笛吹けど踊らず、なのか、笛の吹き方に問題があるのか……。球団史上ワーストとなる13連敗を喫した巨人が低空飛行を余儀なくされている。

 不振の原因は、どこにあるのか。ペナントレースも半分近く過ぎたところで、データを全て読み直してみた。すると、あることに気がついた。巨人投手陣のホールドポイント(HP)が極端に少ないのだ。阪神の68、広島の64に対し、その約半分の35。もちろん、この数字はセ・リーグのワーストだ(記録は6月28日現在)。

 HPとは言うまでもなくホールドと救援勝利の数を合計した数字のことだ。リリーフ陣の充実度を測る指標のひとつと見ることもできる。いかにHPが重要かについては、昨季、25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島が球団史上初めて、この項目でトップの数字(128)をマークしたことでも明らかだろう。

 継投の名手と言えば、この人の右に出る者はいない。98年、横浜の監督としてチームを38年ぶりのリーグ優勝、日本一に導いた権藤博だ。その権藤は、口ぐせのようにこう言う。「仮に先発投手が6回まで好投し7、8回をセットアッパーがしのぎ、9回をクローザーが締めくくったとする。すると先発には勝利が、2人のセットアッパーにはホールドが、そしてクローザーにはセーブがつく。つまり皆が幸せになり、チームに勢いがつく。先発完投は、ひとりだけの喜び。ブルペンを含めた全体の喜びにはつながりにくい」

 はやりの言葉で言えば、ワーク・シェアリング。ひとりのピッチャーが残業(球数オーバー)してでも1試合を投げ抜くという時代では、もはやないのだ。

 参考までに言えば、HPの歴代トップは巨人・山口鉄也の324。彼が30以上のHPを記録したシーズンは08、09、11、12、13、14、15年と7度あるが、チームはこのうち5回リーグ優勝を果たしている。その山口は今、2軍にいる。低迷の背景にはセットアッパーの育成を怠ったツケがある。

本日の新着記事を読む