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“『報道ステーション』降板”古賀茂明氏が激白「安倍政権はここがダメ」

[週刊大衆2017年07月17日号]

“『報道ステーション』降板”古賀茂明氏が激白「安倍政権はここがダメ」

 6月5日、外国特派員協会(東京・有楽町)で元経済産業省のキャリア官僚の古賀茂明氏が記者会見を行った。これは、著書『日本中枢の狂謀』(講談社)の刊行を記念したもの。同書は、安倍晋三首相率いる一強政権の弊害や、そのマスメディア操作術など、日本の中枢の暗部に斬り込んだ内容だったが、会見場には朝日新聞以外の大手メディアの姿はなかった。今回、古賀氏は本誌の独占取材に応え、日本、そして安倍政権の闇を語った。

「先週も日本のマスコミについて、NYタイムズの東京支局長の取材を受けました。彼らの目には、日本の大手メディアは不思議そのものなんです。何か政権に問題があっても、報じないわけですからね。特に、政権とメディアトップとの距離は、海外メディアとの決定的な違いと言えます。前川(喜平氏、前文部科学省事務次官)さんの告発が出て、加計学園問題で世間が大騒ぎしている渦中ですよ、あろうことか、安倍首相とメディアトップの一人である、テレビ朝日の早河(洋)会長が会食しているんです。しかも、テレ朝の報道局長と政治部長、官邸詰め記者まで同席しているんです。しかも、そこに3時間も費やされている可能性もある。早河会長は、安倍首相や菅(義偉)官房長官と仲良しだと自慢したいのか、社内で“菅さんから電話だ”と周囲にこれみよがしに言って、中座するそうです。

 これでやりにくくなるのは、現場の記者。自分の会社の上層部が安倍首相らと“仲がいいアピール”をするわけですから、批判する記事を書いたり流したりすれば、上から何か言われるんじゃないかとなるのは当然です。記者は忙しいですから、そこで無為な時間を取られたくない。触らぬ神に祟りなしとなり、結果的に政権へのマイナス報道は減っていくわけです」

 古賀氏はかつて、イスラム国に誘拐された日本人ジャーナリスト問題で政府の対応のまずさを指摘し、当時出演していた『報道ステーション』(テレ朝系)で「I am not ABE」のフリップを掲げた(2015年3月27日放送)。すると、当時の中村格官房長官秘書官から同局の報道局ニュースセンター編集長の中村直樹氏に、「古賀は万死に値する」といった内容のショートメールが入ったと明かしている。

「僕の場合はたまたま、官房長官秘書官からの圧力でしたが、いろんなレベルで行われています。たとえば、官邸の広報官や事務方の官僚が、官邸詰めの記者個人に“昨日の報道なんだけど……”とやることも一つ。さらに官邸から見て放置できない記事だと判断すると、記者個人ではなく、政治部デスクや政治部長といった上司や周辺に抗議する。「I am not ABE」のときには、官邸が許せないと思ったから、報道局へ直に圧力が入ったんですよ。

 こうしたことは民主党政権時代にもありました。ただ、それは個別のクレームでした。安倍政権が民主党政権と決定的に違うのは、日常的かつ網羅的に文句をつけ、機を見てガーンとやること。従わなければ徹底的に個人攻撃してきます。それから、すでにお話したようにマスコミのトップを押さえていることですね。菅官房長官も官邸詰めの記者らを手なずけていますし、オフレコ取材を利用して自分たちの意思が漏れ伝わるようにもしている」

 加計学園問題で安倍政権が窮地に立つ中、安倍首相は6月24日に行った神戸市内での講演会で突然、これまで加計学園にしか認めなかった獣医学部を全国に解禁すると方針転換。6月25日放送の『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ系)は、安倍首相は周囲にその理由を「あまりにも批判が続くから頭にきて言った」と漏らしたと報じた。

「京都産業大学の参入の機会を奪い、加計学園に絞るための条件を設定したことに問題の本質があります。ところが官邸は、“安倍政権は岩盤規制に穴を開ける正義の味方”というすり替えを必死にやっているんです。それを証明するために、<閉鎖的な文科省に対して頭にきた。本当は全国で獣医学部を作りたかったんだ→しかし、文科省は認可しない→だから文科省は抵抗勢力>という論法にしたい。まあ、官邸にとって、そのシナリオ作りまではよかったんですが、演者(安倍首相)が悪くて、シナリオが国民に伝わりませんでした。そもそも、森友問題や加計学園の問題を通して、安倍総理自身への批判が最近の支持率低下につながっているわけですが、安倍総理は、“政策がちょっと悪かっただけ”だと思っていて、自分が攻撃されているとはいまだに思っていません」

 安倍政権は岩盤規制にドリルで穴を開ける姿勢をアピールしているが、古賀氏は「大きな岩盤の前で尻込みしてドリルを回さず、ただ、ティッシュペーパーにつまようじで穴を開けているだけ」と一蹴する。

「そもそも、安倍政権がこれまで岩盤規制を切り崩したことはありません。むしろ逆。たとえば受動喫煙対策法。2020年の東京五輪で実現するためには、先の国会に提出しなければならならないところ、結局、自民の族議員が厚労省の案は厳しすぎると言って反対し、まとまりませんでした。同じ東京五輪のために共謀罪法案は強引な手を使ってでも通したのに、受動喫煙対策法は通せない(苦笑)。こんなことがありますか? それでも塩崎(恭久)厚労相はなんとか頑張って法案を提出しようとしたんですが、そのはしごを外したのは安倍首相自身でした。族議員に迫られ、“問題はこの人だね。任せるから”と逃げたそうです」

