降りしきる雨、シーンと静まり返ったスタンドに響くG1のファンファーレ……。こんなときだからこそ、競馬の底力を見せたい、と2歳女王レシステンシアとともに臨んだ桜花賞は、最後の最後で力尽き、2着という結果に終わってしまいました。もしも17番枠ではなく、内枠を引いていたら。もしもぬかるんだ芝ではなく、パンパンに乾いた良馬場だったら、結果は違っていたと思います。でもしかし、これも競馬です。
前半、2番手につけて、速いペースに持ち込み、後続から来るライバルに脚を使わせたい。レースは、ほぼ思い描いていた通りの展開で、進んでいました。
――ラスト50メートル。このまま粘りきれば、誕生日も干支も僕と同じ、レシステンシアとでっかい勲章をつかみ取ることができます。「あと少しだ、頑張れ!」 懸命にもがきながら、レシステンシアは僕の思いに応えようと、最後まで必死に走ってくれましたが、着差は1馬身1/2。歯噛みしたいほどの悔しさはありますが、ここは、勝ったデアリングタクトの強さを褒めるしかありません。
レシステンシアの次走は今のところ未定。このあと、一度、放牧に出ると聞きましたが、また次に乗せていただけるようなら、そのときこそ、彼女に今回つかめなかった大きな勝利をプレゼントしたいと思っています。
この桜花賞の前日、4月11日以降の競馬開催から新型コロナウイルス対策が、さらに一段と強化されました。一つ目は、競走馬の出走制限(オープンと障害を除く、福島競馬は除く)です。栗東所属の馬は、阪神と京都だけ。美浦所属の馬は、中山と東京にしか出走できなくなりました。
二つ目は、競馬開催における騎手の移動制限。これまで、土曜は京都、日曜は東京で、というように騎乗依頼をいただいた馬に合わせて騎乗することができましたが、それが不可となりました。
最後は、認定調整ルームの運用です。通常の調整ルームの他に、JRAが認定するホテルや自宅から直接競馬場に行くことが可能となったのです。もちろん、公正競馬を遵守するのが前提で、違反した場合は、騎乗停止を含めた重い処分が課せられます。
期間はいずれも、5月3日まで。騎乗依頼をいただいていた馬が、予定していたレースに出走できなくなったり、騎乗依頼をお断りしなければならなくなったりと、その影響は小さくありません。しかし、他のスポーツが中止を余儀なくされる中、競馬は無観客とはいえ、開催を続けさせていただけているだけでもありがたいことです。感謝しかありません。
――楽しみは、週末の競馬しかない。そう言ってくださる皆さんに喜んでもらえるよう、今週も全力でプレーすることをお約束します。
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