「北朝鮮のミサイル」は、日本をどう狙うのか?

「すべての選択肢がある」と攻撃も辞さない構えのトランプ米大統領! 巻き添えを食らう我が国の運命は!?

 4月11日、金正恩体制になってから丸5年を迎えた北朝鮮。だが、かの国は、これまでにないほどの危機に直面している――。「中国が(アメリカへの)支援を決断するのであれば素晴らしい。そうでないのなら、我々は彼ら抜きで解決する」

 同日、トランプ米大統領は、北朝鮮への“宣戦布告”とも取れる声明をツイッターにアップした。「米中首脳会談のさなかにシリアへの空爆を敢行し、アメリカの本気度を中国の習近平国家主席へ示したトランプ大統領が、アメリカ単独で北朝鮮へ先制攻撃すると宣言したわけです」(日本政府外交筋)

 一方の北朝鮮も同じ日、朝鮮中央テレビを通じて、「我々は、アメリカに自らの行為が招く破滅的な結果の全責任を負わせる」と、アメリカに報復する意思を明らかにした。

「韓国では“朝鮮半島戦争以来最大の危機”と連日、メディアが報じ、4月27日にアメリカ軍が北朝鮮を先制攻撃するという噂が駆け巡っています。すでにソウルの外資系企業は社員や、その家族の避難準備を始めています」(ソウル在住ジャーナリスト)

 日本の外務省も、韓国滞在者や渡航予定者に対して、朝鮮半島情勢に注意を促す異例の情報を発表。まさに一触即発――。第2次朝鮮戦争勃発の危機が迫っているわけだが、北朝鮮が言う“報復”の対象には当然、日本も含まれる。

「安倍首相は、北朝鮮へ強硬姿勢を示すトランプ大統領を支持しています。しかし、自民党内には“安倍首相は日本に韓国からの難民が押し寄せ、日本列島に北朝鮮のミサイルが飛んで来ても仕方がないと思っているのか”という批判の声も出始めているんです」(自民党関係者)

 これではとても、ゴールデンウィークだと浮かれてはいられない。この連休中にも、ミサイル攻撃を受ける恐れがあるというのだ。「“4月27日先制攻撃説”は単なる噂ではなく、話は具体的です。まず、4月25日に朝鮮人民軍創建85周年を迎える北朝鮮が6回目の核実験かICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験を仕掛ける恐れがあること。その挑発行為に対して、27日にアメリカが北朝鮮のミサイル基地などを限定攻撃するというんです」(前出のジャーナリスト)

 根拠はそれだけではない。拓殖大学客員研究員で元韓国国防総省北朝鮮分析官の高永氏が、こう続ける。

「4月6~7日の米中首脳会談で、北朝鮮の核施設への限定的空爆を中国側が了解したとみられています。さらにロシアも、限定的攻撃であれば暗黙の了解という姿勢です。そのため、シンガポールからオーストラリアに向かう予定だった米原子力空母カール・ビンソンを、急遽8日に、朝鮮半島へと北進させました」

 ちなみに、同空母は国際テロ組織アルカイダ撲滅のための“不朽の自由作戦”に投入された空母でもある。「加えて、5月9日に行われる韓国大統領選で左派政権が誕生した場合、北朝鮮への空爆や制裁に韓国が反対する恐れがあります。したがってアメリカとしては、その前に攻撃に踏み切りたいところです。また、27日は新月の日にあたり、月明かりがなくて攻撃がしやすいんです。これらの事情を考慮すると、攻撃は4月27日の未明がベストのタイミングと言えるでしょう」(前同) 湾岸戦争でアメリカ軍がイラクを空爆したのも、新月の夜だったという。

 だが、アメリカの攻撃がここまで現実味を帯びているにもかかわらず、北朝鮮は挑発行動に出るのだろうか。『コリア・レポート』編集長の辺真一氏は、その問いにこう答える。「やると思います。国民生活を犠牲にしてまで核・ミサイル開発を進めてきた北朝鮮は、目標まであと一歩のところまできています。ここでアメリカの恫喝に屈して諦めたら、これまでの成果をドブに捨てる結果になるからです」

 それでは、北朝鮮はどのような行動に及ぶのか。「核開発の仕上げとして、核実験を仕掛ける可能性はあると思います。次で6回目ですが、おそらく、それが最後になるでしょう。しかし、ミサイルに核兵器を搭載する技術があっても、それを運搬する技術がなくては、どうしようもありません。アメリカの安全保障にとって何が脅威なのかというと、アメリカ本土が直接、核攻撃にさらされるICBMの開発です。ゆえに私の予想では、核実験の可能性が3割、ICBM試射が7割ですね」(前同)

 事実、アメリカは新たな北朝鮮のミサイル発射に備え、同盟国に対して「迎撃する用意がある」と通知したと、オーストラリアの『デーリー・テレグラフ』(電子版)が報じている。アメリカはすでに、北朝鮮のICBM発射実験に照準を定めているのだ。「ICBMを発射されて、何もしなかったら、それこそトランプ大統領が金正恩に舐められることになります。アメリカが先制攻撃する可能性は十分あると考えています」(前出の辺氏)

 しかも、アメリカは空母の派遣とともに、強襲揚陸艦も北朝鮮へ向かわせている。万が一の際は、北朝鮮への地上作戦も想定している構えだ。いずれにせよ27日に、朝鮮戦争以来の危機が迫っているのは確かなようだ。

