G1騎乗500回目となった「宝塚記念」の結果は5着。なんとか掲示板は確保しましたが、改めてレースを振り返ると、「う~ん」という苦さがこみ上げてきます。

 雨の影響で発表は稍重。いつもなら、少しでも芝状態の良い外を走りたくなるところですが、内側が急激に回復し、――これだったら、内で勝負できる! とダンビュライトの勝機を見出していただけに、この結果には歯噛みしたい思いです。

 3、4コーナーでゴチャつかなかったら。内ラチ沿いを、ぴったり回ってこれていたら。“もしも”なんていう言葉はないし、“たられば”もない。それは分かったうえで、「でも、なぁ」です。この悔しさは一人で噛み締め、次につなげていくしかありません。

 それにしても――G1騎乗500回というのは、すごい数字です。この馬に乗りたい。この馬でG1に出たい。そう思ってもジョッキーは、騎乗依頼をいただかなければ、スタートラインに立つこともできません。そういう意味では、“次のレースは武豊に!”と言っていただけた自分を少しだけ褒めてあげたいし、声をかけてくださった関係者の皆さんに、改めて感謝します。

 初めて乗せていただいた「菊花賞」のレオテンザン(6着)から500回。数字以上に重みを感じています。さすがに1000回というのは無理でしょうが、この先も、1レースでも多く乗せていただけるような騎手でありたいと思っています。

 さあ、そして今週、皆さんに注目してほしいのは、夏の福島、7月7日に行われる平場500万下のレース「開成山特別」(芝2600メートル)です。このレースで僕が乗るのは、JRA史上最多となる5つの障害G1勝利をマークしたスターホースのオジュウチョウサン(牡7歳)。“最強のジャンパー”とも、“障害のディープインパクト”とも呼ばれる馬です。

――まさか!? と耳を疑った人もいると思います。

――まだまだ障害G1を取れるのに、もったいない。ため息を吐いたファンもいるかもしれません。

 でも、初めて、この話を伺ったとき、僕は“面白い挑戦になる!”と思いました。「この馬なら、平場でも走るんじゃないか」 レースを見ながら、騎手仲間と、そう話していたこともあります。

 かつて、平場から障害に転向、そこから再度平場に戻って、G1を制したメジロパーマーの例もあります。夢はケタ外れに大きいほうが面白いし、挑戦する立場としては、やり甲斐もあります。

――まずは1勝! そこから夢はさらに広がっていきます。“障害の絶対王者”オジュウチョウサンの新たなる挑戦は、今年、創設100年を迎えた福島競馬場から始まります。期待していてください。

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