日刊大衆TOP トレンド

“頭痛薬”アスピリンに「がん予防」効果!? 世界で研究進む

[週刊大衆2017年06月19日号]

“頭痛薬”アスピリンに「がん予防」効果!? 世界で研究進む

 近くの薬局やドラッグストアで手に入る大衆薬で、死に至る病から逃れられる!? そんな仰天情報を追跡!

 頭痛薬『アスピリン』は“魔法の薬”――そんな、にわかには信じがたい話をご存じだろうか。「アスピリンは、ドイツのバイエル社が1897年に製品化した解熱鎮痛薬です。“頭痛にバファリン”のフレーズでおなじみの、バファリンの主成分でもあります」(医療ライター)

 医薬品ながら、アスピリンは医師の処方箋がなくても薬局やドラッグストアなどで購入でき、お値段も1錠数円と非常に安価だ。「頭痛や関節痛に効くことから、昔から重篤な症状でない人たちも服用していた“大衆薬”です」(前同)

 そのアスピリンが今、脚光を浴びているという。「昨年4月、米国の予防医学専門委員会が“50代以上は大腸がんの予防のため、アスピリンを毎日服用すべき”という勧告を出しました。10年以上の継続服用で、リスクが40%低下するという研究結果が示されたんです」(医療専門誌記者)

 頭痛薬で、がん予防とは、これ、いかに!? 「実は前々から、リウマチ患者などアスピリン常用者は、がんになる人が少ないのではないかといわれているのです」(医療ジャーナリストの牧潤二氏)

 1988年にオーストラリアの研究者が偶然、アスピリン常用者の大腸がんの罹患率が、服用していない人よりも低いことを発見。それ以来、それが科学的に証明可能かどうかの臨床試験が、世界中で頻繁に行われるようになったという。「日本でも、国立がん研究センターと京都府立医科大学が、311人を対象に臨床研究を実施(2006~2008年)。一日にアスピリン100ミリグラムを投与する人と、プラセボ(偽薬投与)の人とを比較したところ、実際に投与された人のがんの出現リスクが40%も減少したという、優位な結果が出ました」(前出の医療専門誌記者)

 アスピリンはやはり“魔法の薬”だったのか。「しかし、この臨床対象者は全員、大腸がんの危険予備群とされる大腸ポリープを内視鏡で削除した患者です。無条件に、大腸がんの発生率を比較したものではありません」(前出の牧氏)

 これを踏まえ、国立がん研究センターと京都府立医科大学は再チャレンジ。16年1月、今度は同様の対象患者数を一挙に7000人に拡大し、4年間アスピリンを服用してもらう“追試”を行うと発表している。「アスピリンに大腸がんの予防効果が期待できるとしても、国民全員に投与するとなれば巨額の資金が必要。そこで、どういう条件なら効果が顕著なのか調べ、投与対象を絞るのが、この追加臨床の目的です」(前同)

 日本の部位別がん患者数で最も多いのが、この大腸がん。それに加えて、「極めて死亡率が高い膵臓がんにも効果があるという研究もあります」(同)

 まだまだ研究の途上ながら、期待は大いに持てる。「何しろ、海外の臨床試験では、すべてのがんの死亡リスクが約20%減少したという結果も出ているほど。今も、研究が進められています」(厚労省詰め記者)

 ところで、その“抗がん”のメカニズムとは? 「アスピリンには、そもそも“抗炎症効果”があります。炎症や腫瘍の形成に関わる『コックス2』という酵素の働きを阻害するので、がんの発生を抑えるとの話もあるのです」(牧氏)

 これだけでも夢のような話ではあるが、期待される効果は、実は他にもある。アスピリンには血液を固める血小板の働きを抑制する作用があり、これが、心筋梗塞や脳梗塞を発症した患者の“再発予防”になるのではないかといわれているのだ。さらに、「再発予防だけでなく、そもそも、これらにかかっていない人の予防にもなるのではないかと、臨床試験も実施されました」(前同)

 16年11月、奈良県立医科大学の研究グループは、心筋梗塞などの心血管病を発症していない糖尿病患者約2000人を10年以上、追跡した結果を発表。「服用量は一日100ミリグラム。02年に臨床を開始し、08年、“効果は認められない”と発表。しかし、65歳以上に限れば約20%減少という有意差が見られたことから、さらに8年間“追試”を実施した。結果、有意差は消え、逆に消化管出血のリスクが2倍以上に高まるとのデータが出たのです」(同)

 だが一方で、冒頭に挙げた米国の予防医学専門委員会は「心筋梗塞や脳卒中を発症していない人が、低用量アスピリン(1日81~100ミリグラム)を継続して服用すると、その後の発症リスクが心筋梗塞で17%、脳卒中で14%低下する」との最新結果も発表している。

「試験結果がバラつくということは、研究の余地が残っているということ。“効果なし”と断定するのは、まだ早計でしょう。過剰摂取により胃潰瘍や消化管の出血など副作用もあるため、服用の際は医師に必ず相談するべきですが、大きな可能性を秘めた存在であることは間違いありません」(医療専門誌記者)

 病気のリスクにおびえる中高年の“救い主”になるかもしれないアスピリン。今後の研究の行方を、じっくりと見守りたい。

“頭痛薬”アスピリンに「がん予防」効果!? 世界で研究進む

この記事が気に入ったら
をしよう

いいね!

@taishujpさんをフォロー

大衆のオススメ


オススメタグ


人気記事ベスト10


日刊大衆公式チャンネル


Copyright(C) 日刊大衆 Futabasha Publishers Ltd. All rights Reserved.