“夢の対決”。この言葉を聞いただけで、なんだか、無性にワクワクしてきませんか。日本の競馬史でも、これまで幾度となく、ファンを魅了する、この夢の対決が行われてきました。1984年のジャパンCで実現した“皇帝”シンボリルドルフと“三冠馬”ミスターシービーの対決も、その一つです。結果はカツラギエースの逃げ切りでしたが、ファンは固唾を飲んで、この世紀の大レースを見つめていました。

 92年の天皇賞(春)では、前年に親子3代による天皇賞制覇を成し遂げたメジロマックイーンと無敗の二冠馬トウカイテイオーが激突。同馬に騎乗する岡部さんが、「地の果てまで飛んでいきそうだ」と話したのに対し、マックイーンに騎乗する僕は「天まで昇れそう」とお返しして、異様なほどの盛り上がりとなりました。

 まだ他にもありますが、今年のジャパンC(11月29日)は、この夢の対決のさらに上をいく、“超”夢の対決となりました。真っ先に名乗りをあげたのは、牝馬三冠を成し遂げたデアリングタクト。これに呼応したのが、牡馬三冠のコントレイルです。これだけでも十二分に豪華ですが、天皇賞(秋)を制し、JRA史上最多となる芝G1八冠馬になったアーモンドアイが、引退レースとして参戦を表明したことで、競馬界の話題はジャパンC一色に染まりました。

 絶対に実現しない、もう一つの夢の対決――。多くの競馬ファンが、ディープインパクトとサイレンススズカの一騎打ちを挙げるという話を伺いました。

 いきなり先頭に立ち、後続に影さえ踏ませず、そのままゴール板を駆け抜ける。前半も後半も速いというサラブレッドの理想を体現したのが、サイレンススズカ。もう一方のディープインパクトは、前半をゆったりとして入り、最後の直線では飛ぶように走る。1頭だけ、次元の違う走りを見せてくれる最高のパートナーです。もしも、もしも、もしも、この2頭の対決が実現したら……どうなるんでしょう?

 サイレンススズカの逃げ切りだと思う。誰かがそう言えば、別の誰かは、ゴール寸前でディープが差すと叫び、互いに口角泡を飛ばし、喧喧囂囂、大激論に発展しそうです。

 結局、どちらが勝つのか。その答えは、僕には分かりません。ただ、一つだけ言えるのは、直線に入った段階では、2頭の間は、ものすごく差が開いているということです。疾走するサイレンススズカと、飛ぶディープ……。皆さんは、どっちが勝つと思いますか?

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