キャプテンに指名された世界選抜チームの優勝と、最多ポイントを獲得した騎手に贈られる“シルバーサドル賞”を狙った「ジャガーカップ」(英国アスコット競馬場)ですが、第3戦で騎乗馬が心臓発作を起こして競走中止。馬上から放り出され、地面に激突した際に左手を強く打つというアクシデントに見舞われてしまいました。痛いか、痛くないかと聞かれたら、ものすごく痛いです。いや、正確に言うと、“痛かった”ですね。というのも、最終戦と翌日、仏ドーヴィル競馬場で騎乗依頼をいただいていた3頭は大事を取ってキャンセルしたこともあって、日本に帰ってきたときには、もう、いつもと同じ武豊に戻っていたからです。

 それにしても、今回の欧州遠征は、出発する直前、ドーヴィルで、「ジャックルマロワ賞」に挑戦する予定だったジェニアルが、調教中に放馬、軽い外傷を負ったことで出走を見合わせることになったことに始まり、結果だけを見ると、さんざんなものに終わってしまいました。

――ということは、ヘコんでいる? それが、そうでもありません。リフレッシュできたことも良かったし、なにより、長い間、騎手を続けていると、こういうことはよくとは言いませんが、あることです。そのたびに、ヘコんだり、自分に腹を立てたり、悩んだりしても、いいことはひとつもありません。いつだって、前を向いて、自分のやるべきことを一つずつやるだけです。

■大井の的場文男騎手が新記録!

 今週は、うれしいニュースもありました。大先輩、大井の的場文男騎手が、誰も破ることはできないだろうといわれていた佐々木竹見騎手の持つ不滅の記録、通算7151勝を超える、7152という新記録を達成しました。的場先輩、本当におめでとうございます! いつお会いしても腰が低く、年下の自分にも、気軽に声をかけてくれる先輩には尊敬の念しかないし、7152という数字は、偉大すぎて言葉もありません。

 1973年、17歳で騎手としてデビューされ、現役生活45年……。御年61での記録達成には、僕自身、勇気と元気をもらいました。一回り年下の僕なんか、的場さんから見たら、まだまだ、ひよっこ。――目指せ、的場文男!です。

■G3小倉2歳ステークス連覇へエンジン全開

 今週、僕が挑む重賞は、夏競馬のフィナーレを飾るG3「小倉2歳S」(芝1200メートル)。パートナーは、7月15日の中京新馬戦で素質の片鱗を見せつけたファンタジストの予定です。

  •  父ロードカナロア
  •  母父ディープインパクト

 一度も鞭を使うことなく勝ち切ったレース内容は、着差(クビ差)以上に、確かな手応えを感じました。スピードは一級品。ストレスを感じさせることなく、しかも、厳しさも経験したことで、次はさらによくなるはずです。昨年のアサクサゲンキに続く連覇へ向けて、目前に迫ってきたJRA通算4000勝へ向けて、武豊、エンジン全開です。

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