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金正男氏暗殺事件、失敗していた「当初の計画」

[週刊大衆2017年04月03日号]

金正男氏暗殺事件、失敗していた「当初の計画」

 北朝鮮の最高指導者・金正恩氏の異母兄にあたる金正男氏(45)が殺害され、1か月以上が経過した。事件は2月13日、マレーシアのクアラルンプール国際空港で発生した。マカオ行きの便の搭乗を待っていた正男氏が、空港内のショッピングエリアで、若い女性2人に、顔に液体を噴霧され、直後に死亡したのはご存じの通り。捜査を担当した地元マレーシア警察の動きは早く、15日にベトナム人の女が、16日にはインドネシア人の女が逮捕され、2人は実行犯と目されている。

 続いて、マレーシア警察は北朝鮮籍の4名の男性を容疑者として公開、さらに、別の北朝鮮籍男性を追加して指名手配し、今月10日には、「遺体は金正男氏のもの」と正式に発表した。それにしても、事件発覚からわずか3日で実行犯の女が逮捕されたのは、異例と言えるだろう。

「事件は北朝鮮政府の関与が濃厚ですが、偵察総局などの謀略機関が緻密な計画の下に暗殺テロを実行したのなら、すぐに実行犯が逮捕されることはないはず。そこに“違和感”を感じてしまいますね」(在ソウル通信社記者)

 実は、襲撃を実行したテロチームが立てた“当初の計画”は、失敗していたのだという。北朝鮮政府にルートを持つX氏が明かす。

「当初の計画では、女2人に襲撃させた正男氏はすぐに絶命せず、マカオに向かうエアアジアに乗り込むはずでした。機上の人となった後で、機内で体調に異変をきたして死亡するというシナリオだったんです」

 2人の女によって正男氏の顔に噴霧されたのは、強力な化学兵器であるVXガスだった。しかし、“2人で襲撃”したことに最大のポイントがあるという。

「実行犯の2人は、別の薬液を噴霧していました。それらは、混合して初めてVXガスを発生させるもので、混合以前は殺傷能力はありませんでした」(前同)

 単体では無害な2種類の物質を混ぜて劇毒に変える兵器を「バイナリー兵器」と呼ぶが、これが正男氏の暗殺に用いられたようだ。「女2人が巻き添えを食わなかったのは、そのせい。ただ、噴霧された薬液の量やタイミングが思い通りにならなかったため、予想よりも早く正男氏は絶命してしまったんです」(同)

 結果、空港は大混乱となり、死亡した男性が正男氏であることも即座に発覚、マレーシア警察の迅速な初動捜査に結びついたわけだ。「女2人による襲撃が失敗した場合は、保安検査後の制限区域内で、男性工作員が再度テロを仕掛けることになっていたようですが、いずれにせよ、正男氏を無事に機内に乗り込ませるはずでした。そして、ベトナム上空に差しかかった頃に機内で絶命させる計画だったわけです」(同)

 この場合、航空機に関する国際条約が適用され、エアアジアの本社があるマレーシア、領空で死亡が認められたベトナム、渡航先である中国に捜査権が認められるという。「こうなると、“三つ巴の捜査”となるうえ、中国は北朝鮮政府に遠慮して情報を小出しにするはずですから、捜査は難航し、遅れることが必至。襲撃班が撤収するのに十分な“時間稼ぎ”ができたはずです」(同)

 事件の全容が解明される日は来るのだろうか――。

金正男氏暗殺事件、失敗していた「当初の計画」

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