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横綱・稀勢の里「奇跡の逆転優勝」大きすぎる代償

[週刊大衆2017年04月17日号]

横綱・稀勢の里「奇跡の逆転優勝」大きすぎる代償

 19年ぶりに誕生した日本人横綱の大活躍に、列島中が沸きに沸いた春場所。だが、その前途に早くも暗雲が!?

「痛みに耐えて、よく頑張った! 感動した!」 平成13年の夏場所。右ひざのケガを抱えながらも見事、逆転優勝を飾った当時横綱の貴乃花。その“力士魂”に、当時首相だった小泉純一郎氏が賛辞を送った名場面だ。

「ただ、その翌場所から貴乃花は7場所連続休場し、最終的には引退となった。やはり横綱とはいえ、ケガには勝てない。それと同じことが、また起こるかもしれない……」 相撲関係者が複雑な表情で、こう語るのも無理はない。19年ぶりに誕生した日本人横綱・稀勢の里の未来に、早くも暗雲が立ち込めているからだ。

 ご存じの通り、横綱となって初の場所となった春場所では、13日目の日馬富士との対決で初黒星。加えて、左肩付近を痛めるアクシデントに見舞われた。「それでも、持ち前の根性で、翌日も土俵入りを果たしました。しかし、明らかに本調子でなく、横綱・鶴竜を相手にまたしても黒星。ただ、ここからが凄かった。“やるからには最後までやりたい”と決意し、千秋楽の大関・照ノ富士戦に勝つと、優勝決定戦で見事、逆転優勝を果たしました」(夕刊紙記者)

 まさに“痛みに耐えて”奮闘した我らが日本人横綱。満身創痍の中、横綱として踏ん張り続ける姿勢は、相撲ファンを魅了した。だが、リアルな勝負の世界はスポ根漫画とは違う。前出の関係者が言う。

「奇跡の逆転優勝なんて騒がれていますが、今回、稀勢の里が払った代償は、あまりに大きい。貴乃花の例でも分かるように、ケガは致命傷になりかねません。事実、ケガの状態は思った以上にひどいのか、4月2日からの春巡業は休場を発表しましたからね」

 ちなみに診断は、<左上腕部の筋損傷で加療1か月>とのこと。相撲専門記者がこう語る。「ケガをした箇所も最悪です。稀勢の里の最大の武器は“左差し”。左腕こそが最も重要な部分なのに、ここを負傷しては、本来の実力は到底出せません」

 現に、ケガの後の鶴竜戦では、まったく勝負になっていなかった。「稀勢の里の左腕は全然、力が入っておらず、わずか2秒あまりで寄り切られてしまった。その取り組みには、横綱の威厳は感じられませんでした。なぜ、すぐに休場させなかったのか……疑問が残ります」(前同)

 それを稀勢の里の“横綱としての誇り”と言えば聞こえはいいが、無理をしたのは否めない事実である。

 師匠の田子ノ浦親方も、「もう一度ちゃんと調べる。本人は(巡業に)出たいだろうが、まずはしっかり治さないと」と語っており、“貴乃花の二の舞にならないか”という心配の声が上がるのも当然だろう。

 加えて、逆転優勝を成し遂げたことによって、稀勢の里は、これまで以上に無茶をする可能性もあるという。「ケガに耐えて、逆転優勝……日本人好みの美談でマスコミも騒ぎ立てますが、これによって、稀勢の里は今後、ケガをしても休場しづらい状況になってしまいました。ただでさえ、日本人唯一の横綱で、国民からの期待も大きい分、よほどのことがない限り、休めない」(前出の相撲関係者)

 我々の過剰な期待が、稀勢の里を潰してしまいかねないのだ。それだけではない。稀勢の里のケガが治ったとしても、まだまだ今回の代償は続くという。

「ちょっと言い方が厳しいですが、モンゴル勢のリベンジです。現在、横綱は4人で、稀勢の里を除けば、全員がモンゴル人力士。彼らにすれば、新たに生まれた日本人横綱が、過剰にもてはやされるのは、正直、面白くないでしょう」(スポーツ紙相撲記者)

 当然、夏場所では、ライバル心剥き出しで来ることは間違いないだろう。「彼らも横綱として大相撲界を引っ張ってきたという自負がある。稀勢の里の弱点を攻めてくる可能性も否めませんよ」(前同)

 ガチンコ相撲で鳴らした貴乃花も同様だった。「常に真っ向勝負だから、ケガも絶えなかった。稀勢の里にも同じ匂いを感じるだけに、心配です」(同)

 久々に誕生した日本人横綱も、このままでは流星のごとく、一瞬の輝きで消えていくかもしれない。だが、その一方で、「稀勢の里はそんなヤワな力士ではない」という声も多い。スポーツジャーナリストの大野勢太郎氏は、次のように語る。

「稀勢の里は体が大きいだけでなく、下半身が非常にしっかりしているんですね。これは、稀勢の里をスカウトした鳴門部屋・隆の里親方の指導の賜物と言えます。隆の里親方は、とにかく“四股を踏む”稽古を徹底的にやらせるんです。これは、相撲の基本です」

 四股踏みは地味だが、根気がなければ続かない過酷な稽古。嫌がる力士も多いというが、新横綱は違った。「稀勢の里は、愚直に粘り強く、四股を踏み続けていたんです。それによって体の土台がしっかりと作られ、強くなった。今まで大きなケガがなかったのも、基礎ができているからです」(前同)

 つらい稽古をひたすら続け、強靭な下半身を作り上げた“根性”も、また横綱級なのだ。「春場所の強行出場がのちに影響するなんていわれますが、私はそうは思いません。常に全力で挑み、相撲に対して真摯に取り組む彼だからこそ、今回のケガも間違いなく、しっかり治してくると思います」(同)

 稀勢の里の根性を舐めるな、といったところだ。ただ、一つ心配なのは、スピード型の力士に弱い点。「ケガをした後の一番もそうでしたが、相手のスピードに対応しきれていないところがあるんです」(同)

 相撲評論家の三宅充氏も、この点については、「稀勢の里は足が長い分、腰を落とすのがやや遅い気がします。そこをつけ込まれると、またケガをする危険があるので、早く克服してもらいたいですね」と心配するが、今回のケガについては問題なしと、こう付け加える。

「稽古熱心で、とにかく真面目。すでに年齢も30歳になりましたが、努力家の彼はすぐに自分の弱点は直してくるでしょう。今回のケガも上半身でよかった。相撲は下半身が重要なので、貴乃花のように膝をケガすると厄介なんです。稀勢の里は貴乃花の二の舞にはなりませんよ」

 春巡業の休場は残念だが、ここでしっかりケガを完治させれば、夏場所では、また横綱相撲を見せてもらえそうなのだ。前出の大野氏もこう言う。

「モンゴル勢の横綱も最近は年齢とともに力が衰えてきています。それと同時に、高安をはじめ、正代、御嶽海といった若手の成長は著しく、次世代の横綱候補。稀勢の里には彼らの壁になってもらいたいですね。そうなることで、さらに強い日本人力士が誕生する。彼の横綱としての役目は、まだまだ始まったばかりですよ」

 痛みに耐えて、よく頑張った稀勢の里だからこそ、やってくれるに違いない。

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