新しい時代、令和が始まりました。昭和から平成に変わった際は、昭和天皇が崩御された直後ということもあり、そうかぁ。昭和が終わってしまうのか……。と、どこか寂しさを感じましたが、今回は前もって決まっていたこともあって、前向きな気持ちで迎えることができました。

 騎手としてデビューしたのが昭和62年。スーパークリークで菊花賞を勝ち、G1の歴史に名前を記したのは昭和63年。僕が最初の一歩を踏み出したのは、昭和という時代です。

 しかし、“世紀の出遅れ”と呼ばれるシャダイカグラでの桜花賞制覇以降、ジョッキー武豊のほぼすべてが平成にあったと言っても言いすぎではありません。時代とともに、騎手を取り巻く環境も少しずつ変わってきています。騎乗技術、道具の進化……ジョッキーの顔ぶれも大きく変わりました。初めて、平成生まれのジョッキーが誕生したと聞いたときは、えっ!?  嘘でしょう? 苦笑いを浮かべたものですが、それももうフツーのことです。さすがに、令和生まれのジョッキーと肩を並べてレースをするのは難しいと思いますが、そんな時が来るかもしれないと思うだけで、「よし、僕も頑張ろう!」という気持ちになれます。

 G1レースの数も変わりました。昭和最後のG1が行われた63年は、桜花賞、皐月賞、天皇賞(春)、安田記念、オークス、日本ダービー、宝塚記念、天皇賞(秋)、菊花賞、エリザベス女王杯、マイルCS、ジャパンカップ、朝日杯3歳S、阪神3歳S、有馬記念の15レースでした。それが現在では23(障害レースを除く)ですから、平成の時代に8レースも増えたことになります。騎手にとっては目標が多ければ多いほど、やる気もアップするので、もちろん大歓迎です。もっとも、そのおかげで、G1コンプリートへのマジックナンバーも増えていっているんですが( 笑 )。

■GW明け1発目のG1はヴィクトリアマイル!

 ゴールデンウィーク明けの1発目、今週末、東京競馬場で行われる春の女王決定戦、ヴィクトリアマイルも平成に誕生したG1レースの一つです。

 僕がジョッキーになった当時、古馬牝馬限定のG1レースは一つもありませんでした。強い牝馬は早く引退して繁殖牝馬にしたほうがいい。そんな考え方が主流だったからです。

 それが変わったのは、平成8年に条件変更で生まれ変わったエリザベス女王杯でした。秋が芝2200メートルのエリザベス女王杯なら、春はマイルの女王を。こんな流れで平成18年に誕生したのが、このヴィクトリアマイルです。

 そして、僕がこのレースを勝ったのは――先日、亡くなったウオッカとのコンビでした。2着馬との差は古馬マイルG1史上最大の7馬身。ゴール板を過ぎた後、満員のスタンドから沸き上がった拍手と歓声、ため息とどよめきは、今も僕の中で生きています。

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