もしも、“ドラえもんのひみつの道具”を一つもらえるとしたら、皆さんは、どれが欲しいですか。行きたいところにすぐ行ける、どこでもドア?  それとも、時間を止めることができる、タンマウォッチ?

  僕が欲しいのは“必ず実現する予定メモ帳”です。ただ、実現しても、その内容には柔軟性があって、しかも曖昧で安定しない……というのが、ちょっと気にかかりますが(笑)。僕が書くのは7文字“凱旋門賞を勝つ”と書きます。

 でも、しかし。それより欲しいのが、“タイムマシン”です。使うのは未来ではなく過去。それも、一度だけでいい。行きたい時代の西暦を設定するダイヤルを合わせるのは――2006年10月1日。ディープインパクトが出走した、凱旋門賞の日付です。

 あの日、僕もチーム・ディープのスタッフも、ディープ自身も勝てるはずだと思っていました。前哨戦ナシ、ぶっつけ本番で臨んだ、初の海外レース。経験したことのないタフなコースとヨーロッパ特有の深い芝。不安な要素がまったくなかったとは言いませんが、ディープには、それらのマイナスを補う絶対的な強さがありました。

――勝てるはず。勝ちたい。勝つんだ!  昂りながらも、気持ちは冷静でした。ところが、最後の直線、残り300メートルになっても、ディープの翼は閉じたままで、飛ぶような走りを爆発させることができませんでした。

 日本時間の深夜だったにもかかわらず、中継してくれたNHKの瞬間最高視聴率は、関西が28.5%。関東が22.6%。初戴冠を期待してくれた皆さんが、ガックリと肩を落としたのは想像に難くありません。

 なぜ、勝てなかったのか。なぜ、勝たせてあげられなかったのか――今でも夢で見るほど、悔しさだけが残っています。

あわせて読む:
・木村拓哉、ファミリー路線解禁も“一家総出”はNG!?個別投稿の怪!
・パチンコ「遊タイム機」用心のワケと“立ち回り”法【ギャンブルライター・浜田正則コラム】