及川光博『半沢直樹』怪演だらけのカオスで見せる癒やしと良心の画像
及川光博

「やっぱり面白いなあ、半沢直樹!」。第2回目を見終わって声に出して呟いてしまった。2013年、一世を風靡した『半沢直樹』(TBS系)の続編だ。とはいえ、7年というブランクはかなりのものだし、しかもコロナ禍で放送が1クール延期となった。こりゃいろいろとタイミングを逃してしまったのではないかと思ったが、とんでもなかった。

 7月19日放送の第1回は、新たな敵となる伊佐山役の市川猿之助(44)が、役者生命は大丈夫かと思うほどの顔芸を見せ、ひとり勝ちだった。しかし7月26日放送の第2回では、大和田(香川照之/54)の「お・し・ま・いDeath!」、大洋証券営業部長の広重(山崎銀之丞/58)のハイトーンボイスな「待って!」、三木(角田晃広/46)の震え芸とナイスファイト、伊佐山の「詫びろ!×8」、そして半沢直樹(堺雅人/46)の血管が切れそうな追い込み……。オッサンキャストが、全員本気出してきてカオス状態。怪演続出でトイレに行く暇もなかった。

 そして、誰かが叫んだり恫喝したり慌ただしい絵面の中、穏やかに半沢を助ける渡真利忍(及川光博/50)の癒しオーラたるや! 半沢のムチャ振りに苦笑いしながら、東京中央銀行の貴重な情報とアドバイスを送ってくれる。普通、あそこまで自分の時間を割いて協力できる? なんていいやつなのだ、渡真利は。その優しくユーモラスな人柄と、演じている及川光博の個性がベストマッチ。2013年版では、ギリギリまで「彼が裏切り者ではないか」と疑惑の目で見ていたことを謝りたい。

■『半沢直樹』前作とは違う“型”が絶妙!

 さらにもう1人、忘れてはいけない。のったりと湿気たっぷりの関西弁で半沢の神経を逆ナデする南野陽子(53)の存在感を! スケバン刑事2からほぼ変わらない奇跡の美貌で、濃い男性陣をのらりくらりとかわす威厳たるや。今後もあのセリフ回しで、どう東京セントラル証券にネチネチ絡んでくるか楽しみすぎる。このように暴れまくる中年を、賀来賢人(31)や今田美桜(23)といった若手が、淡々と良い演技を見せて支えるという図式も見事だ。

 パート1は父親の敵という「私怨」が軸だったが、今回は「子会社のプライドを見せてやる!」というチーム戦である。フットワークの軽い若手社員がプランを立てて動き、そこに三木や渡真利など、飛び道具や協力者が決め手の情報を持ってくる。半沢がそれを整理し、一番言いにくいことを権力者に対してズバリと啖呵を切る、というワンチームな流れが最高に気持ちがいい!

 一番怖いのは、コロナ第二波による撮影ストップと放送延期だ。お願い、今、延期になったら次回が気になりすぎて、かなりストレスが溜まる! このまま継続して見られますように。

 今回の『半沢直樹』は、いっさい見逃し配信はしていないのだ。録画もいいが、やはりリアルタイムで見たい。今度の日曜日が楽しみだ。(田中稲)

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