世界的にも、まだまだ予断を許さないコロナ禍ですが、7月にフランスではダービーとオークスの2つ。イギリスではダービー、オークス、エクリプスSの3つと、英仏で計5つのG1レースが行われました。
どれも秋の凱旋門賞につながる大事なレースですが、僕が最も注目したのは、今年2月、キーファーズの松島オーナーが、クールモアグループと共同馬主になったジャパンの出走するエクリプスS。このレースには、2017〜18年に凱旋門賞を連覇したエネイブル、日本からディアドラが参戦し、大きな話題になっていました。
結果は、2番人気、ゴドルフィンのガイヤースが逃げ切り勝ち。2着が追い込んだエネイブルで、きわどい勝負で3着に食い込んだのがジャパン。ディアドラの奮戦もあって、7頭立てとは思えない、迫力のある競馬を堪能させてもらいました。このままコロナ禍が収束すれば……という条件つきにはなりますが、舞台が凱旋門賞の行われるロンシャンの芝2400メートルに変わるのは、ジャパンにとって有利に働くと思います。また一つ、夢が大きく膨らみました。
7月11〜12日の競馬は、両日ともに阪神競馬に参戦。牝馬ヤマニンアンプリメとのコンビで挑んだメインレース、G3プロキオンSは、9番人気の3着という結果に終わりました。
――9番人気で、よく頑張った? 人気から判断すれば、そうなるんでしょう。でも、昨年11月の交流G1・JBCレディスクラシックの勝ち馬ですから、僕の気持ちとしては、有力馬の騎乗依頼をいただいた、と思っていました。
レースは、ほぼ思い描いていた通りです。大外16番枠から無理せず3番手につけて、余力は十分。追い出すタイミングもバッチリで、一瞬“勝った!”と思ったほどです。最後の最後に、サンライズノヴァとエアスピネルにかわされたのは、56キロという負担重量が響いた結果でしょう。実績のある牡馬が相手で、牝馬の56キロは、さすがに厳しすぎました。次がどこになるか、分かりませんが、牝馬同士の戦いなら、勝ち切る力はあるはずです。
騎乗依頼をいただいた新馬戦は4鞍で、芝1600メートルに出走したハーツクライ産駒のチカリヨンが4着。芝1200メートル、オーシャンブルー産駒のケイセブンが6着。ダート1400メートル、ダンカーク産駒のダイナストーンが9着。勝利に導くことができたのは、日曜阪神5Rの芝1800メートルに出走したヨーホーレイクです。
父はディープインパクトで、母は5年連続でデビュー戦勝ちの仔を輩出してきたクロウキャニオン。全体的にまだ幼く、本格化するのはまだ先ですが、調教通りに走ってくれたように、とても素直で乗りやすい馬です。ぜひ、名前を覚えて、次に出走してきたときには、全力で応援してください。よろしくお願いします。
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