10月10日、ついに競馬場に、お客さんが帰ってきました! 7月末にも、JRAから新潟競馬場での限定的な入場再開が発表されましたが、その後の新型コロナウイルスの感染拡大で、いったん取り止めに。でも、今度は本当です!

 無観客競馬が始まったのは2月29日ですから、実に230日ぶりの再開です。入場できたのは、事前に指定席を購入していただいた方のみで、入場時にはマスク着用や検温、消毒液での手の消毒が義務づけられ、アルコール類の販売は一切ナシ。パドックは柵から6メートルくらいの距離を置き、ウイナーズサークルやゴール前エリアには入ることができません。それでも「生で競馬を見たい」と、開門前からファンの方が列を作っていたという話を聞き、胸が熱くなりました。本当に感謝しかありません。

 再開初日、10月10日の入場者数は、東京が694人。京都が539人。新潟が418人。1万人を超えるプロ野球などに比べると、微々たる数字です。JRAのこれまでの最多入場者数は、1990年にアイネスフウジンが日本ダービーを制したときに東京競馬場で記録した19万6517人ですから、その入場者数は0.5%にもなりません。小さな、小さな一歩ですが、間違いなく、明日につながる一歩です。ターフビジョンに映し出された、〈競馬場へおかえりなさい! お客様とともに 夢と感動とともに また競馬が走り出します〉という言葉は、競馬に携わるすべてのホースマンが、その胸に抱いている思いです。

 以前のように、競馬場が立錐の余地もない数のファンで埋まり、スタンドが揺れ、歓声と怒号が交錯し、勝者を称えるコールが降り注ぐ、という風景を取り戻すにはまだ時間がかかりそうですが、いつか来る、その日を目指して、僕は僕のできることを精いっぱい、やり続けたいと思います。

 フランスの凱旋門賞から帰国後の2週間は自宅待機してましたが、11月1日の天皇賞(秋)は、ルーラーシップ産駒のキセキをパートナーに参戦します。前走の京都大賞典(2着)では、僕は自主隔離期間中で騎乗できませんでしたが、3コーナーからまくるようにして前に進出。大外から、上がり34秒3の最速タイムを叩き出した脚は、さすがG1ホースでした。

 アーモンドアイやフィエールマンなど、今回はメンバーが、さらに強化されます。でも、キセキにとって本当のライバルは自分自身。うまくゲートを出て、自分の競馬ができれば、勝負はきわどい勝ち負けになるはずです。17年の菊花賞を制した後は、なかなか勝ち切れない競馬が続いていますが、「今度こそ!」と、チーム・キセキにも力が入っています。

 コロナ禍に翻弄された今年も、残すところ、あと2か月。最後まで、全力騎乗で頑張ります。

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