。父は……遠すぎて見えません。でも、早く追いつき、追い越せるように頑張ります」

 なりたかった大人になれるかどうかは、これからの自分たちの努力次第。

「これからはプロのジョッキーとして共に戦っていく仲間です。一緒にレースができることを楽しみにしています」 日本騎手クラブ会長として挨拶に立った武豊の言葉を胸に、5人は3月にデビューを迎える。

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