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小池百合子都知事VS石原慎太郎元知事、ドロ沼「豊洲バトル」の行方

[週刊大衆2017年03月06日号]

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小池百合子都知事VS石原慎太郎元知事、ドロ沼「豊洲バトル」の行方

 “逃げるは恥だが役に立つ”とばかりに責任逃れを続けてきた元知事が翻意。ついに女傑との全面対決に突入した!

「資料が集まり次第、自分で言うべきことを言うため、記者会見をします。逃げているとか、隠れているとかの屈辱を晴らしたい」 2月14日、報道陣の前に姿を現した石原慎太郎元都知事(84)は、こうブチあげてみせた。

 石原氏は、紛糾している豊洲市場移転問題の核心を知る人物と目されているため、小池百合子知事(64)はこれまで、石原氏に対して説明責任を果たすよう呼びかけていた。しかし、石原氏はこれに応じず、これまで“逃げ回っていた”感すらある。それが一転して、「議会がいつ私を呼ぶのか分かりませんが、それまで待ちきれない」と、報道陣に言ってのけたのだが、これには理由があるという。

「当初は、体調がすぐれず記憶が曖昧になっているからと、小池知事の呼び掛けに応じなかった石原さんですが、2月5日の千代田区長選の結果を見て覚悟を決めたようですね」(全国紙政治部記者)

 5日に投開票された千代田区長選では、小池知事らの支援を受けた現職の石川雅己氏が2位に大差をつけ5選を決めた。一方、菅義偉官房長官らが応援演説に入った自民党推薦の与謝野信候補は惨敗している。

「息子の伸晃さんが、昨年の9月まで自民党東京都連の会長だったこともあり、選挙結果に石原さんは驚愕したといいます。小池旋風の凄まじさを目の当たりにした石原さんは、東京を地盤とする伸晃さん(東京4区)と宏高さん(同3区)の身を案じたわけです。こりゃ、他人事じゃないぞと。次期衆院選で小池さんが息子の選挙区に刺客候補を立てたら、苦戦は必至ですからね。石原さんとしては、小池知事の力がこれ以上強くなるのを阻止するためにも、自分が出ていって直接対決する決心をしたのでしょう」(前同)

 これまでの“逃げるは恥だが役に立つ”の方針を変えてきた石原氏。ただこれも、小池知事の術中にはまったと見る向きが多い。「都議会の特別委員会は、3月18~20日の間に石原さんの参考人招致を行うと発表しましたが、これを受けて石原さんは一転して自前の記者会見を中止すると発表しました。勢いで自ら会見をブチ上げてはみたものの、すぐに懇意にしている自民党の都議から連絡が入ったといいます。“自前の会見と都議会での証言がチグハグだったら、そこを小池陣営に突かれる”という警告だったようですね」(都庁詰め記者)

 昨年の8月31日に豊洲移転延期を決めた小池知事は、なるべく早い時期に移転の可否や各種対応を決定しなければならない。「そのためには、核心を知る石原さんに話を聞くしか方法がなかったわけです。ただ、それを知ってか石原さんはのらりくらり……。そこで、世論を味方につけて、水面下で都議会に百条委員会の設置を命じ圧力をかけていたんです」(前同)

 百条委員会が設置されれば、偽証したり証拠書類の提出を拒否すると禁固刑を含む罰則が科せられる。「石原さんにしてみれば、“百条委員会が設置されるくらいなら、参考人招致に応じたほうが得策”であることは間違いありません。都議会の参考人招致や小池知事との公開ヒアリングならば、曖昧な発言をしても罪に問われることはないからです」(前同)

 小池知事は周到に誘い水をまいていたのだ。渋る石原氏を引っ張り出したという意味では、豊洲バトルの第1ラウンドは小池知事の勝利といえる。ただ、石原氏とて第2ラウンドには万全の準備で臨むはずだ。

「石原さんは、豊洲問題の責任を側近だった浜渦武生副知事や、当時の都の関連部署の幹部、関係していた都議にも波及させる戦術をとるようです。こうすることで、自分一人が悪者にされている状況を変えようとしているのでしょう。“知っていることも全部話しますよ。困る人が出るかもしれないが、こっちも困っているから”と発言しているのがその証拠です」(民進党都議)

 それがうまくいかなかった場合は、都庁に全責任をなすりつける腹だという。「石原さんは、“最終的に(都の)幹部がきて、『汚染の問題が言われているけど大丈夫なのか』と聞いたら、『今の技術をもってすれば大丈夫です。ぜひご裁可お願いします』と。オレの大きなハンコを持っている課長が押した。(豊洲は)やっぱり都庁の責任”と発言しています」(前同)

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。「たしかに豊洲に関わった人間は非常に多い。最終的な責任者は石原氏でしたが、具体的なプロセスの細部までは把握していなかったかもしれません。まだ名前が挙がっていない関係者がたくさんいるのです」

 石原氏はこうした文脈を利用して、逃げ切ろうとしているのだ。「彼は都知事時代に親しい人に対し、“都庁ってのは恐ろしいよ。まさに伏魔殿だ”と、他人事のように話していたといいますからね。元来が“都庁=悪”論者なのですよ」(前出の民進党都議)

 世間には堂々と証言した印象を与えておいて、その実、責任をうやむやにしたいのが石原氏の本音のようだが、そうは問屋が卸さないという。元民主党衆議院議員の川内博史氏が言う。

「豊洲移転を決定した行政のトップとしての責任は、免れません。石原さんは豊洲決定に際し、わざわざ築地を視察し“汚い、危険、狭い”と発言したうえで、豊洲に舵を切ったのです。ご存じのように、築地は法的に適合している市場です。にもかかわらず、発言で築地に悪いイメージを植え付けました。豊洲市場用の土地を都に売却した東京ガスのとの間に何かあったのではないか……と勘繰りたくなるほど、性急な方向転換でしたね」

