「年末ハイウェイ戦争」最高速度引き上げで渋滞や事故が多発!?の画像
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 11月1日、東京と名古屋を結ぶ大動脈、新東名の最高速度が100キロから110キロに引き上げられた。「日本の高速道路の最高速度は100キロで、初めてそれを超えたことになります。現在は新静岡IC~森掛川ICの約50キロの区間だけですが、少なくとも1年間の試験期間を経て、さらに120キロに引き上げられる予定です」(全国紙記者)

 新東名だけでなく、12月1日からは東北道の花巻南IC~盛岡南ICでも最高速度が引き上げられており、「2つの試験で安全性が確かめられれば、新東名や東北道の引き上げ区間の延長に加えて、常磐道や関越道、九州道など他の路線でも、最高速度の引き上げが検討される方向です」(前同)

■トラックなど大型車両の速度は80キロのまま

 歓迎するドライバーも多いだろうが、一方で、新東名では早くも混乱が起きつつあるという。実際に新東名の当該区間を走ったトラックドライバーが証言する。「最高速度が引き上げられたと聞いて、楽しみにして新東名に乗ったんだよ。そしたら、トラックなんかの大型車両の速度は80キロのまま。それに気づかないで、時速110キロと思われるスピードで走行している大型車両が、けっこういたよ」

 “誤算”はそれだけにとどまらず、「3車線部分では、大型車両は左側車線を走行しなければいけない」(前同)というのだ。全国紙記者が解説する。「大型車両は対象ではない、10キロ以上3車線が続く箇所では、大型車両は左側車線を走行しなければならないのは今まで通り、などの周知はうまくいっていません。“最高速度の引き上げ”の言葉だけが、先走りしてしまった感は否めませんよ」

 勘違いによる“違反走行”が散見される一方で、「静岡県警は、オービスの新設や覆面パトカーなどによるパトロールを増やし、速度超過や通行帯違反の取締りを強化する方針」(前同)というからたまらない。「年末の物流や交通量が多い時期ということで、相当な混乱が生じる可能性があります。たとえば、普段は比較的自由に走る大型車両のドライバーも、取締りの強化を受けて左側車線に集中しかねません」(同)

■渋滞や混乱のデメリットも…

 また、前出のトラックドライバーは、もう一つ懸念があるという。それは、大型車両の追い越し時だ。「普通車両は110キロに10キロ引き上げられた一方で、大型車両は90キロではなく80キロのまま。速度差は広がってしまったんです。追い越そうとして一時的に中央車線に出たところ、速度差の拡大からお互いに目測を誤り、事故が多発する可能性もある。そうなれば、速度引き上げのメリットよりも、渋滞や混乱のデメリットのほうが大きくなりかねない」(同)

 わざわざ年末に始まった最高速度引き上げの実験。その意図とは。

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