横綱・稀勢の里「奇跡の逆転優勝」大きすぎる代償

 19年ぶりに誕生した日本人横綱の大活躍に、列島中が沸きに沸いた春場所。だが、その前途に早くも暗雲が!?

「痛みに耐えて、よく頑張った! 感動した!」 平成13年の夏場所。右ひざのケガを抱えながらも見事、逆転優勝を飾った当時横綱の貴乃花。その“力士魂”に、当時首相だった小泉純一郎氏が賛辞を送った名場面だ。

「ただ、その翌場所から貴乃花は7場所連続休場し、最終的には引退となった。やはり横綱とはいえ、ケガには勝てない。それと同じことが、また起こるかもしれない……」 相撲関係者が複雑な表情で、こう語るのも無理はない。19年ぶりに誕生した日本人横綱・稀勢の里の未来に、早くも暗雲が立ち込めているからだ。

 ご存じの通り、横綱となって初の場所となった春場所では、13日目の日馬富士との対決で初黒星。加えて、左肩付近を痛めるアクシデントに見舞われた。「それでも、持ち前の根性で、翌日も土俵入りを果たしました。しかし、明らかに本調子でなく、横綱・鶴竜を相手にまたしても黒星。ただ、ここからが凄かった。“やるからには最後までやりたい”と決意し、千秋楽の大関・照ノ富士戦に勝つと、優勝決定戦で見事、逆転優勝を果たしました」(夕刊紙記者)

 まさに“痛みに耐えて”奮闘した我らが日本人横綱。満身創痍の中、横綱として踏ん張り続ける姿勢は、相撲ファンを魅了した。だが、リアルな勝負の世界はスポ根漫画とは違う。前出の関係者が言う。

「奇跡の逆転優勝なんて騒がれていますが、今回、稀勢の里が払った代償は、あまりに大きい。貴乃花の例でも分かるように、ケガは致命傷になりかねません。事実、ケガの状態は思った以上にひどいのか、4月2日からの春巡業は休場を発表しましたからね」

 ちなみに診断は、<左上腕部の筋損傷で加療1か月>とのこと。相撲専門記者がこう語る。「ケガをした箇所も最悪です。稀勢の里の最大の武器は“左差し”。左腕こそが最も重要な部分なのに、ここを負傷しては、本来の実力は到底出せません」

 現に、ケガの後の鶴竜戦では、まったく勝負になっていなかった。「稀勢の里の左腕は全然、力が入っておらず、わずか2秒あまりで寄り切られてしまった。その取り組みには、横綱の威厳は感じられませんでした。なぜ、すぐに休場させなかったのか……疑問が残ります」(前同)

 それを稀勢の里の“横綱としての誇り”と言えば聞こえはいいが、無理をしたのは否めない事実である。

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