渡辺麻友
渡辺麻友

アイドル食堂・第6回 ルマン

 

 最近、宝塚歌劇団の周辺を取材する機会が多い。実際に舞台を観たりもすると、現代日本における芸能の最後の夢がそこに残されていると感じたりもする。宝塚にハマると抜けられない。だから、「沼」とも表現される。宝塚好きを公言するアイドルも多く、古くは牧瀬里穂や矢田亜希子北川景子安室奈美恵……。元モーニング娘。の高橋愛などはジェンヌ養成スクールに通っていたそうだ。

 前回登場の葵わかなの趣味も宝塚観劇。タカラジェンヌに宝塚をエスコートしてもらう番組収録がきっかけだったという。

■沼にハマるAKB48メンバーも続出

 AKB48関係者にもヅカファンは多い。元SKE48の秦佐和子もかつて「週刊AKB」の自身のコーナーで、『ベルばら』のオスカルのコスプレを披露している。だが、なんと言っても、元AKB48、渡辺麻友の沼へのハマり具合が知られている。

 まゆゆはAKB内でも「ヅカ部」を結成。握手会で男装し、宝塚の古典演目『うたかたの恋』のナンバーを歌ったという逸話も残す。そもそも友達にDVDを借りて興味を持ち、自らネットで調べて当日券があると知り、朝から東京宝塚劇場に並んだという。のっけからガチだった。

 そして、一時は月2回、本拠地の宝塚大劇場(通称“ムラ”)にも通い、すっかり宝塚グルメにも精通。彼女が関西ローカルの読売テレビ『AKBと××!』(15年9月放送)で紹介した店は、いわばどれもド定番である。番組に即して全部紹介したいところだが、ぼくも未食の店もあり、時期を置いて小分けにすることとしよう。

 番組ではMNB48の渋谷凪咲、同卒業生の門脇佳奈子、引退した薮下柊を引き連れ、それら有名店を行脚したまゆゆだったが、やはりのっけに紹介されたのは、ルマンのサンドイッチだった。これはリアルに彼女のお気に入り。ムラに来たら必ず立ち寄り、店員も何度も話しをし、握手までしてもらったそう。ぼくもその辺はジェンヌの来店とともに店で確認済みだ。

 番組ではクイズに負けてお預けを食うというお約束を演じ、超悔しがっていたまゆゆ。こちらの名物はふわっふわのスクランブルエッグがきっしり挿まったエッグサンドで、まゆゆ自身が番組内でも注文していた。

 取材時、劇場への到着が開演ギリギリになったぼくは、舞台の幕間に飛んでサンドを買いに行った。様々なメニューを取り揃えるルマンだが、まゆゆも女子である以上、デザート感覚のフルーツサンドも好むと推定。そちらも入った「組み合わせフルーツサンド」(875円)を注文して勝負に出た。上記2種の他、ハムにミンチカツに野菜が入る。

■無限に食べられそうなふわふわサンド

 結果、断然まゆゆのチョイスが正しかった。中でやはり濃厚にバターが香り、ピリッと辛子の効いたエッグが圧倒的に旨い。辛子を付けるかどうかは店員が聞いてくるが、なしではこの味が出ないだろう。関西ではだし巻きを挟んだサンドも昔から人気で、関東でもデパ地下などで見かけるようになった。しかし、この大人なスクランブルのほうが俄然好みだ。

 個人的な話で恐縮だが、このタイプのエッグサンドを死んだ母がしょっちゅう作っていた。子どもだったから、むしろ卵サラダサンドをねだったものだが、不思議なもので、どこでも食べられる味ではないと知った今、無性にその味が恋しい。もっとも、母のサンドにはケチャップも使われていたが、ルマンのプレーンな味わいのほうが無限ループ的。飽きが来ないのだ。

 アイドルサイボーグとも呼ばれた清純派のまゆゆだが、かつて16年1月放映のフジテレビのドラマ『大奥』で沢尻エリカとレズシーンを演じたことがあった。エッグサンドが極めて優しい食感なのに、ちょっと刺激的というのも、まゆゆその人の幅と重なる。ふわふわピリリは侮れないのである。
 

 

アイドル食堂

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