離婚前に試すべき!? 家庭内別居という夫婦のあり方を考える

「家庭内別居」という不思議な言葉をご存知だろうか? 最近増えてきていると噂の夫婦のあり方なのだが、家庭内で別居? どうやって? と思う人も多いはず。今回は家庭内のことだけに、なかなか実態が明るみに出にくい「家庭内別居」について調査してまとめてみた。

■仮面夫婦との違いは? 家庭内別居の実態

●家庭内別居の定義とは

 家庭内別居とは、婚姻している夫婦が同じ家に同居はしているものの、実質的には別居同然で、夫婦というよりは単なる同居人同士としての生活を送っている状態のことである。

 ひと言で家庭内別居と言っても、各家庭ごとにさまざまなやり方があるため、必ずしも状況をひとくくりにすることはできない。しかし、ざっくりとではあるが、分かりやすいよう家庭内別居の深刻度をレベル分けしてみよう。

■ウチはどのレベル!? 家庭内別居の深刻度を簡単チェック

【深刻度レベル 初級】

  • □お互いの言動に興味や関心がない
  • □休日は別々に過ごす

 相手が外で誰と何をしていようと、家で何を話してどう過ごそうと興味や関心がなくなる。「そういえば、最近は夫婦の会話が減って目も合わなくなったな」と感じたら、それは家庭内別居の始まりのサインかもしれない。

【深刻度レベル 中級】

  • □寝室を別にして夜の夫婦生活がない
  • □なるべく顔を合わさない
  • □なるべく会話をしない
  • □一緒に食事をしない
  • □風呂タイムをずらす
  • □洗濯物は別々に洗う

 中級者になると、同じ寝室で寝たり、一緒に食卓を囲んでいる夫婦はほとんどいない。このレベルぐらいが家庭内別居を解消して、元通りの夫婦関係に戻れるかどうかの境界線といいっていいかもしれない。絶対に離婚したくない、やり直したいと思っているなら、これ以上、関係性が悪化してしまう前に、何らかの対策を打つべきだ。

【深刻度レベル 上級】

  • □生活費の財布を別々にする
  • □個室をもうけたり、居住空間を分けるなどして顔を合わさない
  • □直接会話はせず、最低限の連絡事項はメールやLINEで行う
  • □食事の用意や片づけは各自で行う
  • □冷蔵庫の中を区分けして、食材も各自で管理する
  • □洗濯物は各自で洗う
  • □自分の空間は自分で掃除する
  • □自分が出したゴミは自分で捨てる

 上級者ともなれば、食事の支度も含むすべての家事を各自が別々に行っており、お互いに相手の分の家事はしないのが普通になる。こうなると、同じ屋根の下で暮らしていてはいても、相手との接触がまったくないため、存在感すら感じなくなる。衣食住の内、いよいよ「住」を共有しているのみになるのである。

●仮面夫婦との違い

 夫婦関係が破綻しており、実質的には別居同然の冷えきった暮らしをしている夫婦というと、まず最初に思い浮かぶのが「仮面夫婦」という言葉ではないだろうか。夫婦としての実態や愛情がないのにも関わらず、対外的には仲のよい夫婦として振る舞う人たちのことを、世間は「仮面夫婦」と呼ぶのである。「仮面夫婦」は、家の中では家庭内別居状態の生活をしていることが多い。家庭内別居をしている夫婦の中には対外的に隠さない人もいるため、家庭内別居をしているすべての夫婦=仮面夫婦ではないが、仮面夫婦は家庭内別居をしている夫婦の一端といっても差し支えないだろう。

■なんで離婚しないの!? 家庭内別居を選択するメリット

 はた目から見ると、さっさと離婚すればいいのに…と思ってしまうが、家庭内別居を選ぶ夫婦が少なくないのには、それなりの理由やメリットがあるからだ。

●経済的なリスクが少ない

 別居する場合、夫か妻のどちらか一方が自宅を出て行き、別の家で生活することになる。そうなると家賃はもちろん、光熱費や食費なども完全に別払いになるため、生活費が単純に今の2倍になると考えよう。専業主婦の妻は収入を得るために仕事を始めなければ、生活が立ち行かなくなる可能性もあるし、共働き夫婦でも経済的には負担が増えるだろう。

●世間体が変わらない

 たとえ家庭内で別居していたとしても、家庭外にいる両親や会社、学校、近所などから見れば、2人の関係性は以前と何ら変わりない。周囲の人に夫婦の不仲を知られたくないとき、家庭内別居は非常に都合がよいシステムなのである。