 川内氏によれば、石原氏が指揮した豊洲移転の政策に関連して、土壌汚染法(土対法)にも疑惑があるという。土対法は02年5月に法案が通過し、翌03年2月に施行されているのだが、当初、汚染が分かっていたはずの豊洲が同法の適用外だったのだ。

「法案の国会通過直前に中央環境審議会がまとめた『報告書』ではなかった条項(附則三条・経過措置)が、国会に提出された法案になった時点でなぜか追加されていたんです。これは『この法律の施行前に使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地については、適用しない』という“抜け道”で、それが意味するところは、“豊洲は調査せずに市場として使用できる”というものなんです」(川内氏)

 これを確認した川内氏は、附則三条がどのように付け加えられたのかを徹底的に追及したという。さらに、「こんな馬鹿な話はないと思い、環境省に掛け合って豊洲を汚染対策法の指定区域にしました」というから、都民、ひいては日本国民の食の安全を守る大ファインセーブをしていたといえるだろう。

「地下水の調査にしても、土壌を入れ替えた部分では汚染物質は基準値以内です。舛添要一前知事の時代は、ここを選んで調査していたのです。ところが、小池知事の命令で無作為にモニタリングを行ったら、基準値を大きく上回る汚染物質が検出されました。私は豊洲の汚染はなくなることはないと思います」(川内氏)

 小池知事もこうした事情はすべて承知しており、手ぐすね引いて石原氏の“出頭”を待っているという。「ただし、対決の舞台に上がる小池知事と石原さんの戦い方は大きく異なります。小池知事が石原さんに責任を一本化して追及したいのに対し、石原さんは責任を拡散させたいわけです。小池陣営は石原氏が都知事時代に“築地にカジノや巨大な多目的ドームを造りたい”と漏らしていたことも把握しています。石原さんがあまりにしどろもどろだった場合、こうしたネタを突き付けて“公開処刑”する可能性もありますね」(前出の都庁詰め記者)

 土対法をめぐる疑惑、法的には問題のない築地市場に対するネガティブ・キャンペーン、さらには築地の再開発をめぐる利権……。こうした状況証拠を眺めてみると、すべては“豊洲移転ありき”で性急に事が進められていた印象が強い。石原氏の反撃が成功する可能性は、限りなく低いのではないか。それでも、窮鼠猫を噛むの秘策があるのだろうか?

「答えは“あるといえばある”です。実は、小池知事が支援に回り当選させた石川千代田区長は、都庁の役人時代に港湾局長を務めていたことがあり、かつては豊洲移転の中枢にいた人物なのです。石原さんは参考人招致で、“石川区長が内田茂都議らと図って、築地の豊洲移転を画策した”と証言するかもしれません。青島幸男さんが知事時代に都市博を中止し、困った都が築地の豊洲移転を進めようとしたのは95年のことですが、当時、港湾局長だったのが石川氏でした。石原さんが“困る人が出てくるぞ”と言ったのは、暗に石川区長のことをほのめかしていたのかもしれませんね」(前同)

 さらに、森喜朗元首相が石原氏の側面支援に回りそうだという。「小池さんを“政界渡り鳥”と命名したのは森さん。以来、2人は超のつく犬猿の仲です。東京五輪をめぐって、組織委員会会長を務める森さんとあれほど火花を散らしたのは、私怨含みだったはずです。森さんは昨年がんが再発し、抗がん剤治療を受けていたため体調がすぐれなかったのですが、最近になってオプジーボという新薬を試したらこれが効果てきめんで、体調がみるみる回復しているといいます。元気になった森さんが、盟友の石原さんのために小池攻撃の狼煙をあげることは十分に考えられますね」(同)

 こんなキナ臭い話もある。「自民党の“裏部隊”が本格的に動き出したようです。小池知事のスキャンダルを集めておいて、政局を迎えるタイミングでリークするというわけです」(同)

 そうなると都民そっちのけの泥仕合になってしまうが、最悪の事態を避けるために、両者が裏で政治取引を行い“手打ち”をする可能性はないのだろうか? 「絶対にありませんね。小池知事は都知事選出馬を表明した際に、石原さんが“あの厚化粧が”と言ったことを今でも根に持っています。女の恨みは怖い(笑)。石原さんのほうは喜んで手打ちに応じるはずですが、小池知事は絶対にそれをしないでしょう」(前出のデスク)

 小池・石原抗争の激化は不可避といえそうだが、これを見越して、すでに手を打った御仁もいるという。「自民党都議数名が水面下で小池さんにすり寄っているようです。中央政界では、平沢勝栄さん(東京17区)が石原派を脱退するという噂もあります」(前同)

 都議会のみならず中央政界に飛び火しつつある小池・石原抗争。ただ、庶民の関心は食の安全に関わる豊洲問題の決着にある。いったい、豊洲市場にはどう結論が下されるのか? 「住民投票で決めるという話もありますが、問題の背景がきちんと説明されないと、都民は冷静な判断ができませんよ」(政治ジャーナリストの角谷浩一氏)

 前出の鈴木氏は、「移転・売却・白紙というオプションが提示されており、まだ予断を許さない状況のようですが、小池知事は豊洲問題を7月の都議選の争点にすることで、最終的な民意を問うはずです」

 また、自民党都議の間では、「再度大規模な汚染対策を施してから移転」の声が支配的だという。“都民ファースト”な結論が下されることを願ってやまない――。

小池百合子都知事VS石原慎太郎元知事、ドロ沼「豊洲バトル」の行方

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