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アメリカ・トランプ大統領、識者が語る「正しい取り扱い方」

[週刊大衆2017年02月27日号]

アメリカ・トランプ大統領、識者が語る「正しい取り扱い方」

 持ち上げたかと思えば突き落とす! 世界の“台風の目”とどうつきあうべきなのか!? 正解はコレだった!

 2月10日、トランプ政権になって初となる日米首脳会談が行われた。「各国首脳の中で、イギリスのメイ首相に次いで2番目にトランプ大統領と会談することができた」(官邸筋)と歓迎ムードだが、相手はなかなか手ごわい。

 会談前には、「日本は為替操作をして円安に誘導している!」と発言して安倍晋三首相や麻生太郎財務相を真っ青にさせたかと思えば、「3日に訪日したジェームズ・マティス国防長官は、尖閣諸島について“日米安保条約の適用範囲だ”と明言し、日本側を安堵させました。アメとムチを織り交ぜてくるため、先が読めない。対応には細心の注意が必要なんです」と、いまだに外務省関係者は警戒を解いていない。

 だが、「接し方次第では、日本が利する展開もありえる」(全国紙国際部記者)と期待する向きも――。「中国のように敵と見なした国にはとことん厳しい姿勢を貫く一方、ロシアには経済制裁解除をチラつかせイスラエルの肩を持ち、台湾には大接近。前例を無視した“トランプ流”外交では、得する国と損する国の明暗がハッキリ分かれます。日本が“得”のほうに回れるかが重要です」(前同)

 やり方次第で、トランプ大統領は意外と“使える奴”とも言えそうだ。そこで気になるのが、正しい使用法。日本に有利な条件を引き出すための、“トリセツ”とは――!?

「トランプ大統領の特徴は“交渉術”」と語るのは、国際政治ジャーナリストの山村明義氏。「メキシコ国境の壁や駐留米軍の費用負担に関してもそうですが、まずハッタリを使い、事実であろうがなかろうが、イメージを先行させ、間接的に威圧するものです」

 日本も、その手法に翻弄された国の一つだ。「トヨタ自動車がメキシコに新工場を建設することや対日貿易赤字を問題視。さらには、日本の通貨安誘導を批判しましたが、まず、そうやって喧嘩を吹っかけ、その後、“じゃあ、ゆっくり話し合おう”という姿勢を示すのがトランプ流なんです」(トランプ氏に取材したことのある記者)

 だが、肝心なのは、その話し合いの場での対応。元共和党全米委員会顧問で、“トランプ大統領に最も近い日本人”である、あえば直道氏はこう語る。

「トランプ氏が求めるのは“アメリカ・ファースト”という考え方。アメリカにとって何が利益になるのかを、まず第一に考えます。だからといって、アメリカに有利になることばかり提案し、卑屈な態度で交渉に臨んだら逆効果。ビジネスマンでもあるトランプ氏は、互いにとって最善の道を探るのが交渉の場だと考えています。したがって、ただアメリカの言いなりになるだけの交渉相手は嫌がるんです」

 そうしたトランプ大統領の特徴が如実に表れたのが、オーストラリアのターンブル首相との電話会談。「1時間の会談予定が、途中でトランプ大統領が“ブチ切れた”ため、25分で中断されました。背景にあったのはオーストラリアからの難民受け入れ問題です。オバマ政権では、中東や東南アジアから船でオーストラリアに入国しようとして拘束された難民を、アメリカが受け入れることで合意していたんですが……」(前出の国際部記者)

 トランプ大統領は、「次の“ボストン爆弾テロ犯”をアメリカに送るつもりか」と噛みつき、電話を叩き切ったともいわれている。一見、ターンブル首相はトランプ大統領の扱いを誤ったかにも見えるが、実は、これが大正解だったという。

「電話会談の詳細までは伝わっていませんが、ターンブル首相も堂々とトランプ氏に意見を述べたようです。電話を切った後、トランプ氏は周辺の人たちに、“なかなか大した男だ”と、彼を評価していたというんです」(前出のあえば氏)

 続いて、もう一つ取り扱いに注意しておきたいのがトランプ大統領の側近たち。「もちろん、人の言うがままではありませんが、トランプ大統領は、正しい意見なら、しっかりと聞く耳を持っています」(前同)

 将を射んと欲すれば、まず馬を射よの喩え通り、トランプ大統領に多大な影響力を持つ面々を、いかに取り込むかも日米外交の今後を左右する。まず、最も話題に上る側近といえば、愛娘のイヴァンカ・トランプ氏。名門・ペンシルベニア大学を卒業後、父譲りのビジネス手腕で実業家としても成功。メラニア夫人に代わり、ファーストレディの役割を果たすとみられる女性だ。

