サッカーのJ1リーグも再開し、少しずつですが、いつもの日常が戻ってきました。とはいえ、東京都では新型コロナウイルスの感染者数がここに来て急増し、この先どうなるか、誰にも分からない状況がまだ当分、続きそうです。

 幸い、とまでは言えませんが、コロナ禍に負けず、唯一の娯楽として開催を続けてきた競馬は、宝塚記念で前半戦が終了しました。このレース、僕とキセキのコンビは、10Rの前に突然、降り出した激しい雨を味方にして、理想的なレースを展開しましたが、最後は、さらに一頭“バケモノ”のような雨の鬼、クロノジェネシスに全部、持っていかれました。でもまぁ、これも、競馬です。

 前半戦を終えて思うことは、やっぱり、コロナ禍による無観客競馬です。スタートした直後は正直、「どうなるんだろう?」という不安が先に立ち、拍手や歓声のない、寂しさばかり感じていました。

 馬券による売り上げもその一つ。日本の競馬は、ファンの方が買ってくださる馬券の売り上げで成り立っているのに、競馬場だけではなく、場外馬券場の営業も停止。頼みの綱は電話・インターネットだけという危うい状態でした。ところが、終わってみると、無観客で行われた102日間の売り上げは、前年比95.2%。前半すべてをトータルすると、前年比96.8%。ネット投票の会員は約44万人も増え、G1高松宮記念、ヴィクトリアM、宝塚記念の3レースは、数字にすればわずかですが、前年の売り上げを上回っていました。この数字は、僕ら騎手だけではなく、日本の競馬に携わるすべてのホースマンに、大きな勇気を与えてくれました。競馬を支えてくれるファンの方には、感謝の気持ちしかありません。本当にありがとうございます!

 個人的なことを言うと、前半戦を終えて、騎手リーディング3位。G1勝ちがないのは大きな反省材料ですが、一つの目標としている年間100勝も見えるところまできました。移動の制限も解除され、土曜と日曜、異なる競馬場での騎乗が可能となった今夏、騎乗依頼をいただけたら、日本全国どこへでも出掛け、テレビの前で応援してくれる皆さんの熱い視線を意識して、全力騎乗です。もちろん、細心の注意は怠らずに。有限実行。「おーっ!」「すげぇ!」「マジかよ!?」。テレビ観戦の皆さんに、そう言っていただけるようなレースができたら最高です。

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