今年も、この日がやってきました。ジョッキー、調教師の先生、厩舎関係の皆さん、馬主さん……すべてのホースマンが憧れてやまないレース、東京優駿(日本ダービー)です。

――一番勝ちたいレースは何ですか? こう聞かれたら迷わずに、一瞬の躊躇もなく、間髪入れずに、こう答えます。“海外なら凱旋門賞。日本ならダービーです”と。

 僕が、この日本ダービーという、でっかい勲章を手に入れたのは、デビュー10年目のことでした。

 それまで僕が手にしたG1勝利数は、全部で25個。ナリタタイシンで皐月賞を、スーパークリーク、ダンスインザダークで菊花賞を制覇。桜花賞はシャダイカグラ、ベガ、オグリローマン、ファレノプシスと4度。オークスもベガ、ダンスパートナー、エアグルーヴで3度。さらに天皇賞(春)は、イナリワン、スーパークリーク、メジロマックイーンの連覇で計4度。天皇賞(秋)はスーパークリーク、エアグルーヴと2度。宝塚記念はイナリワン、メジロマックイーン、マーベラスサンデーと3度。“伝説のラストラン”と呼ばれるオグリキャップの激走で、有馬記念も勝っています。

 他にも、オグリキャップとハートレイクで安田記念。シーキングザパールでNHKマイルC。バンブーメモリーでスプリンターズS。ヤマニンパラダイスで阪神3歳牝馬S。トロフィーや盾は、棚に収まりきらないほどいただきましたが、ダービーだけは、なぜか勝てない……。一時は、競馬界七不思議の一つに挙げられ、心ないファンの間では、“武豊は一生、ダービーを勝てない”とまで囁かれました。

――腹が立った? 当然です(笑)。絶対に顔には出しませんでしたが、心の裡では、「僕以外にも、ダービーを勝っていない騎手はいっぱいいる」「いつかはチャンスがめぐってくるはずだ」などと、自分の心をごまかしていました。

 だけど、手にして初めて知りました。どれだけ、この勲章が欲しかったかを。“ダービージョッキー”と呼ばれるためなら、すべてを引き換えてもいいと思えることを。同時に、チャンスは待つものではなく、自らの手で取りに行くものだということを。

 6度目の戴冠を狙う今年の僕のパートナーは、ここまで5戦3勝のディープモンスターです。実績は、正直、ライバルたちに比べると劣ります。でも、秘めた力は、けっして引けは取りません。あとは、馬の力を信じて、自分を信じて、ベストな騎乗をするだけです。

 心は熱く、頭は冷静に、今週も全力プレーで挑みます。

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