例年2月開催の第1回の小倉競馬が、京都競馬場の改修工事と東京2020オリンピックの影響で、今年は1月にスタート。第二の故郷、小倉へ行くなら、ここしかない! ということで、開幕週に参戦してきました。
メインの愛知杯で僕が騎乗依頼をいただいたのは、昨年のエリザベス女王杯でコンビを組んだアルメリアブルーム。前半は中団で脚をためて直線勝負。レースはほぼ思い描いていた通りに運び、あとはゴールに飛び込むだけ、と思ったところで、トップハンデを背負ったデンコウアンジュがものすごい脚で飛んできて首差の2着。勝ったのは、3つ上の先輩、柴田善臣騎手でした。
後で聞いた話では、50代の騎手によるJRA重賞のワンツーは02年のクイーンC以来、2度目とのことです。「まだまだ若い者には負けへんでぇ」というオジさんパワーを見せることができました。
気持ちよく挑んだ翌日の京都競馬は、7レースに騎乗して3個の白星。2Rの3歳未勝利のワールドウインズは、今回が初ダートでしたが、7馬身差の圧勝。思っていた以上にダート適性があり、今後が楽しみです。レース後、武幸四郎先生にうれしい報告ができ、ホッとしました(笑)。
8Rの4歳以上1勝クラスを勝ったスマートランウェイも完勝です。このレースで見せた、大外8枠からポンと飛び出し、そのままマイペースの逃げに持ち込むという競馬ができれば、クラスが上がっても勝負できるはずです。
6Rの3歳新馬戦は、レースが始まる前から、いつになく緊張していました。その理由はディープインパクトを父に、仏G1の1000ギニーを制したイルーシヴウェーヴを母に持つ超良血馬で、国内セリ史上2位となる5億8000万円の値がついたアドマイヤビルゴとのコンビだったからです。
勝ったとはいえ、気性が幼く、まだまだ未完成。スピードもパワーも、もっと欲しい。いい馬だからこそ、注文も多くあります。でも、背中の感じは間違いなく、あのディープの仔でした。この先、いったいどこまで強くなるのか? 僕に2度目のダービー勝利をプレゼントしてくれたアドマイヤベガや名牝アドマイヤグルーヴに肩を並べ、追い越していくような馬に成長してくれることを、誰よりも僕が楽しみにしています。
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