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元寺尾・錣山親方が語る「名古屋場所はここを見よ!」

[週刊大衆2017年07月24日号]

元寺尾・錣山親方が語る「名古屋場所はここを見よ!」

取材・文 武田葉月(ノンフィクションライター)

 その甘いマスクと徹底した突っ張り相撲で人気を博した鉄人に、注目すべき力士から見逃せない一番まで、見どころを聞いた!

 現役時代、“速射砲”のような回転の速い突っ張りを武器に、39歳まで現役を続けた“鉄人”寺尾。引退後は錣山部屋を興し、小結・豊真将らの力士を育てる一方、審判委員として土俵下から力士たちを厳しく見つめてきた。その錣山親方が9日から始まった名古屋場所の見どころ、注目力士、優勝争いについて語ってくれた!

――この蒸し暑い時期に開催される名古屋場所。かつては平幕優勝する力士(高見山、金剛、水戸泉など)も現れたりして、波乱の展開も予想されますね? 

錣山 力士にとって、体調の管理が一番難しいのが、名古屋場所かもしれませんね。それだけに、思わぬ伏兵が優勝戦線に絡んでくるケースも多いんでしょうが、今場所に限っては、それはないような気がするんですよ。

――というのは?

錣山 白鵬(32)を筆頭にした4横綱、新大関の高安(27)らの上位陣が充実していて、関脇以下の力士たちと力の差がありすぎるからです。突出しているのは、先場所1年ぶりに優勝した白鵬です。昨年は足のケガなどで、「白鵬もここまでか?」などと言われたこともありましたが、立ち合い、左前みつを取って圧倒する相撲が戻ってきましたね。しかも全勝優勝ということで、気分を良くしています。

 そして新大関の高安。立ち合いからの突っ張りがいいよね。先場所は盤石の11勝。「ラクして勝とう」とした玉鷲戦だけは吹っ飛ばされてしまったけれど、他は、すでに大関のような相撲を取っていましたよ。真面目に稽古も積んでいるようだし、二ケタは行けるんじゃないかと見ています。

――実力のある大関の誕生ですね。大関・照ノ富士はいかがですか?

錣山 関脇で優勝して、大関に駆け上がった頃は、すぐに横綱になるんじゃないかという勢いだったけれど、ヒザのケガで低迷。それでも、春場所ではもう一歩で優勝という活躍を見せて、さらに夏場所でも12勝。かつての破壊力が戻ってきましたね。ヒザの治療もしたようだし、王者・白鵬を脅かす存在であることは間違いないと思いますよ。

――なるほど。さらに、関脇には御嶽海(24)、前頭筆頭には正代(25)などの期待の若手がいて、上位陣との取組が楽しみです。

錣山 そうね。若手にも注目したいけど、頑張ってほしいのがベテラン勢。そんなベテランの筆頭は先場所、技能賞を獲得した小結・嘉風(35)です。35歳という年齢ながら、相撲が守りに入っていないし、自分から積極的に突いていくところがすごいですよ。そして、前向きな姿勢ね。スピード感もあるし、力士というよりアスリートという感じ。先場所初日、稀勢の里に勝ったでしょ? それも自信になっていると思うし、名古屋場所前の連合稽古でも稀勢の里と20番以上も取って、嘉風のほうが分が良かったというんだから、危険なベテランだよね。

 そして元大関の琴奨菊(33)。関脇に落ちてしまった春場所は、9勝で(10勝すれば大関に復帰できる規定がある)大関復活はかなわなかった。また先場所は7勝。番付は小結にとどまったものの、平幕に落ちても相撲を取り続けるのか? 気力はどこまで続くのか? 今場所は今後を占う場所になると思いますよ。

――ベテランといえば、38歳の豪風も、存在感を見せていますよね?

錣山 体がパンパンに張っているもんね。コツコツ努力しているのが、体に出ていると思います。出稽古に行って、別の部屋の若手力士と、積極的に稽古するという姿勢もいい。ただ、相撲のほうは、同じ部屋の嘉風と比べると、ちょっと消極的になってきたかな?