「実は、北朝鮮への“先制攻撃論”は、1994年にもアメリカ国内で検討されたことがありました。北朝鮮がNPT(核拡散禁止条約)脱退を表明したのち、北朝鮮の寧辺核団地を攻撃するという議論になったんです」(元自衛隊幹部)

 ところが、当時の在韓米軍で詳細に検討したところ、「南北の休戦ラインに配置された長射程砲で北朝鮮が韓国の首都圏を攻撃し、さらには300~500キロの短距離ミサイルを発射して韓国全土が焦土になるという分析結果が出たんです」(前同)

 その後、北朝鮮は短距離ミサイルに加え、日本やグアムを射程に入れた中距離ミサイル、そして、今やICBMさえ手に入れようとしている。ということは、アメリカ軍の先制攻撃によって、韓国のみならず、日本も絶えず報復攻撃の危険にさらされることになる。

 軍事ジャーナリストの井上和彦氏は、こう語る。「北朝鮮が今年3月6日、ミサイル4発を立て続けに発射し、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下させました。中国の協力もあって、北朝鮮のミサイルの精度は飛躍的に上がっています」

 しかも、その際、北朝鮮が異なる攻撃目標を想定して、ミサイルを4発同時に発射したのは初めて。それだけ、自衛隊の迎撃はより困難になる。では、北朝鮮の中距離ミサイルは、日本のどこを標的にしているのだろうか。

「4年前、北朝鮮は米韓両国の軍事演習に反発。その際、北朝鮮労働党機関紙の『労働新聞』は“横須賀・三沢・沖縄は(ミサイルの)射程内”と報じ、日本国内のターゲットを名指ししたことがありました」(前出のジャーナリスト)

 横須賀には在日米軍の海軍基地が、沖縄(嘉手納)には空軍基地がある。ずばり、北朝鮮は在日米軍基地をミサイル攻撃すると宣言していたのだ。

 だが、前出の井上氏が「特に警戒が必要」と言うのは三沢基地(青森県)。「北朝鮮が3月6日に発射した例のミサイルは、秋田県の男鹿半島の西300~350キロ地点に落下しています。そこから東へ移動していった先に三沢基地があります」

 つまり、北朝鮮は三沢基地への攻撃を想定し、日本海へ向けて、ミサイル発射実験を繰り返していたのだ。「三沢基地は冷戦時代に、旧ソ連のウラジオストクを叩くための基地でした。ここにはF16戦闘機が配備され、直接、北朝鮮を攻撃できるようになっています」(井上氏)

 F16は三沢基地から爆弾を搭載し、北朝鮮まで、およそ40分で到達できるという。北朝鮮にとって、それだけ、この基地の存在は脅威でもあるのだ。

 他にも、「海兵隊の航空基地のある岩国(山口県)も攻撃される可能性はあります」(前同)

 山口といえば安倍首相の地元。政治的な狙いもあるとみられる。これらの地域へミサイルが飛来するかは、米軍が北朝鮮へ攻撃するか否かにかかっている。

 だが、Xデーが何事もなく過ぎたとしても油断はできない。逆に北朝鮮が日韓両国に先制攻撃を仕掛けてくる恐れもあるというのだ。

「米中首脳会談の最中に、北朝鮮外務省は“アメリカに再三送った(先制攻撃するという)警告を、やむをえず実践に移さざるをえなくなった”と、攻撃の可能性を示唆しています」(ソウル在住ジャーナリスト)

 また、“共和国(北朝鮮)と運命を共にする”と周囲に語っているという金正恩氏のこと。アメリカにミサイル基地などを攻撃されて恫喝外交の手段を絶たれるより、一か八かの戦術へ出る恐れもあるという。

「その際、北朝鮮が狙うのは在日米軍基地ではありません。米軍施設を狙えば、確実に報復されます。ところが、米軍施設以外を狙えば、日本政府が武力攻撃事態だと認定しない限り、在日米軍は動けないんです」(井上氏)

 北朝鮮が誤発射や事故だと言い逃れし、日本政府が武力攻撃事態と認定できずにいたら、日本は“撃たれ損”に終わってしまう。

「あくまでアメリカへの脅しで同盟国である日韓を攻撃するわけですから、人口密集地の大都市を避け、山間部などが狙われるでしょう」(前出の元自衛隊幹部)

 しかも、場合によっては韓国より日本単独で狙われるケースが高くなりそうだ。「5月9日の韓国大統領選で、左派の文在寅候補が勝ち、“親北政権”が誕生した場合の話です。そうなると当然、金正恩は好意的な政権を刺激したくないわけですから、日本だけが北のミサイルの脅威にさらされることになります」(前同)

 そこで問題になるのが日本のミサイル迎撃能力だ。海上からはイージス艦に搭載された迎撃ミサイル(SM3)、地上からは地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)が二段構えで北朝鮮のミサイルを撃ち落とす態勢が取られる。この迎撃システムによって、数発のミサイルに対応できることになっている。

「しかし、日本の迎撃システムの能力を超えるミサイルが飛んで来たら、すべて撃ち落とすことはできません」(井上氏)

 しかも、北朝鮮が地上の発射台から打つとは限らない。「車載式のミサイルなら、より迎撃は難しくなる」(自衛隊関係者)という。

 日本は今、戦後初めて未曽有の危機に直面していると言える――。

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