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南健太(作曲家・ピアニスト)「音楽を通して、会話するのが楽しいんです」音を楽しむ人間力

[週刊大衆2017年12月04日号]

南健太(作曲家・ピアニスト)「音楽を通して、会話するのが楽しいんです」音を楽しむ人間力

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 舞台の音楽をやっていて楽しいなと思うのは、自分が書いた平面の楽譜を、歌う人が色をつけて立体化してくれることですね。自分が想像や期待していた以上だったりすると、 “ああ、こういう風に歌ってくれるんだ”と感動しますね。もちろん、逆のパターンもあります。手塩にかけて育てた子どもを、里子に出した瞬間に虐待されたみたいな(笑)。あと、舞台が10回あったら、10回まるっきり同じってことはないので、おもしろいですね。

■1つの舞台で作る曲は20~30曲

 1つの舞台で、作る曲はだいたい20から30曲ほど。一番多いときは、一小節だけっていうのもあったんですが、70曲作ったこともありました(笑)。2、3週間で作らないといけないので、もうその期間は、四六時中、音楽のこと考えていますよ。電車のなかで、歌詞を読みながら口ずさんでみて、メモしたり。それこそ、飲み屋でお姉ちゃんと話しているときも、店のBGMにふと心を奪われるときもある。“ちょっと、待って”とメモしたり(笑)。自宅で作曲しているときも、煮詰まってもう今日は寝ようと思って、布団に入ると、“あっ”ってなる。パソコンを立ち上げて、あーだ、こーだやっていると、朝になっていたり。

 街を歩いていると、どこでも音楽って耳に入ってくるじゃないですか。それをそのまま聞き流すのではなく、そこに、いいネタが落ちていないかなって思って日々、生活しています。正直、疲れたなと思うことはありますよ。さっき言ったように、せっかく作ったのに、歌い手さんが全然歌えていないときとか。そういうことが積み重なってくると、これ以上やると音楽を嫌いになるなって思う時があります。

■気が付いたら、楽器の前に座っている

 だから、年に3日ぐらいは楽器を触らない日があるんですよ。そのまま音楽をやりたいって思わなければ、そのままやらなきゃいいやと。ただ、気が付いたら、楽器の前に座っているんですよ。

 僕は、いろいろ凝り性なので、趣味がけっこうあるんです。格闘技、車、サバゲーとか。道場に1か月いかなくてもいいし、車だって運転しなくてもいい。だけど、楽器だけは違うんです。単純に楽器を弾くのが、何より楽しいんでしょうね。

 音楽って、もちろんお客さんに喜んでもらうことも大事なことだと思うんですが、弾く側が楽しんで演奏していることが伝わるのが、音楽なのかなって思います。お客さんから拍手を浴びることは、とても嬉しいことですが、僕は対プレイヤーなんですよ。こう演奏したら、この人はどう返してくるんだろう、自分が作った曲をこの歌い手はどう表現するのだろうかとか。音楽を通して、プレイヤー同士で会話をするのが楽しいんですよ。正直、お姉ちゃんのいるお店で飲むより、ブルースバーのセッションに飛び入りで参加したりするほうが、僕にとっては、よっぽどスリリングでおもしろい。

■裏に徹してナンバー2でいたい

 自分が目立ちたいとか観客から拍手を浴びたいとは、まったく思わないんですよ。若い頃は、バンドを組んでいて、メジャーになりたいって思いもあったんです。ただ、そのバンドのボーカリストが他の事務所に一人だけ引き抜かれたり、人間関係のゴタゴタがあって、大きい何かに所属すると、楽しくなくなってしまうし、それなら一人でいいやって思ったんです。

 たまに、舞台で生演奏することもあって、“演奏がすごい良かった”と言われると、“もっと役者が、がんばってくれよ”と思います。こっちは、何か鳴っていたな程度でよくて、名前も出さないでいいぐらい。まあ、ずっとナンバー2でいたいんですよ。だから、今後も裏に徹して、いろんな人に自分が作った曲を歌ってもらいたいですね。

撮影/弦巻勝

南健太(みなみ・けんた)
1968年8月26日生まれ。両親の影響で、3歳からピアノを始める。その後、バイオリンなど様々な楽器を通じて、クラシック音楽に親しむ。日本大学芸術学部音楽科進学後に、他のジャンルの音楽に魅力を感じ転向。その後、音楽修業のためボストンへ。帰国後、クラブバンド等に身を置きジャンルを問わないキーボーディストとして演奏活動を行う。その傍ら舞台音楽やコマーシャル等の楽曲制作やアレンジを行い、現在は舞台音楽を中心に活躍中。

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