 それと、皆さん、忘れかけているかもしれないけど、逸ノ城(24)ね。かつては“モンスター”などと言われて、200キロの体からの破壊力が抜群だった。だけど、太りすぎて動きが悪くなってしまって、前頭中位に低迷。紆余曲折の末、今は体重も落として、体を見る限り調子も良さそうです。

 だけど、逸ノ城はいつも突っ立って相撲を取っているんですよ。もう少し下から上手を取って、前に出る相撲を取れば、本当に怖い存在なんだけどな。稽古も不足してるし、ハッキリ言って宝の持ち腐れですよ。嘉風、豪風のベテランを見習ってほしいですね。

――厳しい意見が飛び出しました。

錣山 フフフ。逸ノ城は24歳かぁ。いつまでも若いわけじゃないから、もっと自分をいじめないとね。モタモタしているうちに、貴乃花部屋、ハタチの貴景勝が前頭筆頭まで上がってきました。高校を卒業して3年目。体に重みが出て、頼もしい存在になってきた。稽古もよくやっているみたいだしね。そして、気持ちが強いですよ。貴乃花部屋からは先場所十両に上がった貴源治(20=現・幕下)とか、やる気にあふれる若手力士がいて、切磋琢磨しているのがいいんでしょう。

 それと、大学2年のとき、学生横綱を獲って、学生時代は正代とライバル関係にあった北勝富士(24)。学生の頃は技術で勝っていたところもあったけれど、最近、前に出る相撲が身についてきて番付を上げてきましたよね。楽しみな若手です。

――では、十両力士に目を向けてください。

錣山 すごく不思議に感じるのは、関脇も経験した技能派の妙義龍(30)と、先場所新入幕だった豊山(23)が十両にいるということ! 豊山は入幕を機に、時津風部屋伝統の四股名・豊山を名乗ったんですが、4勝しか挙げられずに、十両に落ちた。体も申し分ないし(185センチ、183キロ)、突き押しの威力もあると思うんだけど、なんで勝てないんだろう?

 若手だと、21歳の明正ですね。立ち合い、思いっきり当たっていくタイプで、相手に変わられてしまうケースもあるけど、今はそれでいいんじゃないかな?

 ウチの部屋の(再十両の)阿炎(23)? まだまだ全然ダメです! 2年ぶりに十両に復帰しましたが、すべてにおいて足りないところが多いし、私は毎日怒ってばかりです(笑)。

 今後、新十両を狙える幕下力士を挙げるとすると、大成道(24)、“山形の白クマ”こと白鷹山(22)あたりでしょうか?

――若手の活躍も楽しみですね。さて、ズバリ名古屋場所の優勝を占っていただきたいと思います。

錣山 一番手はなんと言っても白鵬。場所前の稽古も十分みたいだし、調整がうまくいっているんじゃないかな? 稀勢の里の横綱昇進で、再び闘志を燃やしている感じがします。白鵬に続くのが、パワー相撲が復活した照ノ富士。三番手に稀勢の里、日馬富士、鶴竜の3横綱で、六番手が高安。今場所、高安が六番手というのは低めの評価かもしれませんが、馬力は素晴らしいものを持っています。もう少し相撲を変えたら、個人的には横綱も夢じゃない力士だと思っています。

 名古屋場所はまだ始まったばかり。力士たちの“熱い戦い”に注目したい。

■元パティシエが腕を振るう! 錣山部屋ちゃんこ 激うま5選

 錣山部屋は、ちゃんこ鍋の味や種類の多さにも定評がある。なぜなら、元パティシエという異色の経歴を持つ、序二段・臥牛山が中心になってレシピを考えているからだ。中でも、一番人気はトマト鍋。コンソメだしでホールトマト缶、キャベツ、しいたけ、しめじ、エノキ、ホウレンソウ、玉ねぎを炊き、ワインで味を調えるこの鍋は、濃厚な味わい。チーズを載せると、さらに味に深みが出る。「残ったスープでリゾットにすれば、二度楽しめるんですよ」(臥牛山)

 二番人気は担担鍋。ニンニク、ショウガ、長ネギ、豆板醤、ケチャップなどで作ったスープで、豚肉、キャベツ、もやし、しいたけ、エノキ、青梗菜を炊く。締めに入れるのは中華麺。スパイシーな担担麺は疲労回復に最適だ。

 三番人気はリンゴ鍋。ちょっと聞きなれない鍋だが、「担担鍋のスープをベースにして、すりおろしたリンゴを入れるんです。酢豚をイメージして作っています」(前同) リンゴを入れることで、マイルドな味になるという。

 さらに、料理雑誌を参考に考案したオニオン鍋も、ヘルシーな一品。みじん切りした玉ねぎを飴色になるまで炒めて、水、コンソメで味を調える。鶏もも肉、しめじ、エノキ、ニンジン、キャベツ、ホウレンソウを、さっぱりといただくのが特徴だ。

 部屋の定番メニューは豆乳鍋。最近、注目の豆乳だが、「ポイントは、多めのかつおだしでスープを作ることなんです」(同)

 蒸し暑く、食欲が減退する名古屋場所前後は、タイ風のグリーンカレー鍋、火鍋などスパイシーな鍋が頻繁に登場し、稽古終わりの力士たちに大好評だとか。ぜひ、家庭でもお試しあれ!

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