9年後の2026年大会から国際サッカー連盟(FIFA)が主催するW杯の出場枠が現行の32から48に拡大することは週刊大衆2月6日号の当欄で紹介した。大会方式は3チームずつ16組に分かれて1次リーグを実施し、各組上位2チームで決勝トーナメントを行う案が有力視されていることも報告した。だが、この方式には欠陥がある。最終戦で対戦する2チームが、ともに引き分け以上で決勝トーナメントに進出できるとなった場合、談合が行われる可能性が極めて高いのだ。

 これを阻止する手立てはあるのか。FIFA技術部門責任者のマルコ・ファンバステンが提案しているのが、1次リーグのPK決着だ。米FOX SPORTSなどが伝えている。PKといっても、ファンバステンが提案しているのは、ゴールラインからペナルティースポットを結ぶ11メートルの距離でキッカーとゴールキーパーが向き合う現行のそれではない。距離を約25ヤード(23メートル)に伸ばすかわりに、キッカーに8秒の時間が与えられる「run-up shootouts」と呼ばれるもので、ドリブルなども含め、試合に近いかたちでシュートを打つのだ。

 実はこの方式、米MLS(メジャーリーグサッカー)が1990年代に行っていたものだ。ただしMLSの距離は35ヤード、制限時間は5秒だった。

 そこで映像を探してみた。結論から言うと、これが結構、難しいのだ。ドリブルの最中、前に飛び出してきたGKにシュートを阻まれたり、コースを消されて苦し紛れに放ったシュートが枠を外れるシーンが目立った。制限時間もキッカーには重荷となっているようだった。今後、仮にPKがMLSスタイルとなった場合、キッカーには相手をかわしたり、どの角度からでも決められる高度なスキルが求められるようになる。

 果たしてファンバステンのPK改革は実を結ぶのか、それとも、一笑に付されて廃案に終わるのか……。その行方に目を凝らしたい。

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