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悪質施術が横行!「危険なマッサージ」の見分け方

[週刊大衆03月07日号]

悪質施術が横行!「危険なマッサージ」の見分け方

 肩や腰のコリをほぐすつもりが、逆に健康を害することも。悪質な施術に騙されないよう正しい知識を身につけよう!

 最近、足裏マッサージや○○式マッサージ、あるいは整体、カイロプラクティック、手揉み、ツボ押しなどの看板を掲げる店が街のあちこちにできている。2~3000円の手頃な料金とあって利用したことがある方も多いだろうが、全国の消費者センターでは、「こうした店でかえって体調を崩した」という相談が増加している。まずは、そのいくつかを紹介しよう。

 神奈川県に住む60代の男性は健康ランドでマッサージを受けた。ところが、マッサージの後に腰や脚に痛みが出て、歩くこともできない状態になった。翌日、整形外科を受診したところ「脊椎管狭窄症(せきついかんきょうさくしょう)がマッサージで強く押したため痛みが出た」と診断された。男性はこの治療に1か月かかり、その間、仕事もできなくなった。マッサージ店に苦情を言うと、「もともと病気があったのだから(病院の)治療費しか出せない」と言われた。その後、施術者がマッサージ治療の免許を持っていないことを知った。店側は「マッサージではなくボディケアだから、免許は必要ない」という対応だった。

 東京都在住の40代女性は、中国式マッサージの店で施術を受けた。ところが、帰宅すると体がだるく、寝るときも腰が痛くて寝返りも打てなくなってしまった。翌朝も腰を伸ばすことができないほど痛かったので店に連絡すると、もう一度来て施術を受けるように言われた。再度施術してもらったが、今度は脚にしびれを感じた。マッサージ店に症状を伝え、施術代を返金してほしいと伝えたが、「こちらは間違いなく、きちんと施術している」と言われた。

 接骨院でカイロプラクティックのコースを受けた東京都在住の30代女性は、施術後、胸が痛くなったため、整形外科病院でレントゲンを撮ってもらったところ、肋軟骨(ろくなんこつ)の負傷との診断。その後、めまいなどを感じたため、再度、病院で診てもらうと、頸椎(けいつい)捻挫と診断された。これで体調もおかしくなり仕事も辞めざるをえなくなった。弁護士や保健所などにも相談したが、「因果関係がはっきりしない」と言われ、保障は受けられなかった。

 体の不調を治そうとマッサージを受けたのに、まさに“揉んだり蹴ったり”。いったい、なぜ、こんなことになったのか?「実は最近、資格や免許もない素人同然の人が施術をする店が増えているんですよ」 こう説明するのは、さいたま市の武井鍼灸院の武井重樹院長だ。

 ちなみに、鍼灸治療院の看板を掲げる武井院長は≪はり師・きゅう師≫の国家資格(免許)を持っている。また、マッサージの場合は≪あん摩マッサージ指圧師≫、接骨院(整骨院)なら≪柔道整復師≫の国家資格が必要になる。ところが、医療ジャーナリストの牧潤二さんによると「現状は、こうした資格を持っていなくても手技による“治療”ができる店は簡単に開業できる」という。「マッサージは、もともとフランスで生まれた手技療法で、厳密に言えば≪あん摩マッサージ指圧師≫の資格を持つ人しかできないのですが、実際はタイ式マッサージやオイルマッサージなどの名称で営業しているんです。いってみれば、無資格治療なんです」(前同)

 こうした店には資格認定証や修了証を掲げているころもあるが、「しょせんは民間資格」(同)だ。これは、カイロプラクティックや整体も同じ。前述した3つ以外は、法制度の観点からすると“無資格治療”ということになる。「私たち鍼灸師や、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師は3~4年、専門学校や大学に通い、骨格や筋肉の構造や経絡などについて基礎から学びます。ところが、いわゆる街のマッサージ屋の中にはこうした基礎医学を学んだり、研修をすることなく施術している所があるのです」(武井院長)

 あるマッサージチェーン店の従業員募集サイトの要項を見ると、こんなことが書いてある。≪マッサージなどの経験がまったくない素人の方も心配いりません。18日間の研修を受けると(業界団体が発行する)修了証が授与され、その後、店舗に配属されて働くことができます≫ たった18日間研修しただけで、客の体を扱うのだから恐ろしい。「マッサージ店は開業するとき、ベッドを揃えればいいだけで、飲食店のように食材などのコストもかかりません。いってみれば、誰でも簡単に開業できるビジネスになっているのです」(武井院長)

 こんな状況だから事故が起きるのも当然といえる。国民生活センターにも「施術中に肋骨を折った」といった相談が少なからず寄せられている。柔道整復師の資格を持つ、東京・大塚にあるタンタン整骨院の小林敬和院長が苦笑気味に話す。「肋骨の中でも下にある第11肋骨と第12肋骨は構造上、非常にもろく、ここを下手にマッサージすると骨折する危険があります。私たち柔道整復師は、こうした体の構造を熟知しているので強く圧迫しないのですが、1~2か月の研修で施術する人は、こんなことも知らないから怖いですよ」 自分の体に施術する人がきちんとした知識に基づいて施術しているのか、どんな資格を持っているのかを確認することが、安心への第一歩と言えよう。

 最近は銭湯や温泉、そして家庭にも電気マッサージ器が普及している。だが、これも必ずしも安全とは言えない。今年1月、国民生活センターはマッサージ器の相談や危害情報を公開したのだが、2010年から昨年11月までの約5年間で、253件の危害情報が寄せられたという。

 国民生活センターに寄せられた相談のいくつか実例を挙げよう。

●マッサージチェアを体験したら、腕もみ機能で腕が腫れた(70代男性)
●フットマッサージャーを使っているとき、停止ボタンを押したところ、足が強く挟まれたまま停止した。今も足がしびれたような状態が続いている(30代女性)
●販売員に勧められてベッド型マッサージ器を試しに使ったところ、痛みがあった。止めてほしいと頼んだが、聞き入れてもらえなかった。これで背骨を傷め、直後から、まっすぐ立てなくなった。今は寝返りも打てない状態になっている(60代女性)
●首や肩に掛けるタイプのマッサージ器を高齢の母親に使用したところ、肩と胸を骨折した(50代女性)

「マッサージ器の相談はここ数年、増加しています。特に骨や関節がもろい高齢者が、家庭用マッサージ器で事故に遭うケースが増えています」(国民生活センター・広報部) 前出の小林院長によると、家庭用のマッサージ器で強くやり過ぎたり、長時間使用することで、筋肉や関節などを傷めるケースが多いという。「マッサージをしながら眠ってしまい、筋を違えたという患者さんがけっこう多いですね」(小林院長)

 肩や首が凝る人の中には、奥さんや子どもにマッサージをしてもらう方もいるだろうが、これも事故の元になりうる。「子どもに背中を踏ませて背骨を傷めるケースや、ダンナさんに肩を揉んでもらい筋を違えたという方がいます。素人マッサージはしないほうが無難です」(同) 特に、首のマッサージは危ないという。「首には様々な血管や神経が走っています。首をきつく揉みすぎて頭痛になったり、最悪の場合、血管を傷め、脳卒中などを引き起こす恐れもあります」(前出の武井院長) 肩が凝ったから軽く揉んでもらおう。本来、気持ちがいいはずのマッサージが、とんでもない事故を引き起こすこともある。くれぐれも、ご注意を!

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