チャイルドシートは何歳まで!? 海外では15歳まで必要な国もあった!の画像
チャイルドシートは何歳まで!? 海外では15歳まで必要な国もあった!の画像

 車での移動時に子どもの安全を守る「チャイルドシート」。安全を守るだけでなく、法律で着用が義務づけられている。だが、実際にはいつまで着用すればよいのかと聞かれれば、細かく把握していないのが実情だ。今回はこの「チャイルドシート」について、その種類と、着用期間について徹底解説したい。

■法律上は「5歳まで」

 何歳まで「チャイルドシート」が必要なのか? これについては次のように道路交通法に定められている。

「自動車の運転者は、幼児用補助装置を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない」

 この場合の「幼児」は同法において「6歳未満の者」をいう。つまり5歳までの子どもを車に乗せるとき、運転者は子どもをチャイルドシートに乗せることが義務づけられているのである。チャイルドシート使用義務違反は点数1点となる。

■6歳未満でも使用しなくて問題ない例

 ただし例外もある。道路交通法施行令(第26条の3の2の第3項)には使用義務免除の条件について記載がある。

  • ・座席の構造上、チャイルドシートを固定することができないとき。
  • ・定員内の乗車で、乗車人員が多人数のため乗車する幼児全員にチャイルドシートを使用すると全員が乗車できなくなるとき。
  • ・幼児が負傷している等、チャイルドシートを使用することが療養上又は健康保持上適当でないとき。
  • ・著しい肥満や、その他幼児の身体の状態により適切にチャイルドシートを使用できないとき。
  • ・チャイルドシートを使用したままでは、授乳等の日常生活上の世話ができないとき。
  • ・バス・タクシーなど、一般旅客運送事業の用に供される自動車運転者が当該事業の旅客である幼児を乗車させるとき。
  • ・自治体が廃止バス路線等で運行するいわゆる過疎バスなどに、自動車運転者が当該運送のため幼児を乗車させるとき。
  • ・応急救護のため医療機関、官公署等へ緊急に搬送する必要がある幼児を乗車させるとき。

 つまり、緊急性の高い場合や、車内で授乳やオムツ替えといった子どもの世話をするとき、子どもの具合が悪くてチャイルドシートに座らせることができない場合などは、違反とはならない。

■法律上は「5歳まで」だけど、安全上は違う!

 さて、法律上、チャイルドシートは5歳までの子どもを乗せる際に運転者に対して義務づけられているが、安全面を考えた場合、事情は異なってくる。実は乗用車に備えつけられたシートベルトは、身長約135センチメートル~140センチメートル以上の体型の者に対して有効性が発揮されるように設計されている。そのため、法律上は5歳までだが、実はシートベルトの有効性が発揮される身長になるまで、つまり「子どもの身長が約140センチメートル」になるまでは使用していたほうが安全なのである。

 チャイルドシートの種類については後述するが、学童用のジュニアシートは身長約100~150センチメートル、体重約15~36キログラムの児童が対象。体型差もあるが、3歳から12歳ごろまでを想定しており、安全のためにも子どもの成長に応じ、チャイルドシートをアップデートしていったほうがよいだろう。

■公共機関のルールは?

 ここまで乗用車の場合について解説してきたが、公共交通機関の場合はどうだろうか。

●バスとタクシー

 先の道路交通法施行令(第26条の3の2の第3項)には、バス、タクシーについては使用義務は免除されることが記されている。

●電車

 鉄道におけるルールは道路交通法ではなく鉄道関連の法律や条例に定められているが、乳幼児を乗せる際に、チャイルドシート着用の義務などは定められていない。

●飛行機でもチャイルドシートが必要!?

