盗塁なくして優勝なし――。そんな傾向が、昨季のプロ野球の結果からは見てとれる。昨季、セ・リーグで最も盗塁が多かったのは25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島の118。2位・東京ヤクルトの約1.4倍。パ・リーグも同様のことが言える。トップは10年ぶりの日本一を達成した北海道日本ハムの132で2位の福岡ソフトバンクの約1.2倍。

「走塁の意識が変わればチームが変わる」 このコンセプトの下、チーム改革に取り組んでいるのが中日である。練習試合とオープン戦の6試合で15盗塁(2月28日現在)。走塁改革の先頭に立つのがヘッドコーチの森脇浩司だ。オリックスの監督を務めたこともある森脇は2014年、巨人2軍守備走塁コーチも務めた。前年、巨人2軍の盗塁数は60。それを約2.5倍の152まで増やしたのである。疑わしきは沈め――。これが森脇の指導方針だ。

「もし一塁まで戻りかけたところで、ピッチャーが本塁に投げ、バッターがボテボテの三遊間のゴロを打ったとする。わざわざ戻ったりしなければ、かなり高い確率で二塁はセーフになる。だが戻ってから再スタートを切っても二塁はアウト。下手したら併殺の危険性だってある」

 広島と昨季最下位の中日との違いについてWBC日本代表メンバーでもある中日の平田良介から、こんな話を聞いた。「次の塁を狙う姿勢の差。俊足の選手だけでなく、ベテランの新井貴浩さんまで妥協しない」

 では広島と日本ハムは、なぜ走る意識が高いのか。広島・緒方孝市、日本ハム・栗山英樹。監督が2人とも俊足の外野手だったことに起因してはいまいか。緒方は95年から3年連続で盗塁王に輝いた。栗山は主に控えだったが、代走で起用されるなど、足には光るものがあった。

 野村克也の語録にこうある。「外野手出身監督に名将なし」 しかし、昨季の日本シリーズは、ともに外野手出身監督がチームを率いた。「走塁」をキーワードに、流れが変わりつつある。

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