「11月に安倍首相が大統領就任前のトランプ氏と会談した際にも同席。その際、イヴァンカ氏の5歳になる娘・アラベラちゃんがインスタグラムでピコ太郎の『PPAP』ダンスを披露したことを安倍首相が“かわいいですね”と絶賛し、打ち解けたようです。めったに人を褒めないイヴァンカ氏が“安倍さんにまた会いたい”と話していたといいます」(前出の官邸筋)

 1月末の安倍首相とトランプ大統領の電話会談でも、イヴァンカ氏の話題に。「安倍首相に対し、“クレバーな人”という印象を持ったらしく、“あなたは安倍首相に従っていればいいのよ”と、娘から助言を受けたことをトランプ大統領が明かし、話題になりました」(前同)

 だが、この愛娘以上に“扱い注意”なのが、その夫のジャレッド・クシュナー氏。あえば氏も、「トランプ大統領の秘書の間でも、“クシュナー氏が出てきたら、すべて持って行かれる”と言われているほどの人物」と語るなど、側近中の側近なのだ。

「彼はユダヤ教徒の中でも保守的な正統派ユダヤ教徒です。トランプ氏が大統領選で、エルサレムをイスラエルの首都として受け入れる公約を示していたのも、クシュナー氏の影響だといわれています」(在米大使館筋)

 クシュナー氏の鶴の一声で、アメリカの中東戦略が変更されたというわけだ。さらに、トランプ政権に詳しい評論家の宮崎正弘氏は、こう語る。「早くからトランプ氏支持を打ち出していたニュージャージー州のクリスティー知事、司法長官候補として早くから名前が挙がっていたジュリアーニ元ニューヨーク市長、共和党の実力者ギングリッジ氏ら――。当初、入閣が確実といわれた人物が入閣していません。その背景には、クシュナー氏の助言があったと見られています」

 続いて、訪日したばかりのジェームズ・マティス国防長官にも要注意だ。「トランプ氏は、オバマ政権時代に大統領令で禁じた水責めなどの拷問復活に意欲を示していました。しかし、マティス国防長官が反対していることを挙げ、“彼の発言を覆すことはできない。私は彼に従う”と発言を修正しています」(前出の在米大使館筋)

 この他にもマークすべきなのが、「ステファン・バノン氏。ネットサイトCEOを経て、大統領上級顧問に就任しています。クシュナー氏と同じく、側近中の側近と言えます」(前出の山村氏) 難民らの入国制限を決めた大統領令の発効に際し、強硬路線を主張したともいわれる人物だ。

 次いで、日本にとってキーマンとなるのがマイク・ペンス副大統領。「彼にはインディアナ州知事の経験があります。批判の矛先が向けられたトヨタはインディアナ州に大工場を持ち、ペンス副大統領の意向もあって、トランプ・安倍会談が実現したと言えます。対日コネクションを持つ人物としてマークすべきです」(前出の宮崎氏)

 さらに、重要人物として挙げるのは、国家通商会議議長のピーター・ナバロ氏。「トランプ政権の対中戦略のベースとなるのが彼。経済学者で、『米中もし戦わば』という本の執筆者でもありますが、トランプ大統領は、その本の内容通りに発言しているといいます。トランプ氏と個人的な関係はなく、トランプ氏が彼の本を読んで感銘を受けたとみられていますが、日本でも小泉(純一郎)政権時代、竹中平蔵氏の著書を読んだ小泉首相が感銘を受け、閣内に登用した過去もありましたからね」(前同)

 そんなトランプ政権の対中戦略は今のところ、「米軍が台湾に駐留し、必要なら沖縄の駐留米軍も台湾に派遣する」(防衛相幹部)というほどの強硬姿勢。「トランプ大統領が台湾の蔡英文総統と電話会談し、“1つの中国に縛られない”という発言をしたことに、中国は激しく反発しました。実は、これがまたトランプ氏の逆鱗に触れたようです」(外務省関係者)

 どうやら、中国の習近平国家主席は、トランプ大統領の取り扱いを誤ったのだという。「トランプ氏との交渉で、卑屈になるのは逆効果ですが、一方的に意見を主張する相手にも反発します。特に中国は、“孫子の兵法”の国。交渉の場ではニコニコして意見を述べず、裏で罠を仕掛けてくる。トランプ氏は、そういう外交姿勢を毛嫌いする人なんです」(あえば氏)

 10日の日米首脳会談で安倍首相は「米国に、鉄道などのインフラ投資で4500億ドル(約51兆円)規模の市場を創出し、70万人の雇用を生み出す」と提言するとも報じられていたが(本誌締切時点)、「互いの利害が一致。トランプ氏が望んでいたのはまさに、こういう交渉。その意味で安倍首相は、信頼できる交渉相手だという認識を抱かせることに成功したのではないでしょうか」(前同)

 掴みはOKの日米外交だが、山場はこれから。“ジャパン・ファースト”の姿勢で、トランプ大統領を大いに活用してほしいものだ。

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