7月16日に、棋聖戦第4局に勝利し、史上最年少タイトルの記録を樹立した藤井聡太棋聖(18)。その強さについて、本誌で詰将棋連載を担当する佐藤義則九段は、こう解説する。「今回の棋聖戦は、どの対局も内容が濃かったですね。藤井さんは、攻めと守りのバランスが抜群でした。前に、藤井さんは常に攻め手を考えていると話しましたが、そこに守りも重視するバランス感が加わってきた感じがしましたね。若くて勢いのある人は攻めに自信があるため、守りが弱いこともあるんですが、藤井さんからは、渡辺さんの攻めに対応できる“絶対の自信”のようなものを感じました」
棋界の歴史を変え続ける藤井棋聖。その強さは、どうやって作られたのか。彼が幼稚園から小学4年生まで通った「ふみもと子供将棋教室(愛知県瀬戸市)」を主宰する文本力雄氏が、藤井棋聖の意外な過去を語ってくれた。「聡太くんは幼少期はかなりワンパクな子でしたね。当時、生徒たちは父兄のお迎えを待つ間、プロレスごっこに興じていましたが、聡太くんもそのメンバー。教室のあとの取っ組み合いも、楽しみにしていたんじゃないかなぁ(笑)」
現在の藤井棋聖の落ち着いた雰囲気からは、想像できないエピソードだ。「うちの教室には歌があるんです。これは、有名な歌謡曲の“替え歌”なんですが、聡太くんも大声で、しっかり歌っていましたね」
また教室では、負けん気の強い一面も見せていた。「名古屋で小学生名人戦の決勝で負けたとき、将棋盤に突っ伏して大泣きしたんですよ。将棋の強い子は、負けず嫌いなんです。今でもきっと、感情を抑えているんだと思います」
そんなワンパクな藤井棋聖は、今後も将棋界の歴史を塗り替えていきそうだ。「現在進行している王位戦も、8割方は獲るでしょう。今、彼を負かす人は、そういないと思いますよ」(前出の佐藤九段)
快進撃は、どこまで続くのだろうか。