安倍晋三首相、トラブル続出でも「余裕」のワケ 

 素行不良の嫁に加え、逆ギレにゲス不倫。外からはミサイルの脅威……。トラブル続出でも余裕のワケとは?

「有毒の恐れがあるスキャンダルが日本の首相に向かって漂っている」 英紙『フィナンシャル・タイムズ』が森友学園問題をこう報じ、“安倍晋三首相退陣”の噂が海外で囁かれてから1か月以上。状況は悪化する一方だ。

「森友学園の籠池泰典前理事長夫妻との交流はもちろん、その後も、安倍首相と40年来の旧友といわれる人物が理事長を務める加計学園(岡山理科大学などを運営)の獣医学部新設に絡み、昭恵夫人が文科省に問い合わせたという“口利き疑惑”も浮上しました」(全国紙政治部記者)

 さらには、『週刊新潮』が昭恵夫人と反社会的勢力との黒い交際を報道。「元組長の手引きによって、福島第一原発事故の立ち入り禁止区域に入っていたことや、薬物常習者との交際が報じられました」(夕刊紙記者)

 そんな逆風の中、安倍首相はさる4月15日、自ら主催した『桜を見る会』に出席。強風に負けじと花を咲かせる桜を見て、「風雪に耐えて五年の八重桜」と、一句ひねりだし、参加者の失笑を買った。「強風に耐える桜を自身と重ね合わせた句ですが、強風を吹かせている人がすぐ隣にいるんですから、まったく滑稽な光景でした」(前出の政治部記者)

 芸能人ら招待客をバックに安倍首相に寄り添い、写真に収まっていたのは、話題の“あの人”。アッキーこと昭恵夫人だったのだ。「ただ、もし安倍首相が離婚を決断したら、“夫人まで切り捨てるのか”という世論が湧き起こり、女性票が離れてしまう。首相としては夫人をかばい続けるしかないんです」(官邸筋)

 そこに、閣僚たちの失言や醜聞が追い打ちをかける。「出ていきなさい、うるさい、二度と来るな!」と、ジャーナリストに激昂し、一躍有名になってしまったのは今村雅弘前復興相。

 はたまた、「(地方の観光振興を進めるうえで)学芸員はがん」と、これまた暴言を吐いたのは山本幸三地方創生相。「一強といわれ、いまだ高い支持率に支えられた安倍政権の傲慢さが閣僚たちに伝播し、彼らの間に“オレ様気分”が蔓延した結果です」(野党の中堅議員)

 そこへもって、中川俊直元経済産業省政務次官の重婚スキャンダルまでが発覚。

「妻帯者であるにもかかわらず、テレビ東京の記者時代の元同僚女性と交際。しかも、ハワイで極秘に、2人きりの結婚式まで挙げていたといいます。さらに、関係がこじれると彼女をつけ回し、警察にストーカー登録されるという前代未聞の不祥事。これを報じた『週刊新潮』の発売前に辞任しましたが、実質はクビです」(前出の夕刊紙記者)

 この安倍政権の体たらくに愛想を尽かしたのか、昨年11月には10か月ぶりに1万8000円台を回復して上昇基調にあった日経平均株価も低空飛行。経済評論家の杉村富生氏は次のように語る。「森友学園問題で『フィナンシャル・タイムズ』の記事を読んだ外国人の投資家が、安倍退陣が秒読みに入ったとみて、売りに走ったのが下落の原因です」

 そんな自民党に苛立ちを募らせているのが連立与党の公明党。山口那津男代表は「閣僚や政務官の言動が国民に不信を与えている。緊張感がないと受け取られるようでは、政権の安定はかなわない」と釘を刺した。

「都議会公明党が、自民党から小池百合子東京都知事が率いる地域政党『都民ファーストの会』に乗り換えたあたりから、自公の関係はギクシャク。テロ等準備罪法案の審議日程を巡っても、公明党は“性犯罪厳罰化を優先すべき”と対立しました」(政治部記者)

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏も、こう解説する。「山口代表は、共謀罪を含めたテロ等準備罪法案に反対の立場。弁護士出身である山口氏には、どうしても認められないんです」

 最終的には自民党に協力したが、「譲歩を強いられた山口代表の腸は煮えくり返る思い」(公明党関係者)だという。

 こうした中、安倍首相の盟友でもある麻生太郎財務相に怪しい動きが――。「現在、麻生氏は“大宏池会構想”を推し進めています。17年前の“加藤の乱”で大分裂した自民党・宏池会の再結集を狙ったもので、成功すれば、安倍首相の出身派閥・清和会に並ぶ100人規模の巨大派閥が誕生します」(政治部記者)

 今年2月には甘利明前経済再生担当相ら5人が、新たに麻生派に加入。山東派、谷垣グループの合流も既定路線で、数を背景に党内の主導権を握りたい考えだ。「麻生氏は、かつて党内で権勢を振るった旧経世会(額賀派)が大嫌い。そこで、清和会と大宏池会で“政権交代”し、自民党単独で日本を動かそうと考えているんです」(自民党関係者)

 麻生財務相と安倍首相の関係は良好だが、大宏池会が誕生すれば状況は変わる。党内最大派閥を基盤に、一強と謳われる安倍政権が弱体化しかねない。「麻生氏の野望は安倍政権を支えながらも、自らキングメーカーとなって自民党を支配するところにあります」(自民党の中堅議員)

 安倍首相にとっては、まさに試練続きの4月。だが、外交面では内政面以上に困難な問題が降りかかっている。まずは、日露関係だ。「米軍によるシリア空爆で、シリア政府を支援するロシアとアメリカの関係が悪化。それに伴い、アメリカの軍事行動を支持する安倍首相とプーチン露大統領との関係も、これまでの蜜月関係から一転しました」(政治部記者)

