毎日のように通り抜け、改札にタッチするように、ピピっとお買い物。昨日寄ったか寄らなかったか覚えていないぐらい無意識な存在である“あなたの街のコンビニ”。

 だが、いわゆる良家のお嬢様にとって、コンビニは未知の世界だった。体に良い、バランスのとれた食事が毎食用意され、友達と駄菓子を買い食いすることも、流行りのおまけがついたお菓子をスーパーで買ってもらえることもなく育った女の子が、高校生になって初めて足を踏み入れたコンビニは、すべてがキラキラと輝くワンダーランドだ。

 レジ脇のホットスナックにときめき、アイスや菓子パンの種類にめまいがする。昆布や鰹節できちんと出汁をとる味噌汁しか飲んだことがないお嬢様が、初めてカップラーメンのジャンク汁を飲んだときの衝撃たるや、脳内花火が打ち上がるほどだ。

 コンビニなんて絶対に行かなそうという世間のイメージを裏切りたくはない。だが、到底我慢できない。コンビニが大好きすぎて、ほっかむりしてまでコンビニに通っている。

 申し遅れたが、これは私の話ではなく、6月15日に第5巻が発売となったばかりの松本明澄による『コンビニお嬢様』(講談社)という漫画の話だ。残念ながら私は、コンビニに年間360回寄り道する普通の女子高生だったし、コンビニのアルバイトは一週間で辞めたが、今でもそのコンビニにほっかむりもせず通える図太さもある。

 脱線した。

 主人公のお嬢様はくいしんぼうであり、母親の教育の賜物か、料理が上手い。お嬢様ならではの天真爛漫さで、コンビニで買ってきた商品にちょっとしたひと手間を施し、さらにパワーアップさせるのだ。コンビニのドーナツをスライスして、コンビニのポテトサラダをはさんでドーナツサンドを作ったり、コンビニのからあげにコンビニのバターキャラメル味のキャンディをのせてチンしたオリジナル限定味からあげを作ったりする。

 実際試してみたが、これが意外と、イケる。いや、お嬢様的に言うと、「美味ですわ」。ただ時折、炭水化物×炭水化物や、揚げ物×揚げ物という、育ち盛りの高校生にしか許されないような凶悪なアレンジメニューが登場するので、いい大人は、年齢と相談してお試しあれ。

『コンビニお嬢様1』
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¥626
『コンビニお嬢様2』
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¥626
『コンビニお嬢様3』
コンビニお嬢様3
¥626
『コンビニお嬢様4』
コンビニお嬢様4
¥626
『コンビニお嬢様5』
コンビニお嬢様5
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