“頭痛薬”アスピリンに「がん予防」効果!? 世界で研究進む

 近くの薬局やドラッグストアで手に入る大衆薬で、死に至る病から逃れられる!? そんな仰天情報を追跡!

 頭痛薬『アスピリン』は“魔法の薬”――そんな、にわかには信じがたい話をご存じだろうか。「アスピリンは、ドイツのバイエル社が1897年に製品化した解熱鎮痛薬です。“頭痛にバファリン”のフレーズでおなじみの、バファリンの主成分でもあります」(医療ライター)

 医薬品ながら、アスピリンは医師の処方箋がなくても薬局やドラッグストアなどで購入でき、お値段も1錠数円と非常に安価だ。「頭痛や関節痛に効くことから、昔から重篤な症状でない人たちも服用していた“大衆薬”です」(前同)

 そのアスピリンが今、脚光を浴びているという。「昨年4月、米国の予防医学専門委員会が“50代以上は大腸がんの予防のため、アスピリンを毎日服用すべき”という勧告を出しました。10年以上の継続服用で、リスクが40%低下するという研究結果が示されたんです」(医療専門誌記者)

 頭痛薬で、がん予防とは、これ、いかに!? 「実は前々から、リウマチ患者などアスピリン常用者は、がんになる人が少ないのではないかといわれているのです」(医療ジャーナリストの牧潤二氏)

 1988年にオーストラリアの研究者が偶然、アスピリン常用者の大腸がんの罹患率が、服用していない人よりも低いことを発見。それ以来、それが科学的に証明可能かどうかの臨床試験が、世界中で頻繁に行われるようになったという。「日本でも、国立がん研究センターと京都府立医科大学が、311人を対象に臨床研究を実施(2006~2008年)。一日にアスピリン100ミリグラムを投与する人と、プラセボ(偽薬投与)の人とを比較したところ、実際に投与された人のがんの出現リスクが40%も減少したという、優位な結果が出ました」(前出の医療専門誌記者)

 アスピリンはやはり“魔法の薬”だったのか。「しかし、この臨床対象者は全員、大腸がんの危険予備群とされる大腸ポリープを内視鏡で削除した患者です。無条件に、大腸がんの発生率を比較したものではありません」(前出の牧氏)

 これを踏まえ、国立がん研究センターと京都府立医科大学は再チャレンジ。16年1月、今度は同様の対象患者数を一挙に7000人に拡大し、4年間アスピリンを服用してもらう“追試”を行うと発表している。「アスピリンに大腸がんの予防効果が期待できるとしても、国民全員に投与するとなれば巨額の資金が必要。そこで、どういう条件なら効果が顕著なのか調べ、投与対象を絞るのが、この追加臨床の目的です」(前同)

 日本の部位別がん患者数で最も多いのが、この大腸がん。それに加えて、「極めて死亡率が高い膵臓がんにも効果があるという研究もあります」(同)

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