荒れる春場所? 元大関・増位山「見どころ解説!」の画像
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 現役時代は華麗な内掛けを武器に、31歳で大関に昇進。父、三保ヶ関親方(元大関・先代増位山)と「親子大関」を実現させた増位山。現役引退後は、三保ヶ関部屋を継承し、小結・濱ノ嶋(現・尾上親方)、幕内・肥後ノ海(現・木瀬親方)を育てる一方、大関・把瑠都をスカウトするなど、名伯楽ぶりを発揮。その一方で、現役時代から歌手として、『そんな夕子にほれました』『男の背中』などのヒット曲を連発。2013年に相撲協会を定年退職後は、歌手・増位山太志郎として活動中の彼が、10日からスタートした「平成最後」の場所の優勝争い、注目力士について語ってくれた。

―――昨年九州場所で初優勝した関脇・貴景勝(22)。1 月の初場所では大関昇進が見送られましたが、今場所は、どうでしょうか?

増位山(以下、増) 貴景勝、いいですね!思いきりのいい相撲、躊躇がない押し相撲を取るという意味では、これまであまりいなかったタイプ。だからこそ、初優勝のときは、他の力士が面食らった部分もあったと思うけど、先場所あたりからは相手力士に、だいぶ研究されてきているね。でも、力士というのは、研究されて、克服して……の繰り返しだから(笑)。

―――まだ22歳という若さも武器ですよね?

増 そうね。大関取りという壁に当たって悩むタイプと、壁を感じていないタイプの2通りがあるけど、貴景勝の場合は「感じていない」タイプかな?先場所の千秋楽の豪栄道戦だけは、ちょっと硬くなったみたいに見えたけど、今場所も「大関」を意識しないでいけたら、すんなり昇進するんじゃないかな?だけど、貴景勝は先場所11勝で、3場所で33勝(大関昇進基準)を挙げているわけでしょ?それなのに千秋楽に負けたから見送りというんじゃ、かわいそうな気がするね。「横綱昇進」だったら厳しくしなくちゃいけないと思うけれど、これじゃあ(大関に)上がる力士がいなくなっちゃうよ。

―――そうですね。初場所は稀勢の里引退などの出来事もあって、優勝賜杯を抱いたのは、伏兵、関脇の玉鷲(34)でした。

増 いやぁ、驚いたね!おそらく玉鷲の優勝を予想した人は、ほとんどいなかったんじゃないの(笑)?気負い込むタイプじゃないし、淡々と自分の相撲を取っているうちに、波に乗ったという感じ。34歳で初優勝、今場所は大関取りもかかる場所になったけど、私たちの現役時代では、とても考えられないことです。私の場合、力士・増位山のピークは28歳くらいで、それ以降は「技術で補う」という感じだった。力士には「相撲年齢」というものがあって、早くから相撲を取っている力士は、30歳前後で疲れが出て引退、というのが以前は普通だった。私と同じ部屋の後輩、横綱の北の湖さんが31歳、一緒に大関を張った貴ノ花さんも引退は30歳ですからね。

―――最近は力士寿命が延びていますよね。横綱・白鵬は3月11日で34歳、鶴竜も33歳と30代です。

増 その白鵬だけど、場所前に見た印象だと、体の張りがもの足りない感じだったなぁ。初場所も10日目まで全勝だったけれど、その後バタバタッと崩れて、休場。古傷が治りきっていないんだろうけど、年齢を重ねていくと、どっかしら故障するから、白鵬の場合、そのあたりを、どう調整してくるかだろうね。もう一人の横綱、鶴竜もチャンスをつかみきれていない。白鵬が調子が悪いときこそ、「ここは俺が!」と優勝を狙いにいかなくちゃならないのに、つきあっちゃって(笑)、同じように調子が悪くなる。「横綱」なんだから、横綱らしさを発揮してほしいね。

―――髙安(28)、豪栄道(32)ら大関陣は、いかがでしょうか?

増 大関の中で優勝に一番近いのは髙安かな?先場所は馬力が通じていなかった感があったけれど、今場所はやってくれそうな気がするね。豪栄道にはいつも期待を持っているけど、ケガの治りが悪いのかなぁ。強い力士なんだから、波に乗ってほしいところだね。

―――他に注目する力士は?

増 御嶽海(26)だね!ここ2年くらい「大関候補」として注目を浴び続けていたけど、結果を出せなくて悶々としていた。でも、今場所は、焦点が「貴景勝の大関取り」だから、御嶽海にとっては気楽にやれる。そういう意味で、御嶽海の2回目の優勝というのもありえるんじゃないかと。あとは、阿炎(24)。外連味のない突き押し相撲が冴えているし、男前(笑)。20歳で十両に上がったものの、2年くらい幕下に落ちて苦労したという経験が、今、プラスに働いているようだね。

―――春場所、優勝するのはズバリ誰でしょうか?

増 まずは、白鵬、髙安。2番手に鶴竜が入ってくるかな?もちろん、豪栄道にもチャンスがあると思う。「大関取り」の貴景勝の連続優勝は難しいかもしれないけれど、場所前は稽古もよくやっていたみたいだし、波に乗ったら怖い存在だというのは間違いないね。

 賜杯の行方は?

 3月11日発売の週刊大衆では、『長嶋・野村・張本』のプロ野球のレジェンド3人の60年間にも迫っている。

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