 実は飛行機に乗る際には、チャイルドシートが必要になることがある。各社ホームページで詳しくその条件やルールを記載しているため、子連れでの帰省や旅行のとき、あらかじめ確認しておくのが良いだろう。

日本航空(JAL)の場合

 大人1人に対し2歳未満の子どもが2人同乗する場合、1人の子どもにはチャイルドシートが必要となる。この場合、自分で持ち込むか、航空会社で貸し出しを行っている。

全日本空輸(ANA)の場合

 特に条件は定められていないが、チャイルドシートを持ち込んで利用することができる。持ち込める製品は日本国土交通省承認のもの、欧州承認のものなど、細かく決まっている。

バニラ・エアの場合

 新生児(生後8日未満)は搭乗できない。乳幼児(生後8日から2歳未満)が座席を使用する場合、チャイルドシートの使用が必要となる。貸出はしておらず、自身で持ち込む必要がある。持ち込める製品は日本国土交通省承認のもの、欧州承認のものなど、細かく決まっている。係員による装着の手伝いはないため、同乗者が自ら取りつけることが必要になる。

ジェットスター・ジャパンの場合

 新生児(生後3日から7日)は、医師の診断が必要。抱っこひもの使用は禁止。2歳未満の乳幼児1人についてチャイルドシート1点を機内に持ち込んで利用することができる。ただしジェットスター・ジャパン便は除く。持ち込む場合はあらかじめジェットスターコールセンターに電話をかけてその旨を伝えておく必要がある。

ピーチの場合

 新生児(生後8日未満)は搭乗できない。幼児(生後8日から1歳)の場合、シートベルトサイン点灯中は大人の膝の上に座らせるか、チャイルドシートの使用が必須。2歳から11歳までの子ども1人に対してチャイルドシート1点を機内に持ち込んで利用することができる。貸し出しは行なっていない。持ち込める製品については日本国土交通省承認のもの、欧州承認のものなど、細かく決まっている。

■海外のルールは?

 乗用車におけるチャイルドシートの使用については、日本だけでなく各国でも法律で定められている。国際自動車連盟の調査結果は次のようなものだ。

●アメリカ

 各州でチャイルドシート使用義務の要件が異なっており、旅行の際は確認が必須だ。例えばアラバマ州は0~5歳、アラスカ州は0~4歳、アリゾナ州は0~4歳、アーカンソー州は0~6歳または体重60ポンド(27キログラム)、カリフォルニア州は0~5歳または体重60ポンド(同)未満……といった具合だ。

●ヨーロッパ圏

 英国では、3歳未満の子どもを前部座席または後部座席に乗せて運転する場合は、子どもをチャイルドシートに着座させなければならない。3歳から12歳で身長135センチ未満の子どもを前部座席に乗せて運転する場合は、チャイルドシートに着座させるか、シートベルトを着用させなければならない。後部座席に乗せて運転する場合は認定されたチャイルドシートに着座させるか、車に装備されていればシートベルトを着用させなければならないという決まりがある。オランダは、身長135センチ未満の子ども(18歳未満)については、UNECE44/03以降の規格に準拠し、身長に適合した拘束(保護)装置の使用が義務づけられている。これは前部・後部座席の双方に適用される。3歳未満の子どもを拘束(保護)装置がない車に乗せて運転してはならない。その他各国でチャイルドシート使用義務が定められている国がほとんどだ。

●アジア圏

 世界各国におけるチャイルドシート事情をみると、アジアはかなり緩い。マレーシアやタイ、ベトナム、インド、インドネシア、中国には、2017年11月現在、チャイルドシート使用義務はない。例外は香港で、15歳未満の乗員は年齢と体重に適合した認定チャイルドシートを使ってしっかりと拘束することが必要。アジア圏において日本のチャイルドシート使用義務のルールは、かなり厳格なほうである。

