『わろてんか』、“寺ギン”兵動大樹は原田泰造を超える俳優になる!?の画像
『わろてんか』、“寺ギン”兵動大樹は原田泰造を超える俳優になる!?の画像

 毎週少しずつ成長していくてん(葵わかな/19)や藤吉(松坂桃李/29)と風鳥亭を描き、ここのところリズムが出てきたNHKの連続テレビ小説『わろてんか』。先週の放送は風鳥亭が、太夫元(興行責任者)の寺ギン(兵動大樹/47)と衝突し、最後には“大阪お笑い春の陣”を制するという、爽快な展開だった。

 2017年12月23日の放送回(第72回)を振り返ってみよう。寺ギンが風鳥亭を訪れて小屋を買ってやろうかと、藤吉に持ちかけたそのときだった。藤吉が経営する北村笑店で雇ってほしいという、オチャラケ派の芸人150人を引き連れ、風太(濱田岳/29)が頭を下げにやってきた。寺ギンは金を貸していることをタテに、オチャラケ派芸人の移籍を止めようとするが、てんは芸人たちの借金2500円をすべて肩代わりすることを申し出る。

 2500円もの借金を返す手立ては、てんのへそくり。その姿を見た伝統派の噺家、喜楽亭文鳥(笹野高史/69)は「貧乏でもなんでも、毎日わろうて暮らせそうな気がするわ」と、伝統派一門も北村笑店に出演することを告げた。その後、大阪から去ろうとしていた風太をてん夫妻が止め、風太に北村笑店の番頭になってくれるよう頼みこむ。風太は涙ながらにこれを受け入れ、風鳥亭で働くことが決まった。

 太夫元を引退して僧侶に戻り、この回でドラマから姿を消した寺ギンだが、そのインパクトはかなりのものだった。この役を演じた、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑いコンビ、矢野・兵動の兵動大樹は、主に関西圏で活躍する芸人だ。

 彼のお笑い芸人としての才能を知っている人も、ここまで芝居がうまいことには驚いたはずだ。風貌も声も迫力たっぷりだった寺ギンと、藤吉や風太とのにらみ合いは、なかなか見応えがあった。SNS上ではなんとまさかの“寺ギンロス”の声も上がっており、制作者サイドもこの評判に驚いているのではないだろうか。

■NHKは“芸人俳優”がお気に入り?

『わろてんか』ではいったんお役御免となった兵動だが、今後は注目の俳優となるかもしれない。実は彼が全国区のドラマに出演するのは、今回が初めてではない。15年に放送された、西島秀俊(46)主演のドラマ『無痛~診える目~』(フジテレビ系)にも刑事役で登場していて、このときも高い評価を得ていた。今回はなにしろ、吉本興業の成功譚。“吉本”という看板を背負っていただけに、かなりプレッシャーを感じていたのではないだろうか。

 お笑い芸人の出演と言えば、朝ドラでは13年下半期放送の『ごちそうさん』での、ネプチューンの原田泰造(47)の演技が印象深い。原田は08年の『篤姫』、10年の『龍馬伝』、15年の『花燃ゆ』と、NHK大河ドラマではおなじみだ。

 今回の『わろてんか』で、万丈目吉蔵を好演している藤井隆(45)は、02年下半期放送の朝ドラ『まんてん』でブレイクし、16年放送の大河ドラマ『真田丸』で主要キャストを務めている。実は、NHKは「芸人俳優」が好きなのだ。物語前半に最大の悪役としてドラマをかき回した寺ギンこと兵動の、ふてぶてしさすら感じさせる演技は、大河ドラマをはじめ、時代劇が多いNHKと相性がいいはず。今後のドラマ出演に注目したい。(半澤則吉)

朝ドラ批評家半澤の朝ドラブログ
http://blog.livedoor.jp/hanzawanoriyoshi/

本日の新着記事を読む