今春のドバイゴールデンシャヒーンで2着に食い込み、世界のホースマンをアッと驚かせたダート界の快速馬マテラスカイ。彼が、11月2日に行われる米G1ブリーダーズカップ(BC)スプリントに向けて動き出しました。前哨戦として森秀行先生が選んだレースは、3年前に一度だけ経験した芝のレースです。

――ちょっと、無理があるのでは……。一部、関係者の間からは、そんな声も上がっていましたが、僕が心配していたのは、それよりもむしろ彼の体調面のほうでした。というのも、もともと、彼が目指していたのは、9月8日に行われた韓国G3のコリアスプリント。それが日韓関係の悪化という政治的な理由で参戦できず、芝のセントウルSに方向転換することに。その影響から、やや太め残りかも……という感じだったんです。

 競馬では、心配が杞憂に終わることも珍しくありません。ちょっと気合乗りが足りないかも!? かなり入れ込んでいるけど、大丈夫かな? などなど、あれこれ悩みながらゲートに入ったものの、いざ、レースが始まってみると、完璧に近い走りで1着になった、なんてことも少なからずある話です。

 しかし、今回は嫌な予感が的中してしまいました。スタートダッシュも、そこから続く二の足も、本来のものではありませんでした。政治的な思惑や、大人の事情というやつがあるのは分かります。ですが、それでもやはり、スポーツと政治は別物であってほしい。改めて、そんなことを感じた一日でした。

 最高の内容と結果で、BCスプリントに臨みたい。その思いはかないませんでしたが、本番まであと1か月。やるべきことをきちんとやって、マテラスカイとともに大一番に臨みます。

■G1スプリンターズSはファンタジストで!

 それでは今後の騎乗馬について、お話しましょう。合併号の関係で、皆さんにお伝えするのは、9月最終週の競馬、G1スプリンターズSになります。これまで僕が、このレースを勝ったのは2度。1度目は、オグリキャップのラストランと同じ、デビュー4年目の1990年で、パートナーは、父・武邦彦厩舎のバンブーメモリー。2度目は、それから12年後……新潟競馬場で開催された第36回競走で、パートナーはビリーヴでした。

 今年、このレースで僕のパートナーを務めてくれるのは、春のG1戦線をともに戦ってくれた戦友、3歳牡馬のファンタジストです。父はロードカナロア。キングカメハメハ(父方の祖父)と、ディープインパクト(母方の祖父)という、偉大な2頭の血を受け継いだファンタジストは、いずれ大きな勲章を手にできる素質を持ったサラブレッドです。

 キーンランドCを制したダノンスマッシュ。前述したセントウルSの覇者、タワーオブロンドン……ライバルは目白押しですが、勝ちたい気持ちは誰にも負けません。

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