 加えて、国際政治ジャーナリストの山村明義氏は次のように解説する。「昨年暮れにプーチン大統領が訪日した際、北方領土問題で踏み込まないロシア側の対応を見て、外務省内には失望感が広がりました。そこに、今回のシリア空爆です。結果、日本は米ロ間で中間的な位置が取れなくなり、外務省では、より日ロ関係が厳しくなったという認識を持っています」

 安倍外交の“最大のウリ”でもあったロシアとの交渉。一時は期待感が高まった北方領土返還も、これで一気に遠のいてしまった。さらに極めつけは、緊迫する北朝鮮情勢だ。

「“先制攻撃”か“報復”かと、トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の丁々発止が続いていますが、アメリカが攻撃すれば日本が報復対象になることは必至。外国から攻撃されるという戦後初の事態を迎える恐れもあるわけですが、はたしてどこまで対応できるのか」(前出の夕刊紙記者)

 それどころか、安倍首相は北朝鮮の挑発に乗る始末。「国会で“北朝鮮がサリンを弾頭につけて着弾させる能力を保有している可能性がある”と発言したんです」(前同)

 これに北朝鮮の宋日昊日朝国交正常化大使は「(日本は)共和国(北朝鮮)もサリンガスをつけたミサイルを持つ可能性があると世論を広げている。朝鮮半島で戦争が起きれば、日本が一番の被害を受ける」と反応。日本へのミサイル飛来の危機が増しているだけに、「安倍首相の発言は思慮に欠ける。ミサイルを確実に撃ち落とせるかどうかも分からない国の指導者が、敵を刺激してどうするんだ」(前出の野党の中堅議員)という批判の声もある。

 北朝鮮は、3月にミサイルを日本海に向けて同時に4発発射。そのうち3発が日本の排他的経済水域に落下しているが、「自衛隊の能力では、3発目と4発目を落とすのは極めて困難。また、もしも日本が攻撃されても、今の法制上、継続的な戦闘行為も取れません。そうなったら、安倍首相を頼りにしていただけに、国民の失望感は大きくなるでしょう。北朝鮮情勢は安倍政権の命取りになりかねません」(前出の山村氏)

 だが、当の安倍首相は至って余裕。さる17日の夜も、都内の商業施設のオープニングセレモニーに出席し、地元・山口県の物産を積極的に販売するよう「忖度していただきたい」と笑いを誘っていた。

 森友問題で話題になった“忖度”をギャグにするとは相当、呑気だが……。「どんなに問題山積でも、安倍首相には、いずれ巻き返せるという自信があるんです」(自民党関係者)

 その拠り所と言えるのが、株価だという。実業界からは、こんな声が上がる。「株価が上がりさえすれば、多少のスキャンダルがあっても、支持率が致命的に落ちることはない。つまり、安倍政権の生命線は株価と言えます」(労組幹部)

 現在、日経平均株価は北朝鮮有事の懸念から様子見が続く状態だが、前出の杉村氏はこう続ける。「夏にかけて、株価は2万3000円を狙う動きとなるでしょう。『フィナンシャル・タイムズ』の報道で一時的には下落しましたが、今では落ち着いていますし、例年、6月まで外国人投資家の買い越しが続く傾向にあります」

 さらに、不協和音が響いている公明党とも、7月2日の都議会議員選挙の結果によっては、蜜月関係が復活するというのだ。「自民、都民ファーストの両党ともに単独で過半数獲得は難しく、公明党が鍵を握ります。現在、小池知事には、豊洲移転問題にしろ、東京五輪予算にしろ、問題を先送りにしているという逆風も吹き始めました。また、小池知事の政経塾『希望の塾』の塾生から都議選候補者を擁立する方向ですが、素人がどこまで都民に受け入れられるのか。意外と自民が善戦するとの見方もあり、都民ファーストの会と公明を合わせても都議会過半数を獲得できないと分かれば、再び、自民と組むという可能性もあります」(公明党関係者)

 また、勢力拡大中の麻生財務相も前途多難なようだ。

「麻生氏の思惑に警戒感を強めているのが、ほかならぬ宏池会。数を背景にキングメーカーとなった麻生氏に人事権などを奪われかねないからです。この構想は、宏池会内部の反対で失敗すると見ています」(前出の鈴木氏)

 安倍首相にとっては好材料が続くようだが、中でも、最大の武器と言えるのが支持率の高さ。「4月のマスコミ各社の世論調査では軒並み、支持率はアップ。特に読売新聞の調査では、安倍内閣の支持率は60%と、森友学園問題が勃発した3月の56%から、4ポイントも上昇しました」(政治部記者)

 さらに注目すべきは、北朝鮮の脅威に対して“大いに感じる”と回答した人に限ると、支持率が64%に跳ね上がることだという。「“安倍政権なら、この国難を乗り越えられる”という期待が国民にはあるんでしょう」(山村氏)

 北朝鮮との緊迫状態が高まるほど、安倍政権には有利な展開となるのだ。「一定の保守層にとって、安倍人気は、脅威に対して強硬路線を貫くほど高まる。むしろ平和的解決を主張すれば命取りです。それを安倍首相も知っています。それゆえ、危機がより高まり、国民の間で今のままの防衛態勢でいいのかという声が湧き上がるのを待っているんです。その先にあるのは悲願の憲法改正です」(前出の官邸筋)

 危機を逆手に取って野望を実現とは、とんだ“どんでん返し”だが、その前に、国民を危険に晒すことだけは避けてもらいたい――。

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