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中村竜太郎(元週刊文春記者)「僕らの仕事は、権威を笠に着ている人に石を投げること」スクープをもぎ取る人間力

[週刊大衆2016年11月14日号]

中村竜太郎(元週刊文春記者)「僕らの仕事は、権威を笠に着ている人に石を投げること」スクープをもぎ取る人間力

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 今でこそ、元週刊文春の記者、ジャーナリストという肩書で、テレビなどに出させてもらっていますが、大学を卒業したばかりの頃は、アパレルメーカーで働いていたんです。仕事は楽しかったんですが、別の仕事もしてみたくなり、出版社の中途試験を受けたら、ファッション誌に配属される予定で採用されたんですが、急きょ空きがなくなったとかで、女性週刊誌に配属されたんです。

 偶然にも記者という仕事に就くことになったんですが、当時はパパラッチ全盛の時代。記者は土足で人の家に入り込むっていうより、土足で入り込んで、裏口まで行っちゃうような傍若無人な人ばかり。普通の会社員だったので、ものすごいカルチャーショックを受けましたね。

 職場の人間たちの気性も荒っぽかった。校了のときは、一升瓶を置いて酒盛りしながら仕事しているんですよ。そのうち、喧嘩が始まって記者が血だらけになっていたり。

 僕は日焼けするのが好きだったんですが、それが気に入らなかったのか、ベテラン記者が、初対面なのに、“テメェの顔が気に入らねえ”っていきなりすごんできたこともありましたね(笑)。先輩のカメラマンと張り込んでいたとき、咳払いするだけで“気付かれたらどうすんだ”って殴られたり。咳払いよりも、カメラマンの怒鳴り声の方が、よっぽどうるさかったと思うんですけどね(笑)。

 週刊誌では週一回、ネタ決めの会議があるんです。各自が集めてきたネタを回し読みして、編集部の人たちで、○と×を書きこんでいくんですが、ほとんど匿名なんですよね。俳優Xと女優Yが熱愛中だとかって。

 僕は正直に実名で書いたんですが、全員から×印をつけられた。そしたら、次の日に、僕のネタがスポーツ紙の一面に出ているんですよ。不思議なことが起こるもんだなと思っていたんですが、今、思えば、ネタを横流しされていたんですよね。

 もう食らいついていくのに、必死でしたよ。大学を卒業してすぐに出版社、新聞社に入って記者をやっている人たちと比べたら、別の仕事をやっていた分、遅れをとっているわけですから。どうしたら取り返せるかって言ったら、やっぱり、誰よりも粘って取材したり、一生懸命にやるしかないんですよね。

 ただ、僕自身は芸能界に全然興味なかったんです。80年代アイドルって言われても、知らない人ばっかりだし。でも、自分が報じたスクープによって、ワイドショーが賑わったり、記者会見が開かれたりと、こんなに多くの人が関心を持っていることだったんだと気がついた。何か人騒がせなことってワクワクするじゃないですか。そんな感覚でしたね。

 ただ、週刊誌っていうものをよく思わない人も大勢いると思うんです。ある事件取材の際、当事者の関係者に取材したら、その男が逆上して、スコップで殴りかかってきたこともありました。その日は雪で、急な出来事に足を滑らせて、転んでしまった。血走った目の男が、大上段に構えたスコップを振りおろしてきて、とっさに体をよじったら、カキーンって音が響いたんです。本当に、死ぬかと思いました。

 事件に限らず、著名人からも“人の事好き勝手に書いて、飯食ってんじゃねえ。バカヤロー”とすごい剣幕で怒鳴られたこともあります。ペンの暴力だって批判されても、言い訳はしません。それでいいんだと思うんです。バカにされるくらいがちょうどいいんですよ。人から褒められるような仕事ではありませんから。人の不幸を記事にしてきたのに、人並み以上の幸せを欲するのは、虫が良すぎると思います。

 相手のご機嫌を取って、その対価として、出世をしたり、高額な報酬を得る。そっちのほうが賢い処世術なのかもしれません。でも、僕らの仕事は、権威を笠に着て生きている人に向かって、石を投げることだと思うんです。それが、記者の仕事だと信じて、これからも石を投げ続けていきたいなと思っています。

撮影/弦巻 勝

中村竜太郎 なかむら・りゅうたろう 1964年生まれ。大学卒業後、アパレルメーカー勤務を経て、95年から週刊文春の記者に。政治、芸能、事件など幅広いジャンルを手掛け、04年「NHKプロデューサー巨額横領事件」など、数々のスクープを連発。「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」では歴代最多となる3度、大賞を受賞している。14年に独立し、現在は執筆業のほかに、『みんなのニュース』(フジテレビ系)でレギュラー出演するなど、幅広く活動中。

中村竜太郎(元週刊文春記者)「僕らの仕事は、権威を笠に着ている人に石を投げること」スクープをもぎ取る人間力

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