●子どもと一緒にいられる

 子どもがいる夫婦が別居する場合、夫か妻のどちらか一方は、子どもと離れて暮らさなければならなくなる。夫婦仲の破綻と同時に子どもからも引き離されてしまうのは、正直なところキツいだろう。

●別居や離婚ほどパワーが必要ない

 生活をともにしていた夫婦には共有している事柄が多く、別居や離婚をするには、相応の時間と労力が必要になってくる。はっきり言って面倒くさいことが多いし、白黒つけるのに、かなりのエネルギーを要するのだ。家庭内別居であれば、表面上は生活を変える必要がないため、それほど大きな負担にはならない。

●意外と知られていない!? 家庭内別居でも相手に生活費が請求できる

 日本の法律では、夫婦には日常生活に必要な費用をお互いに分担して助け合う義務がある。夫婦が日常生活に必要な費用のことを「婚姻費用」と言い、たとえ家庭内別居状態にあっても、収入の少ないほうが多いほうに請求することできる。つまり、会社員の夫が専業主婦の妻と別居した場合、妻は無収入のため、別居中の婚姻費用は夫が負担しなければならない。ただし、家庭内別居の状況によっては、家賃や光熱費といった固定費は婚姻費用に入っても、衣食費や医療費などは入らないことがある。

■もう離婚したほうがマシ!? 家庭内別居のデメリット

 家庭内別居には、それなりのメリットがある一方で、当然のことながらデメリットもある。

●子どものストレスになる

 子どもがいる夫婦は、子育てのためには両親がそろっていたほうがよいという考えのもと、家庭内別居を選ぶことが多い。しかし実際には子どものためになるどころか、その成長に悪影響を及ぼす可能性もある。子どもは大人が思っている以上に繊細でデリケートなため、たとえ隠しても両親が別居状態にあることを察知し、1人で思い悩むかもしれない。家庭内別居が、本当に子どものためになるのか、もう一度考えてみたほうがいい。どちらにしても絶対にNGなのは、子どもを親の連絡係に使うことである。不仲な両親の板挟みになった子どものストレスは推して知るべしだ。

●同じ空気を吸うのも耐えられないほど嫌いになる

 家庭内別居とはいえ、同じ屋根の下に暮らしていると、時には顔を合わせてしまうこともある。また、生活音や生活臭などは完全に消すことができないため、相手の存在を完全に忘れて暮らすことは難しい。同居していることが夫婦の「仕事」であると割り切れるのならば問題ないが、割り切れない人にとってはストレスに満ちた毎日を強いられていることになり、まさに地獄の結婚生活となってしまう。

●浮気や不倫がしづらい

 相手への愛情が消え去っていたとしても、2人が婚姻関係にある夫婦であることには変わりない。たとえ相手が認めていたとしても、他の人と恋愛すれば、世間的には浮気や不倫と認定されてしまう。

●看病したり介護する必要が出てくる

 病気やケガで入院した場合、真っ先に連絡が行くのは配偶者のところである。また年齢を重ねていけば、いずれは介護問題が発生するかもしれない。相手へのケアや対処を求められたときに、家庭内別居状態にあるからといって断るのは難しいだろう。

■家庭内別居中に不貞行為があったら、相手に慰謝料請求できる!?

 家庭内別居中に相手の浮気や不倫が発覚したときに、慰謝料を請求できるかどうかは、別居の状態によって変わってくる。

●慰謝料を請求できないケース

 同居していても、長期間に渡って結婚の実態がまったくない場合は、夫婦関係が壊れていると見なされる。財布が完全に別になっており、相手の分の家事をまったく行わず、夜の夫婦生活もないとなると、慰謝料を請求することはできない。

●慰謝料を請求できるケース

 逆に家庭内別居状態だったとしても、家計が同じであり、相手のために家事を行い、不貞期間中に夜の夫婦関係があったりすると、配偶者として精神的な苦痛を味わったとして慰謝料を請求することができる。

■円満に家庭内別居するためのテクニック

 デメリットを知った上で、それでも家庭内別居するならば、せめて事を円満に進めてほしい。家庭内別居のやり方やルールについてヒントを紹介しておこう。

【家庭内別居の始め方】

ちゃんと話し合う

 2人の合意のもとで家庭内別居するときは、前もって話し合い、ルールなどを決めてから始めるのがスムーズだ。決定事項を何らかの書面にして残しておければ、後になって「言った言わない」のトラブルも減る。成り行きで何となく家庭内別居がスタートしてしまった場合でも、一度きちんと話し合う機会をもうけると、モヤモヤや余計な気遣いがいらなくなるせいか、精神的にラクになる。

