松雪泰子
松雪泰子

 永野芽郁(18)が主演する連続テレビ小説半分、青い。』(NHK)は2週目を迎え、ネットでも話題になっているようで、「涙が出た!」「朝から泣いてしまった」と感動の声が上がっている。母親の晴を演じる松雪泰子(45)ら豪華俳優陣の共演と、ヒロインである鈴愛の子ども時代を演じる矢崎由紗(8)ら子役たちの演技も評判のようだ。

 今回は4月12日の放送回を振り返ってみよう。左耳の不調を訴えた鈴愛は名古屋で検査を受け、おたふく風邪からくる難聴と診断された。晴と夫の宇太郎(滝藤賢一/41)は、娘が不治の病にかかってしまったという事実を突きつけられ、とまどいを隠せなかった。「なんであの子はこんなことになったのですか」と、晴は涙を流し、娘の今後を思いやった。晴たちはその夜、鈴愛にもう耳の治療はしない旨を説明する。左耳が治ることはなく、完全に聴力を失ったという事実を知り、鈴愛は一瞬言葉を失うが、「元気だった頃の左耳に、バイバイって言えんかったな」と、子どもながらに重たい事実を涙も見せず受け止め、晴は再び大粒の涙を流した。

 鈴愛が左耳の聴力を失うという、ドラマ全体にとっても重要な回だったが、何より松雪泰子の子を思う母親としての熱い演技がすてきだった。30代、40代の人なら松雪泰子の名を聞いて、まず思い出すのがドラマ『白鳥麗子でございます!』(フジテレビ系)ではないだろうか。1993年に放送されたこのドラマで、松雪は大金持ちのご令嬢、白鳥麗子を演じ、たちまち全国区の女優になった。プライドが高く、高飛車という役柄がインパクト大だったため、当時のイメージが強いが、以後は2006年の映画『フラガール』で主演を務め、日本アカデミー賞で主演女優賞優秀賞に輝くなど、20年以上もトップ女優として活躍し続けている。そんな彼女が朝ドラの母親役を演じると聞き、期待しないわけにはいかなかったが、宇太郎とともに涙を流すシーンは、さすがのひと言だった。

 NHKの見事な配役に手を叩きたくなるが、実はこのキャスティングの布石となったのでは、と思いたくなる名作ドラマがあった。それが2010年に放送された『心の糸』(NHK)だ。これはドラマスペシャルとしてNHK名古屋放送局が制作したドラマだが、海外のドラマ賞を数多く受賞するなど、話題となった。松雪泰子はこのドラマで生まれつき耳の聞こえない主人公の永倉玲子を演じ、手話にも挑戦している。『半分、青い。』の鈴愛は片耳の聴力を失ってしまうわけだが、かつて耳が聞こえないヒロインを演じたことのある松雪がその母親役とは、まさに適任と言える。

 また、松雪が『半分、青い。』で母親役に挑戦している点も、興味深い。『心の糸』は神木隆之介(24)が演じた、一人息子の明人と母子の絆を描いた作品だったため、NHKで再びの母親役には気合いも十分入っているはず。これから青春期を迎えるヒロインの鈴愛とのやりとりも楽しみだ。松雪泰子の母親っぷりに注目したい。(半澤則吉)

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