『わろてんか』、鈴木保奈美VS鈴木京香、真の勝者はどっち!?の画像
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 大阪編に突入した連続テレビ小説『わろてんか』(NHK)が、面白くなってきた。これはヒロインが苦境に立たされる場面が増えたことと、無関係ではない。朝ドラファンとしてはついつい過去の名作『ごちそうさん』(2013年下半期)を思い出してしまう。ヒロインめ以子(杏/31)が、嫁いだ先でネチネチしたイジメに耐え抜く姿と、今作のてん(葵わかな/19)がダブって見えて面白い。『ごちそうさん』も大阪編から一気に面白くなった印象があるが、『わろてんか』も同様じゃないだろうか。

 10月27日の放送回は、この“ヒロインの苦境”に新展開があった。てんの母、藤岡しず(鈴木保奈美/51)が、てんのいる大阪へ赴く。そして、てんに冷たく当たる啄子(鈴木京香/49)との直接対決に。激しい言葉の応酬となるが、しずは最後に「てんは一度決めたことはやりぬくはずです。北村屋さんで一人前に仕込んでやってください」と頭を下げたのだった。

 しずは京都に帰る間際、白装束をてんに渡した。それは喪服で、夫と墓場まで添い遂げよ、というしずの強い思いが込められていたのだ。しかしその晩、白装束がなくなってしまう。これは啄子が決めた藤吉(松坂桃李/29)の許嫁(いいなずけ)、楓(岡本玲/26)によるイジメだった。

 鈴木京香が演じる質素倹約のごりょんさん(若おかみ)と、鈴木保奈美が演じるふだんはおっとりしたお嬢さまおかみとの対決に、胸が熱くなった視聴者も多いはず。ヒロインの葵や藤吉も、この放送回ばかりは完全に脇役で、大物女優二人のにらみ合いにかすんでしまっていた。特に鈴木保奈美の眼光の鋭さと、迫力ある芝居は見応えたっぷりだった。

 鈴木保奈美は芸能界から離れていた時期も長いため、若い世代にとってはベテラン女優の一人と思われているかもしれない。けれど、30代後半から40代の人間にとって、彼女は間違いなくスーパースターだ。彼女の主演作は、1991年放送のドラマ『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)や、92年放送のドラマ『愛という名のもとに』(フジテレビ系)など、枚挙にいとまがないが、当時演じていた天真爛漫キャラから、今は見事に脱皮。これが女優としての成功につながっている。

■福士蒼汰の母親役も話題に!

 とんねるずの石橋貴明(56)との結婚後、子育てのために芸能界を一時、引退していたのだが、2008年に芸能界に復帰してからの活躍が見事だ。11年のNHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』でヒロイン三姉妹の母親役、13年のドラマ『家族ゲーム』(フジテレビ系)では神木隆之介(24)の母親を演じて話題となった。また16年公開の映画『カノン』でも主人公姉妹の母親で、アルコール性認知症を患った女性という難しい役どころが好評に。この役でゴールド・クレイン賞という映画賞の、最優秀助演女優賞も受賞している。

 また、最近ではドラマ『愛してたって、秘密はある。』(日本テレビ系)の記憶も新しいが、このドラマでは福士蒼汰(24)の母親役を演じている。そう、鈴木保奈美は今や日本を代表する“母親女優”なのだ。これは昔、演じることが多かった高飛車キャラを、うまく封印できているおかげだろう。母親女優になっても女としての気高さと美しさはそのままで、おばさんくささがまるでないのはさすがだ。『わろてんか』のしず役は、鈴木保奈美の母親役経歴を、より輝かしいものにしてくれるのではないだろうか。

朝ドラ批評家半澤の朝ドラブログ
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