少しずつ家庭内別居状態にもっていく

 相手の合意を得られそうもないときや、顔を突き合わせて話し合うのもイヤなほど嫌悪感があるときなどは、自分が工夫して少しずつ家庭内別居状態を作っていくしかない。別居状態にするポイントとしては、家の中で2人が共有しなければいけない空間や物を排除していくことが挙げられる。手始めに、相手のイビキや自分や子どもの体調を理由に寝室を分けてみるだけで、大きな違いを実感できるだろう。

【家庭内別居のルール】

 面倒でも可能なかぎり細かいルールを決めておくことが、トラブルやストレスの軽減につながる。

生活費

 夫も妻も生活がかかっているため、最も神経質になってしまうのが金銭面である。ルール作りをするなら、まず最初に明快にしておきたい。家賃や光熱費、税金、保険などの支払いはもちろんのこと、些細な消耗品の支払いに関してもハッキリしておいたほうがいい。

食事

 どちらかが相手の分まで作る、当番制にする、完全に別々にするなど、さまざまな食事スタイルが考えられる。しかし食事は毎日3度のことであるため慎重に決めてほしい。また冷蔵庫の中は生活感が出やすいため、思いきって2つに分けてしまうという手もある。

リビング

 どちらかがリビングを使っているときは他方が別の部屋へ移動する、もしくはリビングを使用禁止にしてしまうのもアリである。それぞれが自分の部屋を持ち、自分専用のテレビやPCを用意できればベストだ。

洗濯

 どちらかが相手の分まで洗濯する、当番制にする、完全に別々にするなど、洗濯のやり方にもいろいろある。最終的には洗濯機は共有するものの、自分の衣類は自分で洗濯するパターンに落ち着くことが多いようだ。

掃除

 自室や自分が使った空間は自分で掃除することを基本にすればよい。その場合は、共有するリビングや台所、浴室、トイレ、玄関などは、いつ誰が掃除をするか決めよう。

 1台の車を2人で使う場合は、使用時間やガソリン代、駐車場代を含む維持費の支払いなどについて決めておく必要がある。

帰省

 両親に家庭内別居の事実を明らかにしていない場合、困るのが帰省である。親を巻き込みたくないなら、夫婦として2人で一緒に過ごすのか、何か理由を作って別々に過ごすのかは考えどころだ。

親の介護

 自分たちの前に、お互いの両親の介護問題が発生する可能性が高い。誰がどのようにケアするのか、ある程度は決めておいたほうがいいだろう。

自分たちの介護

 親の次は自分たちの番である。介護が必要になるかどうかは分からないが、だからといって何の対策もせず、子どもにすべてを丸投げするのは避けたい。

■もしも夫婦関係を修復できなかったら? 家庭内別居の次のステップ

 家庭内別居を経験しても、関係性を修復し元通りの同居状態に戻る夫婦もいる。ある程度の距離感を保つことで頭を冷やし、互いの必要性を再認識できるからだ。その一方で、破綻した関係を修復できず、次のステップに進んでしまう夫婦も少なくない。

●別居

 家庭内別居の後は、完全に住まいを分ける別居に踏み切るケースが多い。お互いが同意して別居するにしても、自宅を飛び出すような形で強引に別居するにしても、結果的には相手のいない生活が確立されてしまうため、元に戻りづらくなるのは確かなようだ。完全に別居した状態で一定期間を過ごすと、夫婦関係は修復不可能とみなされ、調停や裁判で離婚が認められることもある。

●離婚

 家庭内別居も別居もイヤということになれば、最終的には離婚して籍を抜くしかない。双方が合意していればすぐに離婚できるが、どちらかが拒否している場合は調停や裁判をしなければならない。家庭内別居は家庭外から見れば同居と同じ扱いになるため、家庭内別居の事実だけで離婚するのは難しい。ただし、相手の不貞行為や、生活費の不払い、DVといった特別な理由があれば、家庭内別居でも離婚が認められることがある。

■まとめ

 今回はいきなり離婚する前に、試すべきかもしれない「家庭内別居」という選択肢について紹介したが、いかがだっただろうか? 10組の夫婦がいれば、10種類のあり方がある。子どもや自分たち夫婦が幸せになれるベストな方法を模索するのは、決して悪いことはでないだろう。

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