■チャイルドシートの選び方

 実は、ひとくちに「チャイルドシート」といっても、子どもの身長に合わせて様々な種類が用意されている。国土交通省のウェブサイトによれば、3種類ある。

●乳児用

 体重13キログラム未満、身長70cm以下、新生児~1歳ぐらい。

 乳児期は首がすわっていないため、寝かせるタイプを使う。後ろ向きに使用する「シートタイプ」と横向きに使用する「ベットタイプ」とがある。

●幼児用

 体重9~18キログラム、身長65~100cm、1歳~4歳ぐらい。

幼児の首が据わり、自身で座れることが使いはじめの目安。「前向きシート」として使用する。

●学童用

 体重15~36キログラム、身長135センチ以下、4~10歳ぐらい。

「座席を上げて背の高さを補う」「腰ベルトの位置を子どもの臀部に合わせる」ことによって大人用の座席ベルトが使えるようにするものになる。

 いずれのタイプについても、現行の安全基準に適合しているものには「Eマーク」が添付されている。購入時は、このマークがついているかどうかを必ず確認しよう。また2012年6月30日以前に製作されたチャイルドシートには、道路交通法改正前の古い基準に適合していることを示す「自マーク」が添付されている場合がある。

 さらに、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構では、市販のチャイルドシートについて前面衝突試験と使用性評価試験を行い、その結果を安全性能の評価として公表している。前者では、時速55キロメートルでの前面衝突時に、ダミーの人形の頭部、胸部に与える影響等を、「優」「良」「普通」「推奨せず」で評価している。後者では、チャイルドシートの誤った使用を防止する観点から「取扱説明書等の記載内容」「本体表示内容」「機構の性能」「座席への取つけ」「着座性」について点数評価をしている。

 安全性の高さなどを知るために、「チャイルドシートアセスメント」という単語で検索して吟味した上で購入するのがよいだろう。

■チャイルドシートあれこれ

 本記事でもいくつか、チャイルドシートを紹介したい。

●コンビ Combi チャイルドシート マルゴット  BE

https://www.amazon.co.jp/dp/B00PXN8MJ0/

 なんと新生児から7歳ごろまで使える優れもの。成長に合わせヘッドレストが上下する。通気性の高いメッシュシートや座面の「点で支えるクッション」が特徴。

●コンビ EX COMBI グッドキャリー

https://www.amazon.co.jp/dp/B000MRQ69K

 1歳まで使用できる乳児用。車に乗るときはベビーシート、そのままキャリーとして移動でき、家ではロッキングチェアとして1台3役で使える商品。

●Aprica (アップリカ) フラディア ラクート エレガント カレイドレッドRD

https://www.amazon.co.jp/dp/B00TV2K76U/

 ベッド型、後ろ向きイス型、前向きイス型に変えることができ、対象となる体重も横向きベッド時は2.5キログラムから9キログラム未満、後向きシート時が首すわりから10キログラム未満、前向きシート時9キログラムから18キログラムまでと幅広い。回転シートが底面についているため、横を向いてお話をすることなどもできる。

●マキシコシ MAXI-COSI 【日本正規品保証付】 ペブル Pebble トラベルシステム ISOFIX対応 チャイルドシート(0~1歳向けベビーシート)

https://www.amazon.co.jp/dp/B01BKB37R0/

 セレブママに人気のマキシコシ。コンビグッドキャリーと同じように、車に乗るときはベビーシート、そのままキャリーとして移動でき、さらに別のベビーカーに備えつけることができるため、車でお出かけして、到着してからベビーカーで移動……という使い方もできてとても便利。

【その他】

●GRACO (グレコ) ジュニアシート ジュニアプラス メトロポリタンGR

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 良心的な価格が嬉しいグレコはアマゾンでも人気。3歳ごろから長く使える。

●【Amazon.co.jp限定】タカタ 04ビーンズ シートベルト固定チャイルドシート(0~4歳向け)

https://www.amazon.co.jp/dp/B008J0S136/

 アマゾンでも超人気。チャイルドシートアセスメント乳児モードで最高評価の「優」を獲得している。

■まとめ

 チャイルドシートは大切な子どもを事故などの危険から守るアイテム。万が一の事態が起こったら、悔やんでも悔やまれないことになってしまう。しっかり選んで、安全運転で楽しくお出かけしたい。(文・山本山子)

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