
乱獲による水産資源の減少から、漁獲制限が設けられている太平洋産のクロマグロ。しかし、今年は三陸沖や北海道で豊漁だという。「10月頃から、サケやブリを狙った定置網にクロマグロが大量にかかり始めたんです。北海道の定置網だけで、クロマグロの漁獲量は600トンに及び、日本全体の定置網による漁獲枠を突破。うれしい悲鳴が上がっています」(地元紙記者)
とはいえ、喜んでばかりはいられない事情もある。「漁獲量が増えているのは、国際的に厳しい制限が設けられている30キロ未満の小型マグロが主。2015年に日本の提案で30キロ未満の魚の漁獲量に上限を決める国際ルールが設けられたんですが、16年は上限を日本は遵守できなかった。豊漁だからといって、17年も達成できないとなると、国際的な非難は避けられません」(漁業関係者)
■定置網をやめればサケやブリが獲れなくなり…
こうした事態に、水産庁は、小型のクロマグロの海洋投棄を容認する方針を打ち出したが、これは無理筋だという。「サケやブリを獲るための定置網にマグロの小型魚が混ざり捕獲されるケースが多いため、マグロだけを選別することはできないし、定置網をやめれば本命のサケやブリが獲れなくなってしまう」(前同)
そもそも、なぜクロマグロの小型魚が豊漁なのか。「日本近海の水産資源量が増加したためだと考えられます」(水産庁漁場資源課)
ただ、日本近海の太平洋産クロマグロの資源回復は、データの裏づけがなく国際的には認められていない。「逆に大西洋産クロマグロの資源量は回復しています。モロッコで開かれた国際会議で、20年からは現在の漁獲枠を5割以上引き上げることで合意。流通量も増え、価格も安くなりそうです」(全国紙記者)
大西洋からの吉報に、コラムニストの下関マグロ氏は喜びの声をあげる。「一時はマグロが食べられなくなるんじゃないかと心配しましたが、漁獲量が増えているのは喜ばしいことです。おいしいマグロの赤身が、まだまだ食べられるということですから」
お先“マックロ”に見えたマグロ漁の未来が、明るくなってきた!?