 塩崎厚労相に加え、古賀氏がもう一人、注目した大臣がいる。加計学園問題で、文書があるのかどうかについて、矢面に立った松野博一文科相だ。

「松野文科相は絶妙な立ち位置でしたね。官邸VS文科省の構図の中で、安倍首相に忠誠を尽くさないといけないし、だからといって、文科省の官僚を全員敵に回すわけにもいかない。しかも、来年には自分の選挙も控えているから、悪者にもなれない。松野さんは、その微妙なバランスの上で立ち回っていたんですよ。曖昧な対応や方針転換をしたにもかかわらず、世間では“松野はダメだ”みたいな批判は少ないでしょう? うまいですよね。それからみると前川さんの行動はどうでしょう。彼自身、正義のための告発と思っているんでしょうが、その正義というのは文科省にとっての正義。だからこそ、文科省の一部から情報が得られ、次々と情報を世間に出せるんでしょう。でも、文科省の問題は何一つ出してこない。出せば、文科官僚の支持を失いますからね。そのあたりが前川さんの弱点かもしれません」

 加計学園問題に先立つ森友学園の問題では、安倍昭恵夫人や夫人付秘書である谷査恵子氏に話題が集中。森友学園の籠池泰典前理事長が谷氏を通じて国有地払下げの件で財務省に問い合わせたところ、「国有財産管理室長から回答を得ました」というFAXが谷氏から籠池氏の元へ送られ、それが問題視されたのだ。

「前々回の都知事選のとき、僕は(脱原発を掲げる)細川(護熙氏、元首相)さんを応援していました。その頃、安倍首相と昭恵夫人の不仲説というのがささやかれていましたから、原発反対派の彼女に応援してもらえないかと思い、連絡してみたんです。そしたら、首相公邸で実際に会ってくれたんですよ。結局、“シンポジウムでの応援ならともかく、選挙の応援となると主人との関係が……”と断られました。そのとき、谷さんも同席していましたよ。実は官僚時代、谷さんが僕の部下だった時代がありました。東大卒のノンキャリで、“偉くなりたいと思っていません”と言っていたのが印象的でしたね。優秀で能力があった人ですから、首相夫人付に抜擢されたんでしょう。なんでもない人を夫人付にはできませんからね。

 ただ、いくら優秀だといっても、安倍首相や昭恵夫人と無関係に、財務省の管理職と彼女が直に交渉することは本来はありえません。なぜかというと、財務官僚が他省庁の官僚と予算折衝する際、相手はワンランク上でなければならない。谷さんのような他省庁の課長補佐級で、しかもノンキャリなら、財務省のキャリア管理職は雲の上の人。“こんにちは”と気楽に挨拶することすら憚られる相手。ですから、そこには何かがあったはずなんです」

 森友、加計問題で内閣支持率は急落。読売新聞の調査でも支持率は49%と前回調査の61%から大幅に下落。東京都議会議員選挙は、安倍政権の行く末を占うものとして注目されていた。

「これまで安倍政権を守る最大のバリアは、自民党に代わる受け皿がなかったことですが、小池新党(都民ファーストの会)ができて、状況が変わりました。おそらく、都議選では都民ファーストが大躍進するでしょう(取材は都議選前)。その勢いを駆って、次の総選挙では“国民ファーストの会”という国政のための政党を作り、中央に進出するという流れになるでしょう。かつて、橋下徹氏がたどった道です」

 橋下氏が顧問を務めていた日本維新の会の代表である松井一郎大阪府知事から、古賀氏はかつて、府知事選出馬を打診されていた。

「2011年の府知事と大阪市長のダブル選挙のとき、堺屋さん(太一氏、旧通産省出身の作家)を通して松井さんらと会い、知事選の出馬をお願いされたことがありました。堺屋さんに、“会ってほしい人がいる”と言われて、彼の自宅に行ったら、松井さんや府の経済関係者らがいたわけです。うなぎか寿司かを食べながら、“府知事選に出てください”とお願いされて。固く断ったわけですが、1~2週間後に再度要請されました。それもお断りすると、今度は新聞にリークされ、全国紙の大阪版の一面に大きく出ちゃったんですよ。読売新聞の記者なんかは、“出ないんですか? 出ないと、出るって報じちゃったウチが誤報になります”なんて言ってきた(苦笑)。

 結局、出馬は松井さんになった。選挙後、橋下さん(当時は大阪市長)と会い、府市統合本部の特別顧問をお願いしたいと言われたので、そちらはお受けしました。『維新八策』を考えたりしましたが、石原さん(慎太郎氏、元東京都知事)が合流したのを機に離れました」

 その橋下氏には、民間大臣として入閣するという話がささやかれている。

「それを、どのタイミングにするのかは分かりません。次なのか、あるいは来年なのか。安倍首相が狙う改憲の直前に持ってきて、その人気で支持率を上げたままで国民投票というのが一つ考えられるでしょうね。橋下さんは、天下りなどの利権にしっかりとメスを入れ、改革を実行する人です。そのための世論形成はうまいし、官僚としては仕えにくい相手です。

 一方の小池さんも巷では改革派といわれていますが、彼女を霞が関で改革派だと思っている官僚はいないと思いますよ。実際、彼女は改革派の集まりに一応、顔は出しますが、大事なところでは何もしないで、いつもスッといなくなる。市場移転問題も、行政側としては早く決めてくれと思っていたはずです。でも、彼女としては、“決められない”ままでも支持率が下がらない限り曖昧にしておき、選挙前に“豊洲も築地も”と判断しました。選挙にどう使うかだけを考えていたとしか見えません」

 政界暗部を激白した古賀氏。新たに掲げてもらった「I am not ABE」のボードに込められた思いは深く、強い。

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